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広告しないで売れる。ブランディングの話。

Voicy No.0141 2022年4月11日放送



広告なしで売れているブランド。


今日は「広告しないで売れる。ブランディングの話」です。

ブランディングと商売に関して日々考え、クライアントと接して自分でも経営をやっていると、世の中的にはブランディングとマーケティングが、かなりごちゃごちゃになっているという問題があります。

オレは学問としてとか言葉の定義的に、マーケティングとブランディングを分けたいわけではありません。

それならなぜこの話をよくするのかというと、マーケティングで認知を上げていってもブランドにならないのに、「なる」と思ってやることが相当多いからです。

「商売をする=宣伝すること」というのも、「物を買ってもらう=知ってもらうこと」というのも間違っていません。

でも、広告をやらないで売れているところは、どう考えたらいいのかという側面からも、ヒントを得たほうがいいのです。

さらには、SNSでフォロワーが多い人が決して商売がうまくいっているわけではないと知ったほうがいいし、広告しないで売れているのはファンがいるからです。

知っている、知らない、有名、無名ではない尺度で、それを選択して、相対比較を超越して特別指名をしてくれて、愛着を持ってくれているファンの方が存在するので、広告していなくても、認知度が低くても、しっかりファンの方が買い続けてくれている状態があるのです。

スタバもいろいろPRはしています。広告とPRの違い、SNSの違いには今日は触れませんが、「知ってもらわなくていい」と言っているのではないんです。

さらに「広告しないことのほうがいい」と言っているわけではないので、誤解のないようにお願いします。

広告やSNSで興味のフックをかけつつ、ブランドとしてファンづくりをきちっとやるという両面作戦が大事なので、あえて広告をしていなくても成り立っているところを例にして、何をやっているかをお伝えしようという試みです。

「おまえが関わっている商売でも、広告をやっているところがあるじゃないか」となりますが、自分が関わっているクライアントでもビジネスでも、広告をやるのと平行してブランディングとファンづくりはしているので、その2つをわかりやすくするために、あえて広告しないで売れているブランドの話をしようと思います。


ブランディングを大切にする会社。


スタバとか無印良品は、ブランディングを大切にしています。

無印も西友のプライベートブランドとしてスタートしたときはブランディングしていましたが、今はやっていません。

最近ブレイクしたAesopという化粧品ブランドもやっていません。都内の路面店では平日の昼も並んでいたりします。ネットで買えるのに並んでいるんです。なかなかすごいですよね。

スノーピークもしていない。スノーピークはアウトドア製品を売っていたところから、
環境とかアウトドアサービス企業に転換していっている感じです。

これらが広告しないで売れている系かな。


知名度がなく、広告もしないで売れる会社


あとは全然知名度が高くないけれど、LE LABO(ル ラボ)という香水のブランドがここ数年すごくファンを着けてきています。2007年に東京の代官山に路面店を出したニューヨークの香水ブランドですが、その場で香水を調合してつくってくれるのです。

香水の使用期限を考えたことはありますか。お店に並んでいる香水は、いつつくられたかわからないですよね。

香水は大体1年~3年が使用期限なので、その場でつくって売っているのを割高な金額と捉える方もいるかもしれません。ル ラボも6~7年前くらいにGINZA SIXに入った辺りからかなりファンがしっかりいて、なかなかな売上になってきていると思います。

スタバとか無印は知名度があるからだろうとなるので、わざとスケールの小さいものも入れておきました。


ブランドづくりなし。「広告のみ」で売る。


それはおなかを電極で動かすシックスパッドです。広告にはクリスチアーノ・ロナウドを起用しました。彼は世界的スーパースターですよね。最も地球上でセクシーな男性ともいわれるクリスチアーノ・ロナウドを使って認知度を一気に上げたのです。

ハズキルーペは、舘ひろし、渡辺謙、小泉孝太郎、武井咲、菊川怜とかを使っています。ライザップの特徴あるCMとか、資生堂の椿という商品カテゴリーブランドも40億か50億かけて露出しました。

