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広告やSNSや集客で売りまくる vs ブランドになる

Voicy No.0134 2022年3月23日放送


SNSがんばれば、いつの間にかブランドにならないよ。


今日、「広告やSNSや集客で売りまくるVSいつの間にかブランドになる」という話です。

コテツのブランド論の大元は、ビジネスで商品、サービスをブランディングすることです。

個人が世の中に露出する人、出役として出ているだけじゃなくて、日常生活で自分の周りの方たちに自分をブランドとして認めてもらう領域の、根幹のところで同じメカニズムだということがわかり、そこをきちっと説明して伝えたいと思っているんです。

そうするとビジネスでも使えるし、ご自身の生き方でもブランディングとかブランドづくりに使えるので、ご自身に置き換えてもいいし、ビジネスがあるなら、それで考えてみてもいい。

広告、SNS、集客で売りまくることVSブランドになることは、きちっとやれば両方成り立ちます。

でも、なんとなくやっていると、どっちかしかできません。
まず本当にここがつかめれば、この後めちゃくちゃ楽になります。


知名度とブランドの分かれ道


知名度とか有名になるとか、フォロワーが増えるとか、バズるということとブランディングは違うものです。

ここは結構大事なところです。

テーマとしてつなげていくものだけど、意図的に、両方とも作戦を別々に動かさなきゃダメなのよ。

自分でビジネスをやるとき、あるいは、自分自身が商品、自分の人生、周りの人との関わりを考えるときに、分かれ道があると想像してもらいたい。

2つに分かれる道があって、片側がとにかく数を売りまくる。ただ有名になる。もう一個の道がブランディングすること。ブランドになるというと、道は一本だと考えている人が多いです。

広告、SNS、集客で売りまくって、その道を歩いていれば、いつの間にかブランドになると思っている人がいるけれど、やり方は全く別です。

その分かれ道でブランドになりたいなら、価値を認めてもらって、あなたじゃなきゃダメと思われることです。

ブランドというのは相対比較を全部すっ飛ばしてファンの方がいる状態で、ファンはあなたじゃなきゃダメということで、金額や内容量、成分が優れている劣っているで選ぶのを超えているんです。

愛着とかスタイルに対する共感とか、センスが好きとか、思想哲学とか世界観が好きとかで無条件に選択してくれる状態。

ファンの方がいてくださるという状況、ファンの方との関係がつくり上げられているのがブランドです。

広告やインスタで、たまたま目にしたから買うのは、ただご購入いただいているだけ。

ブランドになるときに何をやればいいのか、何を考えればいいのかというのを1個だけ言えといわれれば、既存のあなたじゃなきゃダメと思われるか、特別な愛着、共感を持ってくれている既存のファンの方と関係性を構築する気があるかないかです。

ビジネスでいうと既存のファンの方との関係性を構築する気があり、それに対する施策があり、予算があり、既存のファンの方と繋がって厚く関係を続けていく予算編成や作戦が立てられているかに、ブランドになれるかがかかっているんです。

これは、わからない方には全然わからない話なんですよね。


すぐに寿命がきて売れなくなる。


広告をめちゃくちゃ出してSNSを一時的に頑張って、一時的に需要が高まって、見ればわかるから買ってみようとなって、1~2年その勢いで買ってくれる。

結局ファンづくりをしないやり方でビジネスをしたり人間関係をつくっていると、有名だから、何かで見たからということで、一時的な軽い興味で購入してくれたり接してくれたりします。

ブランドになろうと思って、思想とか哲学とかメッセージとかセンスとか愛着を持ってもらうことを直接伝えていくようなイベントで、予算配分、時間の使い方をやっていなければ、大体1年から3年で商品が売れなくなってきます。


どちらを選んでもいい。


もちろんこれは業界によります。

自分は自動車とか高級時計とかジュエリー、商業施設もやってきたし、スイーツ、美容健康、おもちゃもやっているので、商品寿命とかコマーシャルブランド――売れるところまで売れて、売れなくなったらやめちゃおうというやり方もあると知っています。

もちろん、それを悪いとは思っていません。
やっている側に自覚があればいい。

そうだとして、広告だとかSNSでバズったとか、一時的にインフルエンサーを使ってわーっと認知だけ上げて認知と軽い興味で最初に買ってくれても、ファンづくりをやっていかないので、1~3回買ったら飽きてスイッチされてしまうんです。リプレースされてしまうのね。

サービスカテゴリーとか製品カテゴリーが2~3年で失速して終わるのは、ブランドではありません。

資生堂の椿というのは製品カテゴリー名です。あれはブランドじゃないとオレは見ているので、年間で広告を40億とか50億かけても、椿という製品カテゴリーはもう終わります。

広告料やSNS、集客だけがうまくて、一度買ってくれることを増やしたとして、どんどんそれが離れていく。それでも広告とかSNSの露出量をずっと高め続けて、新しい人が軽い興味で買ってくれるからいいというのも、1つのビジネスのやり方。

