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サンタさん、リモートワークの価値ってなんなんでしょうか?

みなさま今年もお疲れさまでした。

光陰矢の如し。もう去年のアドベントカレンダーから1年が経ってしまったのですね。一年前の記事はこちらです、ご笑覧くださいませ(Anywhereについての説明もちょっとありますので)。

この記事はフルリモートデザインチーム Goodpatch Anywhere Advent Calendar 2021 Advent Calendar 2021 の最終日の記事です。もう26日になってしまいましたね。光陰矢の如し。

今年は去年より色んな方向にちらかった多様な記事が集まりました。こういったAnywhereの多様性を産む根幹になる重要な要素「リモートワーク」についてつらつらと書いてみようかと思います。

改めてリモートワークの価値を見直そうかと

本題です。最近、コロナ禍によってリモートワークが進んだ反動が起こっていると感じています。オフィス出社への回帰や、特に新人に対するコミュニケーションの機会を奪ってしまってかわいそうだという声が多く聞こえるようになってきています。

まだまだ課題があるとは認識しつつ、私達Goodpatch Anywhereはフルリモートのデザインチームです。これは世論のバランスを取らねばなるまいということで、改めてリモートワークの価値を叫んでいきたいと思います。

白物家電が家事に束縛される時間を減らし、女性の社会進出を促したように、テクノロジーは基本的に「一部の人のみが持っていた特権を社会に開放して民主化する」という性質を持っているはずです。「スマートフォンは難しいから嫌だ、人間らしさがない」という意見の反対側で、「障害を持っているけどスマートフォンのおかげで家の外に出られたし、社会と繋がりを持つことができた」という人たちも膨大にいるわけです。

同じようにリモートワークによって救われている人は相当数いるはずで、それを無視して逆行するわけにはいかないと思うのです。

そんなリモートワークだけでデザインチームを作りましょうというチャレンジをしている僕たちGoodpatch Anywhereなので、リモートワークだからこそ可能な働き方をしている人が大勢います。「家族や親戚のいる地元で働く」「病気や怪我の介護をしながら働く」「アスリートのように活動する子供を全力でサポートする」「家族を大切にしながら圧倒的に働く」これらは実際にAnywhereのメンバーが実現している働き方です。

その中でも僕が好きな話を一つ取り上げますと…。

子供は親の背中を見て育つ

あるメンバーが、仕事で泣いている姿を子供に見られるという事件が起きた後に、「本気で仕事に向かい合っている姿を子供に見せられるって、すごいことなんだよ」ということを言われ、はっとさせられたことがあります。

Anywhereのメンバーはみな懸命にデザインに向き合って働いています。うまく行って嬉しくなることもあれば、うまくいかなくて悔し涙を流すこともあります。チームでプロジェクトを進めていくので、誰かと衝突して喧嘩をすることもあります。本気で仕事やチームに向き合っているからこそ「仕事なのに本気で笑い転げている姿」「仕事に本気になりすぎて泣いている姿」が日常に現れます。

そして、僕らは自宅でリモートワークをしています。となると、家族がそういった場面を目撃することがあるわけです。(もちろん、情報セキュリティには気をつけて。)

今のAnywhereでは、「オフィスで働くサラリーマンお父さんが当たり前の時代」とは180度の転換が起こっています。今までの世界では、生活の中でもっとも真剣で輝いているはずの「仕事をしている姿」は、家族が全く見ることができません。疲れ切って帰ってきた様子を見てただ「仕事って大変なんだなぁ」と思わせてしまうのです。そんな教育をしていたらそりゃ、「仕事って辛いもの、我慢しなきゃいけないもの」だと思ってしまいますよね。「お金をもらうんだから、我慢して働かなきゃいけないんだよ」って、そんなことをあなたの子供に、本当に伝えたいですか?と。

そうではなく、「なんて楽しそうに仕事をしているんだろう」「泣くほど本気で仕事に向かい合っているなんて…」という「仕事をしているかっこいい親の背中」を見せることの価値、おわかりいただけますでしょうか。子供は親の育てたいように育つのではなく、親の背中を見て育つものじゃないかなと思います。

僕自身のこと

そしてもちろん僕自身も、リモートワークに救われていると感じています。

僕は個人の性格としても、愛という名の元にブラックな働き方に没入してしまうタイプで、生きているエネルギーをほぼ仕事に投入しています。まあベンチャー企業としてはよくある話かなと思います。UXデザイナーとしてクライアントワークをやっていたときから、クライアント先にほぼ常駐して圧倒的なコミットメントで没入し、信頼を勝ち取っていくスタイルで仕事をしてきました。しかし、これはこれで成果も出るし、とても楽しい働き方なんですよね。

Anywhereを立ち上げてからコロナまでは、僕とバックオフィスチームは渋谷のオフィスで働いていました。新規事業の立ち上げなんて、やれることをすべてやって、何がうまくいくのかを手探りで探していくしかありません。Anywhereをどのような組織にしていくのかの検討、戦略立案、営業活動、受注したプロジェクトの運営、メンバーとのコミュニケーション、経理や労務などのシステム面から、組織として整えなければいけないあれこれ…と、時間はどれだけあっても足りませんでした。

