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個人のブランディング、何からやればいいか?

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」 コラム
 読めばブランディングができて、商売が上手くなる。


【お知らせ】

コテツです!

3月12日土曜日18時から、渋谷でトークイベントやります!
どなたでもご参加できます。

天才研究でアート型ビジネスを提唱する、やまけんさんと。

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同じテーマを持っている、やまけんさんとのトークショーで
非常に気づきのある内容になります。

内容は、

コロナ禍で消費者の心理が変化している中での
今のブランディングについて、
最新の事例も含めて

ブランディングに何が一体大事なのか?

をお話しします!

コテツゼミで何をやるか?も話します。

https://yamadakenta.jp/3309


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Voicy No.0014 2021年8月14日収録
個人のブランディング、何からやればいいか?


ブランドとはあり方のこと

「個人のブランディング、何からやればいいか?」という話です。

MBさんがVoicyで「コテツさんが始めましたよ」と紹介くださって、聴いていただいた方からすぐにコメントが付きましたのでお答えします。

コメントは後藤ねこきちさんからです。

『おはようございます。MBさんからの誘導で拝聴いたしました。自己実現。同じく違和感を持っていました。お話を聞いて腑に落ちました。個人のブランディングは、これからの時代に否が応でも求められている気がしています。私には中学3年の倅がいます。彼にそれを身に着けろとは言いませんが、いずれ取り組む必要があると伝えたいです。どのように順を追って示したほうがよいか、ご教授お願いしたいです』ということです。

ご質問から、普段からこういう課題認識を持っていらっしゃることが感じられます。「これが分かりません」とか、話した内容の表面的なことだけに質問やコメントをいただいても、もちろんきちっとお返します。

でも、コテツゼミの講義の準備を終わって、このあと家を出るまでにコメントにお答えしたいと思ったのは、後藤ねこきちさんが俺の「個人ブランディングってどうやるのか?」を聴いて、「中学3年生の息子がいずれ必要になる時代が来るから、それが何か伝えておきたい。どういう順番ですか」という質問をくださったから。普段から、すごくお考えになっていると思いました。

猫吉さんのお話で「自己実現に同じく違和感を持っていました」というのは1つ前の放送で触れたんですけど、本題からズレますが補足が必要と思うのでお答えします。

俺は自己実現という言葉がすごく嫌いで、使うことがないんです。というのは、人が何かに取り組もうと思ったら、コテツラジオ的な放送に関しても、コメントを頂いたりすることで新しい刺激を得て、少しずつ「人とのジャズセッション」みたいに変わっていきますよね。

だから、自己実現って何なのかな? なぜその人の夢に、みんなが協力しなきゃいけないんだと思っているのです。大きなことを成し遂げるには、どこからか人と共同の夢になっていくと感じるからです。

自分は26で起業して、自己実現とか自己欲望の塊でした。会社を大きくしようとして大きくなったんですが、その途中からは、入ってくれた社員の能力とか、そのとき取引している会社から寄せられる要望や新しい要素で、自分の考えていることはどんどん変わりました。

ですから、ほかの人と一緒のセッションだという考えを持てば、自己実現にこだわらず、いい方と一緒に何かに取り組んでいるうちに前に進んでいって何かが起こる。そこに自分の要素も入っていればとてもうれしいぐらいがいいと思っているので、「自己実現というのは変な言葉だ」とお話ししました。

すると猫吉さんも「違和感があったんです」と前半に書いていました。

コメントの後半にあった「中学3年生の息子さんがいて、ブランディングが個人も必要な時代になるだろうから、どのように順を追って説明したらよいか、ご教授お願いします」に関してお話しますね。

これはなかなか鋭いです。ブランディングには順番があります。まず、ブランディングというのはブランドづくりのことです。見え方をぐっとイメージ戦略するみたいなことがブランドになっていますが、ブランディングとはブランドづくりのことです。

ではブランドとは何か。相対比較――価格比較とか、量が多いとか、性能がいいとかいう比較の軸を超えて、ファンの方が「あなたじゃなきゃダメだ」と言ってくださる状況ができていることです。

皆さんは、ブランドが何かというのが曖昧です。それはコテツが別な放送でしゃべっていますので、面白いし、ためになるので聴いてください。

個人の方のブランディングの場合、何からやればいいでしょうか。

ブランドというのは「あなたじゃあなたじゃなきゃダメ」という状況をつくることで、ブランドって突き詰めると「あり方」のことです。見せ方じゃないです。あり方というのは「何を大事にしているのか」ということです。

