ハラスメントの基礎知識
こんにちは。経営企画室の亀崎です。
令和5年度も下半期に入り、医療法人ではハラスメント相談窓口担当者に一部変更がありました。この機会に改めてハラスメントについて皆さんにお伝えしたいと思います。
一部管理職向けの内容になっているところもありますが、読んでいただくことでハラスメントへの理解が深まると思いますので最後までご覧いただければと思います。
ハラスメントとは
「嫌がらせ」や「いじめ」行為を指します。 職場においては、上司や同僚の言動が本人の意思とは関係なく、 相手を不快にさせたり、傷つけたり、不利益を与えたりすること で、就業環境を害する行為が該当します。
代表的なものを挙げると、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、妊娠・出産等に関するハラスメント(マタハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)があります。
他にも、性別を理由にしたハラスメント「ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)」、モラルに反した言葉や態度による嫌がらせや暴力「モラルハラスメント(モラハラ)」、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為「アルコールハラスメント(アルハラ)」などもあります。
最近では、コロナ禍の在宅勤務とともに増えているリモートワークに関する嫌がらせ「リモートハラスメント(リモハラ)」だったり、上司が部下に対して業務上適切な指導を行った際に、部下がハラスメントだと騒ぎ立てる行為「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」も多くなってきているといいます。
ハラスメントに関する法的整備
ハラスメントに対しては、事業主に防止措置が義務づけられています。直近では、令和4年4月1日より労働施策総合推進法が改正され職場における パワーハラスメント対策が中小企業の事業主にも義務化されました(クオラは令和2年6月1日の改正労働施策総合推進法施行時に義務化対象となり、対策を実施しています)。
また、厚生労働省が公表しているデータによると、民事上の個別労働紛争における相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の 全項目で、「いじめ・嫌がらせ(いわゆるパワハラ)」の件数が最多となっています。
またセクシュアルハラスメント、職場における妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いやハラスメントも身近なところで多く発生しています。
ハラスメント詳細
ここからは、代表的な3つ「セクハラ」「マタハラ」「パワハラ」について詳細を確認していきます。
セクシュアルハラスメント(セクハラ)
職場におけるセクシュアルハラスメントは、『職場』※1において行われる、『労働者』※2の意に反する『性的な言動』※3に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されることです。
取引先、顧客等も職場におけるセクシュアルハラスメント の行為者や被害者になり得ます。 また被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、性的な言動であれば、セクシュアルハラスメントに該当します。
セクシュアルハラスメントの背景になり得る言動について
「男らしい」「女らしい」など、固定的な性別役割分担意識に基づいた言動も、セクシュアルハラスメントの原因や背景となってしまう可能性があります。
このような言動は無意識のうちに言葉や行動に表れてしまうものです。 日頃から自らの言動に注意するとともに、上司は部下の言動にも気を配り、 セクシュアルハラスメントの背景となり得る言動についても配慮することが大切です。
妊娠・出産等に関するハラスメント(マタハラ)
『職場』におけて行われる上司・同僚からの言動(妊娠・ 出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者等の就業環境が害されることです。
妊娠・出産等に関するハラスメントは2種類あります。
(1)制度等の利用への嫌がらせ型
①解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの ※1回の言動でも該当
②制度等の利用の請求等又は制度等の利用を阻害するもの ※上司は1回の言動でも該当 同僚は繰り返し又は継続的なものが該当
③制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの ※繰り返し又は継続的なものが該当
(2)状態への嫌がらせ型
①解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの ※1回の言動でも該当
②妊娠等したことにより嫌がらせ等をするもの ※繰り返し又は継続的なものが該当
妊娠・出産等に関するハラスメント予防策
①妊娠中・出産後の働き方について、軽易業務転換などの必要性や育休、短時間勤務の取得希望を労働者に確認する
②今後の代替要員の確保など、職場の体制について検討
③総務課に連絡を取り、休業期間、休業中の賃金等の取り扱い、休 業後の労働条件等について労働者への説明
④休業中の業務の引継ぎや担当は、部下任せにせず、管理職が関与する
⑤復職者に対しては、仕事と育児の両立がうまく進んでいるか確認する
また、周囲の労働者に対しては、業務の偏りが生じていないかを確認し、必要に応じて業務分担の調整を行う
パワーハラスメント(パワハラ)
職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されることです。
職場におけるパワハラの3要素
パワハラの6類型
パワハラ予防策の一例
①コミュニケーション活性化やその円滑化のための研修等の実施
②適正な業務目標の設定、長時間労働の是正等の職場環境の改善
ハラスメントには該当しない 『業務上の必要性』に基づく言動
ここまで確認いただくと、「全部の発言や行動がハラスメントに該当しそうで何もできないじゃない…」と思われる方も多いと思います。
業務分担や安全配慮等の観点から、客観的に見て、 業務上の必要性に基づく言動はハラスメントには該当しません。
➢ b.やc.のように制度等の利用を希望する労働者に対する変更の依頼や相談は、強要しない場合に限られます。
➢ 上記の配慮については、妊婦本人にはこれまでどおり勤務を続けたいという意欲がある場合であっても、 客観的に見て、妊婦の体調が悪い場合は業務上の必要性に基づく言動となります。
事業主が講ずべき措置
職場におけるハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置について、厚生労働省の指針により定められています。 事業主は、これらを必ず実施しなければなりません。
相談を受ける時のポイント
以下の発言は、いずれも不適切な相談対応を示しています。 相談者の気持ちをよく考えて、言葉や態度で傷つけないように配慮しましょう。
職場におけるハラスメントに関する相談を受けた時は、 以下のことを心掛けてみてください。
①相談者のプライバシーに配慮すること
相談者に対して、秘密を厳守すること、相談したことによって不利益な取扱いを決してしないこと をあらかじめ伝えましょう。相談者と同性の相談対応者を含む複数名で対応するようにします。ま た、行為者や第三者に対して事実確認をする場合には、必ず相談者の許可を得てから対応すること もあわせて伝えましょう。
②相談者がリラックスして話せるように配慮すること
相談を受けている時は、自分の意志は抑えて、相談者の話を傾聴しましょう。相談者が話しやすい ように、真正面に向き合うよりも90度の角度や斜めの位置に座り、友好的な態度をとることが望ま しいでしょう。
③相談後にねぎらいの言葉をかける
勇気を出して相談したことに対して、ねぎらいの言葉をかけましょう。管理職は相談者に対して、 誠実な姿勢で対応することが重要です。
職場におけるセクシュアルハラスメントや妊娠・出産等に関するハ ラスメントを未然に防止するための職場づくりに取り組みましょう。
ハラスメントについて考える(クイズ)
ここまで読んでハラスメントについての理解を少しは深めることができたのではないでしょうか。最後にクイズを用意しています。これまでの内容を理解できた方はきっと全問正解できるはずです。自分自身が理解できたかの確認の意味も込めてクイズに答えてみてください。
答え・解説はこちら
おわりに
ハラスメントは身近に潜んでいます。「おかしいな」「嫌だな」など、少しでも悩むことがあれば、各事業所に配置している相談窓口までお気軽にご相談ください!また外部の相談機関等もありますので、それらを有効に活用してみてください。
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