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ブランディングのアイディアの作り方

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」コラム
読めばブランディングができて商売が上手くなる

このコラムは、コテツがVoicyのブランディングと商売の話で語った内容を文章化し加筆したものです。
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Voicy No.0031 2021年9月6日収録
ブランディングのアイディアの作り方

リコメンドされたものばかり

今はスマホ、PC、タブレットで情報を得る時代だし、AIという言葉も範囲が広くてAIばやりで、単純にデータベースから属性に合わせて情報を引っ張り出すことまでAIと言いはじめています。人工知能ではなくて、データから導き出された答えまでAIと広い意味で言っているので、気をつけて使わなきゃと思っています。

今の時代は「リコメンドされたものばかり時代」です。スマホシフトとスマホネイティブという分け方ができますが、俺なんかはスマホシフトです。元々は携帯ではない時代だからね。携帯電話があった時代から物心ついている人も途中からスマホに変わったので、そういう方はスマホシフトです。パソコンでやっていたこともスマホに切り替えていっている人は、スマホシフトの世代というか。

スマホネイティブという人たちがいて、物心ついたときから、タブレットも含めてスマホで全てをやっています。スマホネイティブの人は「リコメンドされたものばかり時代」なんです。だから、テレビでチャンネル争いをすることは、もうないわけ。自分が気に入ったもの以外見たことがないという人も結構いるんだよね。

「リコメンドされたものばかり時代」というのは、売る側にとってはダイレクトに消費行動に導けるし、買う側にとっても欲しいものに最短でたどり着く良さはある。それを肯定否定するようなテーマの話ではないですが、つまり効率です。ブランディングのアイディアの作り方を広く捉えれば、ビジネスの企画も含めアイディアでという話だけど、アイディアはランダムウオークが効いてくるんです。

ランダムウオークというのは寄り道ね。寄り道しないと、リコメンドだけだと、アイディアの種みたいなものが入ってこないんです。

こういう話をすると「じゃ、どっちがいいんですか」という人がいる。俺が言いたいのはorじゃないんです。リコメンドされたもので情報収集したらダメで、寄り道していろんなものを見に行ったほうがいい。「or」で言っているところは「and」だよということ。

これをorの話かandの話か、ごっちゃにする人と議論すると困ってしまいます。orで言っていません。andで両方有効だという話ですが、レコメンされてスマホで手の中に来る「あなた好みはこれじゃない」というオススメは、ある種の押し付けですが、そういうものを見るのは効率がいい。

ニュースアプリでさえ「興味あるものを選んでください」で3つとか5とか選ばせる。興味ないものに興味を持つようになるきっかけは、どこへ行っちゃうのと思うんだけど、それもそういうのを持ってきてくれる人と話をする。フィーリングが合うけど自分の趣味と違う人と話すというのもあるけど、それはこの後話すので、順番を間違ってしまいました。

ランダムウオークが効いてくる。ランダムウオークというのは寄り道で、寄り道は物理的なことだけじゃないけれど、こちらが選ばなくても目に入って手に取ることになるところにアイディアの種が入っているし、それは未来への投資なんです。だから効率とは全く真逆の志向ですよね。あとは行動なんですけどね。

町歩きは面白い。得るものがありますよね。でも俺は昔大嫌いだった。自分が1つ目の会社をやっていたときは、会社を大きくすると社長というのは偉いんだという非常に一面的な尺度で経営を捉えていたので、町歩きを時間の無駄だと思っていたんです。車があったから車でいろいろ行きますよね。最短距離で。それがデートとか休みの日とかはもちろん町歩きは好きだったんだけど、仕事のときは無駄だなと思っていた。最短のルートで行きたい、効率効率みたいな感じだったんだけど、町歩きをしていると発見がある。

コロナ禍だと、この通りのこのお店が閉店になるのか、このご時世でこういう店に今人が入っているんだとか、ここは何になったんだっけ? こんなの売れるのかなとか、季節の変わり目に新芽が出てくるとか紅葉になるとか、そういうのもアイディアの元になります。

あとは大きな本屋。これも楽しいんだよな。大きな本屋をうろうろしていると、「これ何の本だ?」という本があったりする。でも、これは時間という猶予を取らないと、どれもできないんだ。

大きな商業施設、ショッピングモールをイメージする人が多いかもしれないけど、ショッピングモールはどこの地域も全く同じ品ぞろえです。もっと個性的な商業施設とか小さなお店が集まっている町というか地域、東京だと代官山とか中目黒とか三茶(三軒茶屋)には、食べ物も雑貨も洋服も小さな店が結構あります。

