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人の本能的な原理。ものを買う。人と組む。好きになる。

Voicy No.0124 2022年2月28日放送


人間行動の仕組みを学んで生かす。


商売というのはお客様、マーケット、消費者、ファンの方に気に入って動いていただくことです。自分のサービスを購入していただき、さらには自分のブランドを好きになってもらいたい。商売やビジネス、ブランディングというのは、それをどう実現していくかです。

それらのベースになるのは「人間はどう考えて行動するのか」ということです。

『影響力の武器』という名著もあり、「ビジネスパーソンはこういう本を読め」とか「経営するならこういうものを読め」といわれがちですよね。

マーケティング的には、顧客誘導的なやり方も昔からたくさんノウハウがありました。

「こうしたらクリック率が上がる」「この位置にボタンを置いたほうがコンバージョン率は上がる」といったように、テクニックや改善という意味ではやったほうがよくても、ある種操作的なものも多いです。

ただ、オレは今までのビジネスや人生経験から、人間の本能的で根本的な原理は非論理的で、正論とか正義は全く関係ないと思っています。

そのほうがいいからではなくて、そういうものだと踏まえた上で、消費者、お客さま、ファンの方にメッセージを発して接していくことです。

コテツのブランド論では「ポジショニングとブランドコンセプトを磨いて、競争しない位置を取ろう」という話もしています。

しかし競争を無力化するためには、最初は競争せざるを得ません。この先はAIが出てくるかもしれませんが、競争相手は今のところ人間です。「人間は何ぞや」というのを見ておかないとわからないし、競争に勝ち残れません。

さらには、どこと組むか考えます。これには内政面と外交面があって、組んで強固な状態をつくり上げていくにはどういう方と組んだらいいか。仕事以外だとどういう人と一緒に時間を過ごすのかにかかってくるのです。


戦争が始まった。


ロシアとウクライナの戦争が始まってしまいました。
(注:2022年2月放送のVoicyです。)

人間はテーブルに手をついてコーヒーを飲みながら語り合えば、みんな正論を言うでしょう。しかし現実では、戦車と爆撃機と核を持っているところが侵略してきたら、まっとうな交渉は成立しないという事実を突きつけられたわけです。

戦争はよくないといっても、攻められてきたら戦わないといけません。戦争反対を言うだけでは意味がないという方もいますが、目の前で子どもが殴られていたら「子どもを殴るな」と言うし、盗撮している人を見つけたら「おい、盗撮やめろ」と言いますよね。

戦争は暴力による殺りくです。オレにはウクライナに寄付するぐらいしかできませんが、目の前で不正とかよからぬことが起こったときに、声だけ出しても意味がなさそうなら声を出さないのかというと、声を出しますよね。

目の前でいじめが行われていたら、「いじめやめようぜ」とオレは言います。ここで侵略戦争の話と混ぜて政治の話をしたいのではなくて、やはりパワーゲームだということです。


パワーゲームに負けたとき。


企業対企業、人間対人間でも話をするときも、すべてが最後は暴力で決まっているわけではないものの、特に昔は学歴や勤務先、会社の規模、フォロワー数、年齢マウントがあって、交渉はパワーゲームでした。みんながみんな、意見交換だけで決まっているわけではないのです。

誰と組むかということは、
企業間競争においては絶対に知る必要があります。

それをなぜオレが言うかという話をしましょう。

20代後半で始めた1つ目の会社は十数年で伸びて、まあまあ大きな会社になりました。けれどもある日を境に、オレはその会社を突然去ることになります。その細かないきさつは必要ないので全部割愛しますが。

年収も資産もかなりあったころから、あることで財産も全部失い、億単位で借金も背負うことになりました。数十億の資産がマイナス数億に変ることを、わずか数週間で経験したのです。

すると、むき出しの人間がぶつかってきました。自分が伸びている会社をやっていて動かせるお金が数十億あるときに、取引先や周りの方は、そういう人だと思ってオレに接していたわけ。

権力もお金もある、事業もしっかり運営している人として。

それがある日なくなったらどうなったか。

ご挨拶で連絡すると「再起に向けて一緒にがんばりましょう」と言う人ももちろんいました。

けれども、その前の日まで「今度またお食事で接待させてください」みたいな人が、電話で事情を説明したとたん「ちょっと待てよ。コテツはあそこの会社の社長じゃないのか。この電話の用事って何なの」となって急にため口に変わり、「もう電話かけてこなくていいよ」みたいになった。

パワーゲームの中で、オレのパワーが急に大きく下がったわけです。


理屈で説明つかない事だらけ。


ビジネスでいう交渉力のパワーとは、仕事を発注できるとか、現金を大量に持っているとか、年間予算数十億を動かしているということ。株を持っているオーナー経営者から全く無一文の家なし会社なしの人になったとたん、人がどう一番行動するかを自分は目の当たりにしたんです。

