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ブランディングとはファンとの関係をどうするか?(後編)

Voicy No.0151  2022年5月2日放送

前編はこちら→https://note.com/qkotetsu/n/n698049dfe3b9

非数字領域


二十数年会社をやっていれば反動はあります。本当に売上が大きくなり、それをどう自分が感じるかも経験したからね。年商と年収が上がって、そのマウントとか周りから称賛されることがどういうことかもやってみて、今すごく強く思うことがあります。

非数字領域というのは言い方が固いけれども、ファンとの関係をどうつくるかという哲学は、自分がベネフィットを提供できるスーパーニッチというか、対象に合っているお客さまやファンの方のためにやっていきたいのがオレの考え方です。

スーパーニッチというとものすごく誤解がありますが、市場をどうやって切り分けても、まあまあな規模の人数がいます。

日本で今iPhoneの所有率を1億2500万人いたとして、1割で1250万人。iPhoneでさえ8割の人が持っているという状況ではないのに、皆さんは商売を始めたり情報発信を始めたりすると、自分がミスチルかサザンか嵐になったのかと思うぐらい、ものすごく多くの人に評価されたくなりませんか。

自分の対象となる顧客やファンの方に届いて、意味のあることをやりたいのに……です。

単価×個数でいうと、個数を追っていないのがコテツのビジネスとしての顧客との関わりなので、自分のファンとか顧客、こうしてコテツの情報に時間と労力、エネルギーを傾けてくれている方に合っていることをやりたいと思っています。

ですから、「これをやったら、はやるかな」と大衆に迎合して、ウケる方向にしようとしなくていいのです。

マーケットや消費者を煽ってバズらせる必要も、今のオレには全くありません。

ブランディングと商売の話において、ファンの方、顧客やリスナーの方にベネフィットを出したいと思っているので、オープニングトークでは自分の趣味的な話をしましたが、オレ自身を好きになってもらうことを目指していません。

結果としてそうなるのは構わないけれど、オレのパーソナルなことを好きになってもらうファンビジネスは、全然やる気がないのが本音です。

まずオピニオンリーダーを目指していないし、こういう人に何かを届けている方のスタンスとして最終的にはファンビジネスでもありますが、お伝えする内容は磨き続けていきたいと思っています。

ですから情報発信上で、あまり個人的なこと、旅先や、この前どこに食べに行きましたというのはやっていません。これはあくまでもポジショニングとかスタンスの話なので、そういうのをやりたい人はやっていいと思っています。

オレは価値を感じていただけるように磨いていきたい。商売とかブランディング、今の消費者の変化、世の中の変化の中で商売とか人生のヒントを得てもらうところに一点集中していきたいです。

ファンと顧客との関わりは


自分の顧客やファンとの関わり合いの中で、これは話しておこうと思うことがあります。

自分のようなアドバイザー業とか情報発信者は、常に耳元で悪魔がささやいています。それは目の前の人にウケのいいことを言いたくなってしまうことです。

本当に意味があることを言うか、ウケがいいことを言うか。
これはすごく難しい。

60分か90分クライアントとお話しする時に、ウケがいいことを言ったほうが短期的な満足度は高いでしょう。「ほんとかもしれないな。でも90分でハラ落ちしていないぞ」という状態でお帰りいただくと、プロだから契約が終わる可能性がある。

でも、これは本当に自分の中で行ったり来たりしながら、できるだけ手っ取り早く、わーっとなることばかり言わないようにしようと思っているんです。

これはコテツゼミやグループコンサル、Voicyとかnote的なものも全部そうですが、一時的に気持ちが高揚するようなコンテンツはやっている方がいるので、オレは、そっちに寄らないようにしています。

目の前で花火を上げたらきれいに見えるけれど、花火が一日中上がっていたらうるさいでしょう? だから花火的なことを言うかどうかというのは、とても難しいところです。

あと、多くの人からの称賛もオレは全然取る気がないのです。

だから

大衆迎合しない。
ウケだけを狙わない。
バズることを目指さない。
多くの人からの称賛に寄って立つ気もない。


コテツは誰をお客様にしているか。


ほかにも、すごく迷うけれども一応言わせてください。

自分がお話しするコンテンツは、一定以上考え事をして、やっていることに対する課題感がない人が聞いてもつまらないと思います。

「オレが会社を経営していたときに、クレームがあったファンの方のところに行って、オレは土下座をしたわけさ。土下座をして許されると思っているオレが間違いだった」みたいな、熱いエピソードをしゃべりたい。

