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ブランディングってどういうことか?誰も教えてくれない本当のこと。

「コテツのブランディングと商売の話」コラム

 読めばブランディングができて、商売が上手くなる。
このコラムは、コテツがVoicyのブランディングと商売の話で
語った内容を文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
Voicyもお聞きください。

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Voicy No.0003 2021年7月28日収録

テーマ「ブランディングってどういうことか?」

1、ブランディングはブランドづくり

 ブランディングってどういうことかに関して、一度しっかりお話をしておきたい。ブランディングという言葉がこんなに広まったのはインスタのおかげです。一般用語になっているじゃないですか。だからブランディングとかブランドという言葉を普通に使っているのはこの5年ぐらいです。もしかすると、ブランドという言葉よりもブランディングという言葉のほうが今、日常会話には登場しますよね。ブランディングで食べに行った時に写真を撮っている、自撮りするとよく言うものね。

 ブランディングとかブランドという言葉が一般用語になったし、企業としてはユニクロとか佐藤可士和さんがおやりになったデザインやロゴマークから入ってくるブランディングの流れというか見せ方が企業の認識を非常に変えたというのもあり、この15年ぐらい、ビジネスでも急激にブランドとかブランディングが大事じゃないかと言われてきているのです。今日は法人向けの話がメインではありませんが、一昔前はCI(コーポレートアイデンティティ)の見直しみたいなことでやっていた。

 CIとブランディングの二つがちょっと概念が違うのはいいとして、企業でそういうことをやるようになり、その次に普通に生活しているときにも使うようになり、インスタが出てから「自分のビジュアライズイメージを伝えることがブランディングだ」みたいなことになっているのです。

2、てきとうすぎるブランディングの定義

 ただ俺は、ブランディングの言葉の使い方が合っている間違っているを言いたいのではありません。企業のブランディングとかタレントさん、議員さんのブランディングをするときに、そもそものブランディングの定義や解釈がアバウトすぎてうまくいかないことが多いから、ブランディングとは何かを説明しておきたいというのが俺の気持ちです。

 ブランドづくりとかブランディングがうまくいかない理由は、完成図がわからないからです。ブランディングが何かわからないけど、ビジュアライズのイメージを良くする活動をやれば、ブランドになるのではないかと思っている。イメージを良くすること=ブランディングという間違った認識。でも、イメージアップ大作戦をやっただけではブランドにならないですよね。
 
 言葉の本当の意味を一個一個説明していきます。

 まずブランディングは「ブランドをつくる活動」のことです。なので、もし自分のブランディングというのであれば、自分のブランドづくり全般の活動をブランディングという言い方だよね。企業で言えば、企業のブランドづくり全般の活動。

 では、ブランドづくりとなったときに、「ブランドってなんなの?」にまた戻ってくるんだけど、ブランドというのは「あなたじゃなきゃ駄目」というファンの方との信頼関係がある状態です。有名だからブランドになるわけではない。
 
3、誰も知っている『有名である』と、『ブランドである』は、別のこと。

 例えばコカ・コーラにしてもクリネックスティシューにしても、有名だけど、コカ・コーラじゃなきゃコーラは飲まないという人がいるかいないか。これは多くの人にとってコカコーラがブランドというよりは、ある一人の消費者にとって、それが『コーラはコカコーラ!これじゃなきゃダメ!』というブランドになっているかどうかです。

 コーラとペプシコーラがあって、2つあるんだったら絶対コカコーラを飲む。それを越えて、ペプシコーラしかないなら、私は今回コーラを飲みませんという人がいたら、その人にとってコカ・コーラはブランドです。「あなたじゃなきゃダメ!」になっている。相対比較を超越している状態なので。

 でも、ネピアとかクリネックスに関しては、有名だけど、トイレットペーパーのメーカー名をトイレで確認して、「私はクリネックスのトイレットペーパーじゃないとお尻を拭かない!」という人はいないと思う。クリネックスとかネピアは素晴らしいサービス名なんだけど、その状態はブランドではなく、有名なメーカーなのです。

 なので、買う人にとって基準が全く個人一人一人で違うので、人によってはあるものはブランドだけど、人によってはブランドじゃないというものもある。

 例えばユニクロ、無印良品、しまむらでは、白のTシャツは同じぐらいの価格帯で買える。その白いTシャツが3つのブランドのどこからでも手に入るとき、どれでもいいから安いものを買う人もいるだろう。その人にとってはユニクロも無印もしまむらもブランドじゃない。価格で決めている。あるいは近いとこで買えばいい。そういう基準の人にとっては、ユニクロも無印もしまむらもブランドじゃない。ただ、しまむらのほうが安かろうが、お店までの距離が遠かろうが、私はユニクロに行って白いTシャツを買いたい。いやいや、最寄りの駅にしまむらがあるじゃん、と言われても、しまむらではなく自分はユニクロに行って買いたいんだという人にとっては、ユニクロというのは「あなたじゃなきゃダメ!」状態ができているので、ブランドだということです。