でも、オレはそれを「人間って白状だね」というエピソードとして話したいのではありません。これはパワーゲームだからね。自分はそれを経験したけれども、そのときは「また力を付ければいいか」と思ったぐらいで、白状だなとは思いませんでした。

だって、取引先は、それに付き合っていたんだもの、当然じゃないかと思うよね。対面した人にひどいことをされたこともあるけれど、それでも人生というかビジネスはパワーゲームだと思うわけ。

ビジネスも人生も、浮き沈みがあります。

調子が思わしくないとき、これからというときは「コテツさん、お願いします。こんなことをやりたいんです」みたいな感じだったのに、その会社が好調になったとたん、あの感じはどこへ言ってしまったのかなという人もいます。

でも、オレはそれでいいと思っているし、そういうものだと思います。
それは致し方ない。

理想は、いいときも悪いときも変らないことですが。

ただ、ビジネスは10年ぐらいやっていると、なぜかわからないけれどものすごく儲かるときがあるし、10年で浮き沈みは1回ぐらいやってくるのです。オレは30年ぐらいビジネスをやっているので、浮き沈みは1回どころか、2回か3回ずつ体験しています。

人はピークのときはピークとわかりません。つまり力関係として、この人よりも自分がまだビジネス的に頼ったほうがいいか、あるいは頼らなくていいかわからないものです。

それで態度や接し方が変わることももちろんある。ただオレは「ひどいよね」と言いたいのではなくて、そういうものだと理解した上で、ビジネスや人生の交渉テーブルにつくべきだと思っているんです。

今回の戦争でも明らかなように、ビジネスでも同じく、パワーがあってお金を持っているところや社員が多いとか実績があるところとの交渉では、普通にやるとそのパワーに押し負けます。相手に悪意がなくても取引条件で勝てないでしょう。


現実はパワーゲームだ。


家電メーカーと家電量販店の力関係は、近年逆転しています。昔、パナソニックが松下だったとき、松下電器は国内をナショナルというブランドで、白物家電を「ナショナルパナソニックのお店」で全国展開していました。

家電量販店がまだあまりビジネスとして大きくなくて、松下電器(今のパナソニック)が、近所の町の電気屋さんを販売店として何千店と持っていた時代があったんです。

そのときは家電量販店と松下電器の力関係は、「家電量販店さん、置きたいなら置かせてやってもいいよ」でした。家電メーカーのほうが強かった時代です。

それが今、家電量販店で売る量が半端なくなりました。各メーカーと家電ブランドは人を出して「棚の入れ替えに汗かくので、その棚にわが社の炊飯器を置かせてほしい」ということで立場が逆になっています。

独占禁止法や商法で、強者がその地位を利用して何かを強いてはいけないとなっているとはいえ、交渉事で相手が大口の取引をまとめるお客様先だった場合は、ある程度の要望はのまざるを得ません。

自分の商品を2万個買ってくれるところに「この段ボールの色を変えてくれ」といわれたら受け入れるし、価格も「ほかでいくらで仕入れているの? うちは2万個だから、これぐらいでできるでしょ」という感じで、値下げ交渉もやってきます。

この現実。
だからパワーゲームなのです。

武器や年収、今の時代ならフォロワーとか仕事の実績があって顧客を持っているほうが、人は交渉に強いです。それは強気になると思う。だからそれを踏まえて交渉する必要があります。

美容師さんとかセールスや販売の世界も同じでしょう。やっぱり見た目がいい方のほうが売れるんです。

美容師は技術職じゃないですか。でも美容室で人気のところは、見た目を採用基準の中で重視しています。なぜかというと、見た目のいい美容師さんのほうがお客様のリピート率が高いからです。

これも業務的な努力とか技術を高める努力ではない、人間の本能的なメカニズムですよね。そういう部分はあると知っておくことです。

しかし、それでいいと言っているのではないし、もちろん、努力してそれを埋めていくことは可能だと考えています。


生物の本能と快楽の強さ。


あとはマーケティングの恐怖による煽り。これは以前のコテツラジオでも話しましたが、コンプレックス商材におけるマーケティングでの煽りとは、「これがとんでもないことになっているけど、これを使えば劇的な変化で」みたいなことです。

これも「人は危機から逃れたがり快楽を求める」という生物の生存本能的なものをうまく活用しています。

あとは、エロとかスキャンダル、噂話もビジネスとしては強い。
どれだけ理屈を言ってもね。

次も何の話?という例ですみません。

ある伝説のロックバンドが来日公演をしていました。もう6年ぐらい前の話です。

ロックのライブなので盛り上がりが熱狂的でした。そのステージで、伝説のバンドが何年かぶりの来日で演奏しているときに、1階の前から数列目の女性がトップレスになった。胸をさらけ出したんです。

オレは2階席で見ていたんだけど、そのとたん、前で演奏しているにもかかわらず、全員が振り返っておっぱいを見ていました。伝説のバンドが来日して演奏しているのに、オッパイには勝てないんだなと思ったわけ。

なんでこんな例が最後になっちゃったの(笑)

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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