「本当はファンの心をがっちりつかめる3つのポイント」「イギリスの大学の研究によれば~」というやり方もあるとわかっていますが、オレはやらないと思っているわけです。

なので、ある程度考えて仕事や人生に臨もうと思っている人が、ぴんとくるような内容の発信をしています。これは既に万人向けではなくて、簡単にすればするほど、考える余白をなくせばなくすほど広がっていくわけです。

YouTubeの広告を見ていると全部今はアニメ調でしょう。「女の子とデートしようと思ったら、デートに行って、すぐに帰られちゃったよ」というコンプレックス商材。例えば頭が薄いとか、わきがだといったものをアニメ調で表現して、「これをやったら、それがなくなってモテモテさ」とやる。

情弱という、物事が深く考え込めない人を巻き込めば、ビジネスは大衆化していきます。だから、考えていない層をどこまで取り込むかというのが1つのポイントではあるけれど、オレは全くそうする気がありません。

ものをあまり知らない方、自分であまり調べない方に、訳が分からない煽り広告で買わせることは、クライアントさんの仕事でもやりたくない。頭を炭酸で洗っても白髪が治るわけがない。でも、情弱層まで広げようと思ってああいうのをやると、めっちゃ売れるんだよね。

対象となる顧客に、価値あるものを


だからオレは、まあまあ考えている方じゃないと、聴いてもぴんとこないように話しています。

あと「これだけやれば絶対うまくいく」も言いたくない。誰でもうまくいくことは全然ない。誰でもうまくいく。すぐうまくいく。誰でも儲かる。絶対的な法則を言うのは、全然やりたくない感じです。

人それぞれ持っている資産(アセット)が全然違うので、その人に合わない場合があるからです。

自分は答えを提供できると思っていません。あくまでもコテツが話している内容はヒントにしか過ぎませんが、自分がこういう方々に貢献したいと思っている顧客とファンの方が、いくつかの中の1つ2つぐらいはご自身で考えて工夫したら、一歩前に進むきっかけになるような程度のヒントは出していきたいと思っています。

なので、コテツのブランド論、コテツの情報発信は「きっかけ」です。
あくまでもやっているのはご自身ですからね。

でも、オレは自己啓発ビジネスのやり方も、相当経験し研究してきています。関わっている人をハイにして、気分だけうまくいっているような感じにはしたくない。

あとは、ダイレクトに関われるなら、関わっていきたい。コテツゼミもコロナでオレしかいなかったときがあるんだけど、もちろん基本的に来たい方がご自身の判断でということだったけれど、一応30名ぐらい入れる会場を用意してやっていたんです。

でもオレとスタッフしかいない状態でも、ダイレクトで来てお話を聞く方がいればやろうと思っているし、ファンの方の状況、顧客の反応を確認したい。多くの方からのデータは参考にならないわけではないけれど、自分個人のことは、データは全く参考にしていません。

ですから、こういう情報発信をしたら当然ウケる回とウケない回があり、Voicyも数でいえばたくさん聴いてもらっている回と、聴いてもらっていない回もあります。

Voicyでも他の方のも聴いていたりしますが、他の方ですごくウケているなというのを聴いても、それをやるかやらないかは、自分と聴いてくださっている関係で入り込めるかどうかです。

ウケるよりも自分の哲学を伝えよう。


タイトル付けとかサムネイルを工夫したり、センセーショナルにしたら、いっぱい聴いたり見てもらえたりしますという話があります。

自分のクライアントさんだったら、アンモラルではない範囲内においてはもちろんやります。ただオレに関しては全くやる気がない。サムネイル詐欺ではないけれども、ウケるサムネイルやタイトル付けも全くやる気がない。

それはある種、自分の哲学ですね。今すごく減っていますが、電車に乗ると中吊り広告があります。

昔は週刊誌、ゴシップ誌は、電車の中吊り広告のタイトルで煽って、駅のキオスクで手に取らせる。読んでみたら大した記事じゃないということがありました。

そうやったほうが絶対売れるでしょう。
でも、そんなことをやって……と思う人もいます。

オレは「こうやったら人の気持ちがコントロールできる」というのは、マーケティングをずっとやってきたからわかる。けれども、その度合いがあると思っています。

できるだけ自分の対象のファンや顧客を研究し尽くして、その方に届くような内容と方法論をやって成立する範囲でやっていけるので、自分の顧客やファンに関しての考え方はそういう感じかな。

うまいお答えになっているかわかりませんが、YACさんの質問「コテツさんの顧客に対する哲学と価値観は」は、非数字領域での関係で、うまく関係が取れていけるかどうかを集中してやっています。

だからといって、売上を上げてない人が「ちゃんとやっているから」に逃げるのはあまりよくないと思っていますが、テーマが変わってしまうので今日はこの辺で。

久々野智小哲津でした。


本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
上のVoicy音声は下のリンクからどうぞ!


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