下町のほうもそうですよね。葛飾柴又に行ってうろうろしてみたら、すごく歴史のある所がなくなっていたな。無駄の中にこそ可能性の種が埋まっているのに。

1つ例を出すのを忘れていた。これはコロナ禍なのでやっていないんですが、2年前ぐらいまでは、月に1回人狼会をやっていてです。その人狼会は毎週やっていたんですが、月4週あったら共同開催の人がいて、ある1人の人はファッション系のオピニオンリーダー。ファッションに詳しい人は多分わかってしまうと思うんだけど、その人と一緒に月1でやる。1週目は、例えばその人。お互い刺激になる人を誘い合いましょうということで、次の週がテレビのプロデューサー。その次の週がベンチャー企業経営者みたいに、共催する人とお互い刺激がある人とか、いい人を呼び合ってやっていました。

そこに来る人って、普段だとこちらから声を掛けたり接点を持ったりしないような人が来て、へえ~みたいなことがあるんです。結構前になっちゃうんだけど、びっくりするような人も来たからね。

びっくりするというのはスターとかお金持ちの社長だけじゃなく、こんな領域の、こういう人がいるんだみたいな。これもランダムウオーク(寄り道)ですよね。

ほんとだったらお互い仲がいい人に「こういう人を紹介して」と言って、ピンポイントで紹介してもらうのが一番いい。もちろんそういうお付き合いもあるけど、何人か来てくださった中にびっくりするような人がいて、そこから自分の可能性とか何かを学ぶきっかけを得ることがあります。

町歩き、大きな本屋、商業施設とか小さなお店が集まっている所に行って、お誘いいただく人と出会う機会をつくっていただくこともランダムウオークだということです。

こういうのをうまく活用している人たちがいるので、その話を次のチャプターでします。

アイディアの種を拾いにいく

アイディアの作り方は未来の投資です。一見、無駄に思えるけど、種を探すようなことをやっていることが、その人の将来の可能性とか引き出しをどう広げるのにつながるので、共通で多くの方が見ているケースがあるので紹介します。

お笑い芸人さんと自分は、いろいろな形でつながりがあって、お仕事を一緒にする機会があります。芸人さんも緊急事態宣言下において食事は行かないようにしようということで、意外と真面目ですよ。特に大手のちゃんとした事務所の人はね。

緊急事態のときは行かないけれど、仕事で会うとちょこっと話すとか、緊急事態が開けていたときに行った食事でも文化的なこととか結構いろいろな話をするんです。

あとは、皆さんもご覧になってわかることだけど、芸人さんは後輩と連れだって旅に行くんです。あまり売れてない後輩とかに全部お金を出してあげて、旅に連れて行くことが結構ある。

旅に行くというのは普通の人が気分転換に行く側面もあると思うけど、これは旅に行ってそこで面白い出来事が起こったりして、そこでのネタの広い方と、それを熟成させてどうトークにまとめていくかというのを練習しているわけですよ。

『人志松本のすべらない話』とか、芸人さんがよく出ている番組の中でエピソードトークがあると思う。名前は想像が付く方がいると思います。「後輩の誰々と旅行していて、こんなことがあって、あんなことがあって」という話があります。もちろんエピソードを常に持っていないと、というのもあるけど、お金のないとき、新しいことが起こしにくい。どうしても家と職場の往復になるから。

結構出ている先輩芸人さんが後輩の方を連れて行く1つの意味合いとして、そこで一緒にいろいろな体験をして、それを腕のある先輩芸人がどう料理してどうしゃべるかという部分と、後輩芸人さんに面白くしゃべる練習と、面白くしゃべれるエピソードをつくらせるのもあります。

芸人さんはプロだから、しゃべる材料がなくなったらおしまい。だから行くのだろうと思うでしょう? 

これはほかの仕事も絶対に一緒で、特に俺なんかは企業やプロフェッショナルとかとお話をして、ブランディングのアイディアを出していくから、先々どんなコンセプトや方向性でやるかというときに、時代の状況も見ていないといけない。「今ここで、こういう流れが来ているから」というときの「こういう流れ」は、調べるとかリコメンドで待っていたらダメなのでというのと、これは全く一緒です。

自分のビジネスとか企画とかブランドの幅を広げようと思ったら、芸人さんが旅行にちょこちょこ行ってまで、自分の笑いのネタをつくる練習をして、エピソードを増やしているようなことをやったほうがいい。

だって、どこにも動かず、家の中にいて、面白いことなんて起こるわけがない。芸人さんだって『人志松本のすべらない話』にいつ呼ばれてもいいように、常にあえて新しいことをやる。新しい習い事をやったり、人によっては風俗に行ったり、意図的にそういうことをやっている方が結構いますよね。

もちろん「そのための努力しているんだ」とご本人が言うのは一番かっこ悪いから、例えばというケースで今、自分はお話しした感じです。

これはクロージングトークですが、俺はコスパという言葉があまりぴんときていません。コスパって目の前における効率の良さを追求してお得だと言っているだけで、先々を見てとか、いろんなアイディアとか可能性を踏まえたら、決してコスパがいいと思えないことはいっぱいあると思います。

以上、久々野智小哲津でした。


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