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ブランド=イメージ戦略なのか?

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」コラム
読めばブランディングができて商売が上手くなる

このコラムは、コテツがVoicyのブランディングと商売の話で語った内容を文章化し加筆したものです。
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Voicyもお聴きください。

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Voicy No.37 2021年9月14日収録
ブランド=イメージ戦略なのか?

SDGs大流行り!

ブランディングという言葉がとても使われるようになって一般用語になりましたが、一般的に日常会話で、多くの方はイメージアップPR戦略をブランディングと言っている気がします。

イメージアップPR戦略とブランディングは違います。

これがブランドにならない最大の理由ですが、イメージアップPR戦略と本当のブランディングが上だとか下だとか言いたいのではなくて、ブランドになりたいのであれば、ブランディングづくりをしたほうがいいということです。イメージアップPR戦略はイメージアップにはなるけれどブランドにはならないから、ここはブランドになりたいか、なりたくないかですよね。

ただ、手段としてブランディングがあって、その上に目的として本当のブランドになって、ファンの方とのいい関係とか愛される関係をつくりたいと思っているのであれば、ブランディングをやるべきです。イメージアップPR戦略で、一瞬イメージが良くなればいいと思っている人は、それをやればいい感じで、ごっちゃになっているけれど、この2つは全く別物です。テーマの「ブランド=イメージ戦略なのか?」は、全然違うということです。

ブランドは、ファンの方との関係がとても熱いものになっていて、ファンの方から見て「あなたじゃなきゃ駄目」となっている状態ですよね。これはコテツラジオのほかの回できちっと話しているので、さかのぼって聴いていただきたいと思っている。

イメージをつくり込んで、そのイメージがブランドの在り方とか思想とか、大事にしているものと乖離して、今だけイメージづくりをすれば売れるとか、乗り切れるとか、人気者になれることがわかってそうしていればいいけれど、それはどうせ続かないのです。

そうなりますと、ファンの方というよりは一時的なブームになって、注目してくれる方が増えても潮が引くように引いていってしまう。それではブランドにはならないですよね。

なので、イメージとブランド自体、人のブランドであれば、その人の在り方、思想、大事にしているものと、その打ち出しているイメージが一致していることが大事です。イメージやメッセージという「出すもの」は在り方が太陽のコアのように中心にあって、そこから出てくる炎が在り方と一致しているものをアピールしていけば、ブランドづくりにおけるイメージ戦略になっていきますが、イメージアップだけするPR戦略は、ちょっと違うかなと思っています。

例を挙げます。

今はSDGsがすごく浸透度が早かったね。コロナという社会問題に対して、すごく一人一人が考えるんだというふうに価値観が変わりました。世界中でコロナという一つの社会問題にこんなに取り組んだケースは、人類史上初でしょう? 

どこかで飢餓や戦争があっても地球まるごとにならなかったので、まあまあ文明文化が発展しているところは全部コロナ渦にどうするかというので、みんな一緒に戦っているわけではないけれど世界中で同じ社会問題に取り組んだので、人々の生活やビジネスも社会問題と切り離せないという教育がなされて、この2年間で考え方の規範が変わりましたよね。パラダイムシフトです。

サステナブルとかSDGsとか、すごく浸透していて、もう少し前だと言い方としては持続可能性が浸透していました。3~4年前は京都議定書が先進国の間で結ばれて、地球環境に対する約束事は政府がやっていたのだけれど、今は普通の個人もSDGsとかサステナブルとか持続可能性というものに、どう関わろうかなという感じの認識がある。

企業と話していますと、そういう話になったりするのよ。あと、自分は今ご紹介でしか仕事を受けていないので、ブランディングとか経営のアドバイスに関して人に会うと、そういう部分を伝えていきたいという会社は結構ある。けれども、もともとそういうことを何とも思っていない会社とか人が、急にSDGsに乗ればイメージが上がると思っても、それは見透かされるよというところです。