露出とか興味のフックをかけることで、多数の人に知ってもらうと買ってくれる人が出るだろうという、いわゆる広告宣伝中心作戦です。


ファンづくり中心型の戦略


先ほどのスタバ、無印、スノーピーク、Aesop、ル ラボは、何で買ってもらおうと思っているのでしょうか。

思想、哲学、スタイル、センス、ポリシーも含めてメッセージをしっかり発信して、そこに共感してくれる人がファンになって、スイッチされない、リプレースされない状態になる。つまり競合に切り替えようと思わない熱いファンがいる状態でビジネスを展開しようとしているのが、いわゆるブランディング、ファンづくり中心型の戦略です。

SNSを使うとか、有名人を使うとかもそうですが、知ってもらったら分母が大きいわけだから、その中で誰か買うだろうという、とにかく「多数に見てもらえ作戦」もあります。

これはどっちでもいいんです。
どちらが上とか下とかと言うつもりは全くなくて、ビジネスオーナーが、どっちを選択するかなのです。

ブランドになろう、ファンをつくろうと思うのであれば、スタートは広告でたくさんの人に知ってもらって、分母を100万人にしたほうが10万人よりいいし、100万人より1000万に知ってもらったほうがいい。その作戦のほうが売上は伸びます。

けれども、結局そこでファンに対して、自分たちの思想や哲学、スタイル、センスをお伝えする場を持たないから、ただ知っただけで別に中身に惚れているのではなくて、見たことあるとかの熱は、見たときがピークで認知の熱は落ちていくわけです。

ブランディング、ファンづくりをちゃんとやると思想、哲学、スタイル、センス、メッセージに共感して、それをずっと繰り返し伝えてもらっているので、だんだん上がっていくのです。

でも、これもどっちがいいとか悪いとかではなくて、どっちの方法をやるかです。商売のあり方の問題になってくるのです。


宣伝のみでもいいけど。


どっちが正解とか、これからの時代はどっちだと思いますかに関しては、オレとしては当然ブランドづくりをやっているので、ファンをつかんでおかないと潮が引くようにお客様がいなくなってつぶれてしまうのをコロナ渦における飲食店の状況で見ています。それでもつぶれていない飲食店は、やっぱりお客様づくりをやっているところだったのです。

ただ名前が挙がって流行ったとか、認知度が上がって一時的に行列ができたところは、不況とかに弱いのです。

なので、コテツのスタンス的には、当然ファンづくりをしっかりやってメッセージを伝えて、共感の型をきっちりつくっていくやり方のほうが商売として全然安全だと思うし、それで成り立たないかというと、成り立ちます。

お金がないんだと言いながらSNSでバズるのを目指すのは、どうかと思います。お金がないんだったら、逆にブランドづくりをしっかりやったほうがいいと思ったりはします。

でも広告やSNSでバズって一時的に売れるのは、商売をしている人の麻薬みたいなところがあります。自分で経営し始めて最初の数年はつぶれそうだったのに、めっちゃ問い合わせが爆発したときがあって、オレもすごく興奮したもの。

でも結局CMが爆当りするとか、マーケティングでお客様をあおるようなLPをつくったりSNSでバズらせたりしたところで、ずっとそれをやり続けることはできません。一瞬熱くなったお客様をファンに転換していく仕組みがないと、ずっとザルから逃がしているだけになります。

広告を現時点ではしていないけど、売れているブランドはあります。そういうブランドも、出だしには知ってもらう、興味のフックをかけるようなことはやっていたわけです。

それをしながらファンづくりを平行して走らせて、徐々にそっち重視に転換したところが多いので、そうしていれば広告しないでも売れるブランドになるのは可能だよというお話でした。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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上のVoicy音声は下のリンクからどうぞ!

https://voicy.jp/channel/2089/301200


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