中学3年生の息子さんに、「今は誰々のあり方はどうなの?」と聞いても「あり方」ではピンとこないでしょう。

大事にしたいことは何なのかという問いが最初にあって、自分が個人のブランディングをするとき、口頭で聞いても出てくるものがすごく偏っていて、ご自身でご自身の魅力を語れるかというと、そうじゃなかったりします。どういうものを大事にしたいのか、価値基準の中心に置いているものは何なのかというのは当然、お聞きしますが。

あとは、観察やヒアリングして一緒に過ごす中で発見していくというのがブランドプロデューサーの仕事で、それは俺がやることです。「あり方」は年齢とともに変わっていくし、企業ブランドでも、ブランディングの中で「あり方」の解釈が変わっていくことはもちろんあります。

ブランドつくりをする、ブランディングをするときは「あり方」に立ち戻りつつ、その「あり方」を自分なりにどう解釈するかというのが第一段階で、それをどう伝えるかというところなのです。

それを伝えるのもちょっと本題から外れるので、ここは軽めにしておきますけど、ブランドのやり方があって、ファンの方が「あなたじゃなきゃダメ」と思ってくれる状態。個人の場合は、周りにいる方が「あなたと何かをしていきたいな」と思ってくれるほうが一緒に前に進んでいきやすいから、夢やビジョン、価値観の共有が必要になってくるんです。

なので、自分が大事にしているものは何か、あり方は何かというのを考え、それをどう伝えるか工夫を行ない、それを共有できる人が出てくるようになれば人と共有するという順番です。個人だけに限らず、企業ブランドも、ファンとのかかわり合いの中で何を共有していくのかというところが、とても大事なのです。

今のところ大きな流れだけざっくりお話しました。
次のチャプターで、もう少し掘り下げてお話ししていきます。

自分探しの前に

個人のブランディングでは「あり方」の確認をします。

ここでいくつかブランドに関して話しておかないといけません。まず売りたい物があるからブランディングする。それはいいと思います。

ただ、本当は順番としては逆。大事にしたいことがあるから、それを売るという行為で伝えていくという順番です。売りたい物やサービスがあるから売るためにブランドをブランディングするというのは、順序が逆なのです。

これは「鶏が先か卵が先か」で、俺も現役の経営者で会社経営を20年以上やっていると、理想だけ言っていてもやっていけないのは充分わかっているので、物がまず売れるという状況をつくりながら、その間に「あり方」をつくっていくのでもいいですが、本来、順序は逆ですね。

売上や利益を超えて大事にしたいものがあるというのが、本当のブランドです。

例えば、エルメスとか、とらやとか、世界に名だたるブランドがあると思いますが、長く続いていて、確実に「あなたじゃなきゃダメ」ということで、相対比較を超えて、常にそのブランドを応援し大事にしてくれているファンの人との関わり合いを考えていくときに、売らんがために全部変えていったら、そのブランドは魂を失います。

しかし、売れなくても大事にやり続けろということじゃないので、ここを誤解なきようにお願いします。ブランドになっていく人も物も、売上、利益、効率とかを超えて、「これを自分たちは大事にしていきたい」というものがあって、それを踏まえた上で売れるものをつくっている流れがあるから、ブランドのファンが長く信頼してくださる。

例えば、真っ赤なフェラーリレッドがある。そのフェラーリが、「最近はでかくて排気量が多い車なんて売れなくなってきたので、赤じゃなくていい。緑でも、黄色でも、はやる色にして、軽自動車でも何でも売るために出せばいい」となった途端、フェラーリの魂がすごく好きで、それを大事にしてきたところにほれ込んだファンは、離れていきますよね。

これも本題からズレるので軽くしか話さないですが、売るためにはバリエーションを増やしたほうがいい。けれども、ブランド主としてスタイルを守り通すために、あえてバリエーションを増やさず、それでいてファンが付いているケースがある。象徴的なのはAppleのiPhoneとかのイヤホンコードなんです。

自分は日本の家電のブランディングも関わっていたことがありますが、日本の家電メーカーは、すぐ消費者インタビューを取りたがる。アンケートを取ったら、イヤホンコードの色は多いほうがいいという結論になると思いませんか。

会議をすると、イヤホンコードは赤じゃなくて青が好きな人もいるだろうし、黄色が好きな人もいるし、グリーンが好きだとか、黒が好きだとかいるとなると、イヤホンコードの色は、カラーの数が多ければ多いほど売れるという話になりがちです。