あと、今の企業の中ですごくテーマになっているのは、ダイバーシティーや女性活躍。女性だろうが男性だろうが役員や役職者に登用して、いい仕事をしてもらおうと思っている会社やトップや経営陣やカルチャーがあるか。逆に、女性を下に見て、女性も混ぜてあげたほうがいいみたいにやっているかは、伝わっていくでしょうと思う。

だから、イメージアップだけやったところで、もともと考えている在り方、思想、大事にしているもの自体がそれを何とも思っていないという状況では、ブランドになりません。

これはなぜか。

もちろんツールが昔と違って、今はネットやスマホで情報に対して触れる量が著しく上がっているので、企業や人に関しても必ず情報がありますよね。なので、もともと何を大事にしていたかというのを情報量として見て、理解しやすくはなっているところもある。

あと結構大きいのが、人は文字や絵だけではなく、もっと総合的にその存在自体を掴んでいるからです。ちょっと言葉が難しいな。人の情報の感度はすごく高いと思っていて、ある企業が商品を出したときに、その企業が「売れそうだから他社のまねをして、これを出せばいいや」と思って出しているのか。それとも、その会社がそもそもそれを消費者に本気で届けたいと思って出しているかは、敏感に感じます。

消費者はそんなに馬鹿じゃないと思っています。人と会うときもそうだと思うけれど、しゃべりがうまくても、何か違和感がある。この人は本当にそれを思っているのか。この人は真剣に自分の相談に乗ってくれているのかというのは、感じるところがあるでしょう?

ただ、こういう直感、違和感だけを言っていると、わからないという人も結構多いけれど、それはすごく大事なことと思っている。なので在り方とイメージを一致させて、それに触れている消費者とか周りの方々に、違和感や直感で変だなと思われないようにできるかは、ブランドづくりとしては超重要かな。


イメージ先行で変えていく。


本当にそうであることにはかなわないという話です。ブランドや商売をやっていて、心の底からそう思っている人、それ自体が苦ではない人、そういうことに取り組んで、打ち出している商品やサービスやブランドや、その方がやっている活動自体が腹の底からそう思っているかどうかと、今それが受けるからやっている人とか会社は、消費者にいずれわかってきてしまうのです。

腹の底から思っていないビジネスをやるなとは思っていません。タピオカが流行ったからフランチャイズをやって、1年半で投資回収して、1年半で利益を出して3年で閉める。その経営者がタピオカを大好きかというと、タピオカが好きじゃないけど流行っているのでやっているというのは、悪いことでも何でもないと思っている。ビジネスのやり方の一つです。

24時間フィットネスが流行ったらやり、それを5年やって閉めて、その後コーヒーショップのフランチャイズをやるのは、立派なビジネス戦略だと思っています。

だから、やっている人がこれをブランドとして、腹の底から思っていることを伝えたい。大事にしているものをファンの方に伝えると、お互いにとってプラスではないかと思っているのであれば、それに合わせたイメージ戦略を打っていくことが大事だったりします。

けれども、イメージアップ戦略は無駄ですかとなったら、違うんだよというのがある。対処法というか、これには一つ取り組み方があって、個人の場合もそうだけど、与えたい印象に合わせて自分を変えていくというやり方があるのです。イメージと、その人が大事にしているものが、そのとき完全一致はしていないけれど、イメージを先行させた上で在り方とか大事にしているもの、ブランドの根幹を、その与えたい印象に合わせた形に変えていく。

鶏が先か卵が先かですけれど、それには意外と意味があったりします。与えたい印象、ブランドの在り方をイメージから想起して、そこに合わせて自分の在り方さえも変えていってイメージを追いつかせるというのは、リブランディングするときに「あり」なやり方だったりします。

ブランドは在り方、自分の思想、哲学、大事にしているものと、それをどう見せていくかというイメージがあって、ここを一致させる。行ったり来たりしながらつくっていくものなので、イメージアップ戦略だけやっても無駄だと覚えておいてください。

以上、久々野智小哲津でした。


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