ここで問題がありまして。僕は当時新婚ほやほやだったんですね。妻は銀行勤めなので6時前に起きて出勤し、夜の10時には就寝して次の日に備えます。僕は8時位に起きて10時に間に合うように出勤、終電で帰ることも多く、電車の中でもメンバーとDiscordでコミュニケーションを取りながら移動し、夜中に帰宅するような有様でした。良い仲間がいて、組織やデザインについてずっと話していられて、ああ楽しい。

そんな感じで「新婚で同居しているのに、平日は一言も会話ができない」そんな新婚生活をずっと送っていました。妻は異常に理解があるタイプなので、僕の性格や働き方について文句を言うことはありませんでしたが、ただそれに甘えることしかできない状況でした。

しかし、コロナ禍になって、僕自身も渋谷に行くことができなくなり、強制的にリモートワーク化されて状況が変わりました。夕食を一緒に食べられるようになり、空き時間が15分あれば一緒に散歩に行くこともできます。あれほど遠いものだった日常会話ができるようになるんですね。その後、ふと免許を取ろうと思いたち、近くの自動車学校に通い始めましたが、朝や夕方に1時間半のゆとりがあれば、一コマ授業を受けることができ、順調に免許を取得しました。すると、妻の会社の送り迎えや、たまにある通院の送迎などもできるようになりました。これはすごいことでした。これまでは「仕事だけで精一杯、いつかきっと成功するから全部許してサポートしてくれ!」というクズの極みのような気持ちになっていたのに、こんな自分でも妻のことをサポートできている気分になれます(もちろん自己満足ですよ)。こんなことが色々おこりました 。

正直、業務量や仕事の幅は今のほうが全然増えていると感じられるのですが、家庭のために使える時間が圧倒的に増加しているのです。これは単に通勤時間がなくなったからというだけでなく、すきま時間を家庭にあてるという選択肢に気がついたという意識の問題も多分にあると思います。オフィスで懸命に仕事をしている状態に酔って、自分の視野を狭め、仕方のないことだと思い込もうとしていた自分に気がつけたのだと思います。

Anywhereもどんどん拡大していき、Goodpatchの売上として少なくないボリュームを占めるようになり、抱えるメンバーも増え、責任が増大する中でも、正気を失わずに人間らしく仕事ができているのは、こんな形でワークライフバランスが取れているからなんだろうなと感じています(個人的にはワークアズライフ派なのですがここはあえて)。ただのクラウドソーシングや案件マッチングプラットフォームではなく、ヒューマンドラマ満載のチーム戦でしかないAnywhereなので、人間らしさを失わないというのが非常に重要なんですよね。利潤や効率を優先する「だけ」のマネジメントを匂わせた瞬間に、みんないなくなってしまうでしょう。人は宝、チームは宝。

長くなりましたが、個人として、どんなにバリバリと働かなければいけない状況でも、あえてリモートワークを選択する価値はあると思います。

デザインのしごとがサスティナブルになるために

などと、フルリモートデザインチーム Goodpatch Anywhereの根幹である、「リモートワーク」についてつらつらと書いてきました。要はどんな人でも自分らしく存分に働けるような状況を作るために、リモートワークは役に立つんだよ考えています。

残念ながら、日本のデザイン業界に蔓延している多くの常識は、高い経済成長や人口増の世界で成り立ってきたものだと認識してアップデートをしていく必要があります。徒弟制のなかで厳しい環境についてこられる人だけを選び取るような育て方をする人材市場のボリュームはありません。人間を消耗品扱いをして酷使し、無駄遣いをする余裕はもうありません。そんな世界を許容し続けてしまった業界に、優秀な人材が多く集まるわけでもなく、このままでは衰退の一途をたどってしまうことでしょう。このあたりについてはまた書きたいところですが、ひとまず去年の記事を御覧くださいませ。

そんな状況で、デザインに関わって幸せに働く人を圧倒的に増やしていきたい。その助けになるのであれば、Goodpatchに関わる人をすこしでも増やしていきたい、そのために「東京のオフィスでフルタイムで働ける人」だけを集めていたのではスケールのレベルが変わらない。そう考えて始めたのがAnywhereです。僕は、Goodpatch Anywhereという組織は、「デザインをサスティナブルな仕事にする」ことがミッションだと考えています。そして「デザイン」とは弊社のビジョンでは「世界を前進させるもの」です。

今回の記事ではリモートワークにフィーチャーしましたが、リモートワークだけでなく、「本質的なデザインプロジェクトがどうあるべきなのか」という探求の先で、今よりももっともっと多く、多様な才能を持つ人が、デザインという「世界を前進させる仕事」に関わって行けるように、Anywhereは今後も、普通の企業では絶対に真似ができない、ユニークな存在であり続けたいと思います。

デザインという仕事をこれからもずっと続けていけるように、デザインが世界を前進させるために必要であるということを、デザインの価値を、みんなで証明して行きたいです。


ということで、今年も勢いだけで書いてしまいましたので、乱文失礼いたしました。デザインの未来や、リモートワーク、フリーランスや副業などなどのキーワードにご興味ある方はぜひ一緒にお話しましょう。それでは。


Photo by Ales Nesetril on Unsplash

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