ただ、iPhoneがブランドとして成り立つ理由は1色だったからです。今もそうなのかな? スタートからずっと白だから、白いコードを見たら、これはiPhoneだな、Appleだな、みたいなイメージがあったと思うんです。あれを売ることを考えれば、なんでそんなことをするのという話です。

男性の場合は黒い服を着ている人が多いのは、目立つからではありません。AppleとかiPhoneが取りたいポジション――自分たちの「あり方」として、スタイリッシュというところで白とシルバーは外せない。売れる、売れないだけで考えたら、カラーバリエーションを増やした方がいいんだけど、という考えが元になっているのです。

これはものすごくプロダクトに寄ったお話ですが、ブランドとして続いているものとかファンが長く熱く付いてきているものには、大事にしているものがあるのです。

個人の話にまた戻ります。個人の場合は「やり方」。どういうふうにありたいか、何を大事にしているか、価値観の中心に置いているのかは何かがブランディングの中心です。まだ中学3年生だとなかなか難しいですが、大人が自分のブランディングを考えるときに、自分のあり方として中心に据えるものは何かとなったら、棚卸しをした方がいいです。

コテツブランド論で「3つのフレーズ」と言っているのは、ルーツ・ヒストリー・ポリシーです。

ポリシーは「あり方」とつながるから、ここで言うところではルーツ・ヒステリーですね。ルーツというのは「どこから来たのか」です。自分はどこから来たんだ。それは物理的場所でもいいし、自分の考えの元になっているのは何なんだ。お父さんの影響なのか、お母さんの影響なのか。子供のころ、うれしかったことからなのか、嫌なことなのからなのかというルーツの棚卸し。

あとはヒストリーです。ここに来るまで自分をつくり上げてきたドラマを確認するのは、ブランドのあり方づくりにおいては結構大事です。

ストーリーを伝えた方がいいのであれば、ストーリーブランディングです。ストーリーに乗せて自分のあり方を伝える一歩手前で、自分で自分のあり方を確認するために、ルーツとヒストリーの棚卸しをまずやることです。

中学3年生の息子さんには、ルーツと言ったところで基本的にはお父さん、お母さんの影響、ご家族の影響が強いと思います。

ブランドづくりはファンづくり、ブランドというのは「あり方」のことなんだけど、最近のはやりで、自分探しみたいな捉え方をしているケースが結構多いです。俺は今もバカで未熟なんだけど、自分が若くて、ものが分かっていなかったときや経験が足りていなかったときは、自分探しをしても、なんだかモヤモヤしたものが拭い去れませんでした。

それはなぜか。自分探しをして、パカッとロボットみたいにおなかが開くとして、開けてのぞいてみても何もないことってありますよね? 個人ブランディングの場合は、自分探しの前に自分づくりが必要なことが結構あるからです。

自分づくりでブランドコンセプトと言われているものは、ブランドのあり方やその人のスタイル、ブランドのスタイル、ブランドのセンス、ブランドの世界観が合わさってつくられます。

自分のスタイルとかセンスとかあり方を自分探しして用意してみようと思っても、自分づくりが終わっていないと、あり方とか自分探しをやっても出てこないんです。

自分づくりには、さまざまなスタイル、思想、行動様式に触れてみる。それも、眺めるというよりは一回その中に入ってみる。自分というのは意外とこういうものが好きなのかもしれないみたいな幅を広げる時間とか時期があって、そこで自分づくりをやってみる。そのあとに自分探しをして、自分なりの価値観とかスタイルとかセンスが出てくるという流れです。

タレントさんや議員さんというプロフェッショナルをブランディングするときも、リブランディングするときもそうです。今までのその人のやり方とか、その人のメッセージの打ち出し方とかスタイルで頭打ちになった場合、自分探しの前に、自分づくりをしてもらいます。

それで今まで自分がやらなかった格好とか、表に出る出役の方には趣味とかを広げてもらって、その中で新しい自分づくりをした上で、新しいあり方を置いて再解釈してリブランディングしたりします。

コメントを頂けましたら、お答えできるもの、皆さんでシェアした方がいいものはお答えしていきます。これからもできるだけ皆さまにお聞きいただいて、少しでも気が楽になるような放送をしてまいりますので、よろしくお願いします。

以上、久々野智小哲津でした。

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