4、『あなたじゃなきゃダメ!』の状態にするためにブランディングする。

 『あなたじゃなきゃダメ!』をつくるのがブランドづくりです。なので、個人のブランディングといったら、自分自身のブランドづくりをして、「あなたじゃなきゃダメだ!」という人がいるか、いないかなの。無料のフォロワーが多いとか少ないとかっていうのは、ブランドづくりとあまり関係ない。

 タレントさんでフォロワーが10万人いても、有料のイベントをやったら全く人が来ないというケースがあったりするんです。それは結局、無料で流し見というか、ちら見はするけど、お金を払って「この人じゃなきゃダメだ!」という特別な価値を認めていないということなので、それはブランドにはなっていないということです。

5、『ブランド』って何か?がわからずにつくれない。

 ちょっと話が横道にそれますが、「ブランドになれ!」とか「ブランディングしよう!」とか、今、世の中でいっぱい叫ばれています。一般のお喋りや会話のときは、こんな意地悪な質問をしなくていいんだけど、仕事でそのテーマが出てきたら聞いてみてほしいんです。

ブランディングを商売やビジネス上でやるんだったら、それをみんなで達成目標として成し遂げようとしているわけじゃない? そのときに、その達成目標の「そもそもブランディングってなんですか?どういう状態になればいいってことですか?」と質問してみてください。

 これは結構大事なことです。それが人によって、「ブランディングができている!」「ブランドになった!」の完成図が全然違ったりするから。「マーケティング頑張ることだ。」「集客することの先にあるものでしょ?」「SNSを頑張るんでしょう?」とか「TikTokとかインスタをやることでしょう?」という人もいるし、「完成予想図が全然違う。

6、私の『おいしい料理』と、他の人の『おいしい料理』は違う。

 『おいしい料理』みたいなものと一緒で、おいしい料理って言われて思い浮かべるものって、人によってまったく違うじゃないですか。

日清のカップヌードルに3分でお湯入れて食べるのがおいしいと思える人もいるし、おいしい料理といったらミシュランの三つ星をイメージする人もいるし、お母さんの手料理の唐揚げだよという人もいる。バラバラだから、聞いてみたらいいんです。

「そもそもブランディングできているってなんですか。そもそもあなたの言うブランドってどういうことですか」と聞いてみてください。

さらに踏み込んで「それはどうやったらつくることができるんですか」というのも聞いてみてください。そうしないと、やっぱり企業のブランディングはうまくいかないよね、本当に。結構アバウトですから、その辺は。最初にクライアントに相談の依頼を受けて面談に入っていったときには、そこのブランド、ブランディングってなんのこと言ってるの?が決まってないことが多いんですよ。そもそもを摺り合わせてないことが多いので、今お話ししているようなことをお話しさせていただくんです。

 「あなたじゃなきゃ駄目」というファンがいてくれて、そのファンとの信頼関係があることがブランドで、その状態をつくるためにブランディングをやる。相対比較を越えてスイッチされない状態というのが、ブランドとファンの関係です。なので、知っている人が多いとかいうのは、ブランドの尺度としては全く別物だよね。

7、『これじゃなきゃダメ!』『買うことはある。』『ただ知っている。』は違う。


 『これじゃなきゃダメ!』のナイキのファン。
 『買うことはある。』のナイキのお客さん。
 『ただ知っている。』ナイキを認知している人。
って、まったく別物で
ファンにとってはナイキはブランド。

 ナイキのスニーカーじゃなければ履かないという熱いファンがいる。「俺はアディダスも嫌い。アシックスもあまり好きじゃない。ニューバランスは論外だと。俺はナイキのスニーカーしか買わないんだ。」という人にとっては、ナイキはブランド。

「ナイキをよく買っています」「アディダス買わないの?」「アディダスも買っています」「ニューバランスは?」「ニューバランスも買っています。でもナイキをいっぱい買っています」。これはナイキの顧客です。

 ナイキを買うけど、知っている程度で、特別な選択としてナイキを選んでないという場合もある。知っている人が多いとブランドになるのではなくて、ファンが多いから、ファンがいてくださるからブランドになる。そういう本物のブランドづくり、ブランディングに関しては、もう少し実例を挙げて説明をします。


8、思い入れも哲学もないけど、売れるからやっているビジネスは、ブランドにならない。

 ブランドづくりは「あなたじゃなきゃダメ!」をつくることです。なので、ブランディングはブランドづくり。ブランドづくりのブランドは「あなたじゃなきゃダメ!」という状況にファンの方と信頼関係が結ばれていること。「あなたじゃなきゃダメ!」をつくるには、あなたである理由や存在意義をつくること。これがブランディングの大本です。

 ファンの方が「あなたじゃなきゃダメ!」と言ってくださって、信頼関係の下に付いてきてくれるようになるためには、あなた自身、ブランド自身が、ブランドがある理由や存在意義を持っていないと、「あなたじゃなきゃダメ!」と言ってもらえません。

 コテツのブランド論はこれが大本です。自分は現役の経営者だから、ブランドだけにこだわって経営をしているわけではありません。ビジネスのやり方はいろいろあるから、「自分は特にブランドになるとか、在り方と売っているものと一致してし思い入れもないけど、商売としてもうかるのでやっています」というのも全然いいと思うんだ。

 例えば24時間フィットネスはコロナに入る前にすごくウケていて、フランチャイズで24時間フィットネスをやる方がめちゃ増えたんです。別に24時間フィットネスのフランチャイズオーナーが、フィットネスに人生を賭けていなくてもいいわけです。ほかの会社でやっていてもうかっていると聞いたからということでタピオカ屋を始めて、1年でもともとかかっていたお金を回収して、「3年持てば残り2年は利益かな。俺はタピオカ好きじゃないけど。」というのもビジネスのやり方だと思います。

 でもそれはブランドにはならないんですよ。存在している意義とか哲学がないから。

 これは商売としてブランドというのが上だとか、はやりでもうけるのが下だとかということを言っているのではない。なぜこの例を挙げたかというと、はやりとかブームで思い入れも哲学もないけど、とにかく今売れるもので儲けるビジネスに、ブランドとかブランディングを無理やり当てはめるというのは、そもそも無理ゲーなんですよ。

 「100メートル走るスピードで42.195キロ走れ」みたいなことで、ビジネスの性質としてブランドづくりをするビジネスモデルと、ブランドづくりをしてもあまり意味がないというのがある。だから、あまり意味がないものでブランディングをやってもしょうがない。マーケティングだけやって数を売り捌くことに集中したらいいんです。


 ブランドづくりは在り方づくり。『ブランドは在り方』であって、表面的な見せ方ではないんです。例えばカラー綿あめがはやっていました。コロナになって、そういう「はやりもの」はほぼ全滅だけど、俺はオフィスが原宿にあります。経営している会社が幾つかあるので、原宿と渋谷とちょっと前まで広尾に会社があったんだけど、原宿にあるとチーズドックとかタピオカとか、もうちょっとさかのぼればパンケーキとか、めちゃめちゃそのときそのときで流行るものがある。それって別に在り方からやっていなくても、いいじゃないですか。「カラー綿あめは今バズって売れるから。」でいい。でもそれはブランドとは違うものです。経営者がおいしいとも思ってないけど、ビジュアルアピールをして、アイキャッチでお客さんを呼ぼう、バズれば売れるしということでやるんだったら、いいんじゃないですか。

9、ブランドにしていくなら、『在り方 哲学 スタイル』を磨きましょう。

 ブランドとして、ファンの方に「あなたじゃなきゃダメ!」と思ってもらえる在り方を、きちっと整理する。これが俺の仕事です。

 ブランドとしての在り方を整理して、それがコンセプトとかブランドメッセージとかブランドコアとか言われているところです。その上流工程のところに入っていくのが俺の仕事だ。ブランドとブランディングの在り方を整理してつくりまして、そのあり方をさまざまな活動を在り方で伝えていく。在り方をはっきりさせて、在り方をブランドとしてのさまざまな活動で伝えていく中で、それをキャッチコピーやメッセージやビジュアルイメージや商品構成やお客さまとの関わり合い方のイベントとかに反映させていくというのが、ブランドづくりのベーシックなやり方です。

 SNSを使うのは非常に有効な方法だし、写真とか、めちゃ大事だよね。ただ、それが在り方に合った見せ方ができているかどうかということが大事です。個人のインスタとかを活用したブランディングは、単純に「きれいな写真が並んでいる」でいいのか。例えば、自分の在り方に即した側面だけを出し続けるとか、ブランドの在り方、スタイルが表現できているものを出すとか。ただただキラキラ写真やかっこいい写真や食べに行ったお寿司の写真を出すことがブランディングというのは、本当に違和感があるんだよな、俺は。

 ご質問、コメントを頂けましたら可能な範囲でお答えしたいと思っています。結構ブランドとかブランディングって腹落ちするまで時間がかかる場合も多いので、繰り返しコテツのVoicyを聞いていただくことをお勧めいたします。
 以上、久々野智小哲津でした。

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