ただ、これでブランドを目指さないことです。

軽い興味の多数をどうたくさん取っていくかという製品プロモーションや、有名人を活用して一時的に話題になることをしていく。これも立派なビジネスです。

需要の先取りみたいなことをやって、短期的な利益を生み出して、3年ぐらいでやめればいい。また名前を変えて、同じようなブランドというか製品カテゴリーをやるというのは、よくある話です。

オレは、これを全然悪いと思っていません。

ブランディングをしてファンづくりをしていくなら、深い愛情で愛着をもってくれた一部の人をしっかりと積み上げていくと、年々ブランドのファンが増えて、やればやるほど楽になるという商売になります。ファンとの関係が厚くなり、ファンの数も徐々に増えていきます。

どちらにするかは、やっている側の決断の問題です。

商売をやっている側が広告モデルしか頭になくて、ネット、SNS全盛で勘違いしている人が多いけれど、マスに露出をばらまくやり方は、正直、時代からずれ始めています。

ネットとかSNSとかスマホをうまく使うのは、スーパーニッチを狙っていけるということです。たくさんの人に知ってもらえるのではなく、スーパーニッチに直接声とメッセージを届けて支えることができるのが、ネット、スマホ、SNS全盛時代の使い方です。


個人のブランディングも同じメカニズム。


この前、加藤純一という人が、YouTubeとかいくつかのメディアを使って配信しました。そうしたら応援してくれる人が投げ銭して、2億1000万ぐらい集まった。これが数時間で行われたんです。同時接続は何万人でした。

でも、加藤純一って知らないですよね。

誰やねんという人がほとんどでしょうけど、彼はゲーム実況者なんです。スーパーニッチじゃないですか。皆さん、顔もわかりませんよね。でも、そういうものなのです。

無料のフォロワーが多くて、何かやったらバズった。見てくれた人は多い。でも、有料で手間のかかるイベントをやっても、ほとんど来ない。

逆に、無料のフォロワーが多くないけど、有料で手間の掛かるファンイベントには毎回熱いファンが集う。

どちらがブランドかというと、後で言ったほうがブランドです。

BtoCブランドも、いくつか自分が関わっているアドバイス先と会社があります。BtoCダイレクトコンシューマで今はインスタとかが多いですが、物を買っていただくアパレルとか健康系、美容系が多いです。

インスタで15万人フォロワーがいて、売上が月50万とか行っても100万ぐらいのブランドもあれば、インスタで2万人のフォロワーしかなくても月1500万円売るという、ファンづくりがうまくいっているブランドがあります。

前時代的な広告や話題、知名度がある人を起用してばらまいて、たくさんの人に見てもらう。ハズキルーペはそれを狙っているから全然悪いわけじゃないですよ。ばあっと広告戦略をやって一時的に需要を上げる。

シックスパットは今だいぶ縮小しました。ライザップの戦略もそうですが、あれはコマーシャルでびっくりさせて、知ったから買うけれども、商品とかブランドの魅力を伝えるという仕組みを持っていないので、露出が減ったら減ります。

昔はこれしか売る方法がなかったんです。


誰とつながっていたいのか。


でも、今はブランドのメッセージとか、自分がどういう方と仲良くしたいか明確であれば、スーパーニッチという、ほんとのファンで熱くなってくれる方と、つながれるわけじゃないですか。

そうしたら、リアルイベントに持ち込みます。

これは結構カギなんだけど、やらないですよね。一番熱いファンをつくるのは個別撃破だから、リアルイベントを少数でもやったほうがいい。ラグジュアリーブランドはみんなやっていますよ。数千万円売っているブランドもある。

よくこういう話をすると、「少数のファンがいても大きくならないじゃないですか」と言われます。でも、なるんですよ。

それは、熱いファンがいるという事実が、ブランドのステータスをまず上げてくれるから。

全員軽い興味でしか手に取ってくれていないのではなくて、「マジで、あれは自分にとっては生き方そのものよ」というファンがいる状態が、ブランドステータスを高めてくれるんです。

「おかげさまで何万個」といっても、数が売れているのは尊敬の対象にならないですからね。

ちょっとずれますが、お金持ちは今、尊敬の対象になりません。スーパーニッチというか、自分の生き方あり方に対して燃えていて、それに深く熱く関係している人とか物とか活動が応援されます。

一部でも熱いファンづくりをきちっとすることが、ブランドステータスをまず上げてくれます。「あれは特別なものだ」とか、「私にとってはあれじゃなきゃダメだ」と言ってくれる人がいるから、ステータスが保たれるんです。

あとは今自分たちの広告とかLP(ランディングページ)で、ぐいぐいクロージングをかけなくても、本当に熱くなってくれたファンの方が投稿してくれます。

インスタ2万人で月1500万円売れているブランドは、自分たちで広告をほとんど掛けていません。発売日に絞っていて、手に入れた人がうれしくて自分でインスタのストーリーに上げちゃうの。なので、広告費をあまり使わずに手に入れたことが感動になるから、それで広がっていくのです。

投稿もしてくれるし、伝道師になってくれるのです。
ですから、ご自身の周りの方との関わり方がめちゃくちゃ重要です。

とにかく軽い興味、無料でのぞいてくれるSNSのフォロワーが増えればいいんだという方は、それをやればいいと思う。

ただ、そういう方がお金を払ってくれて、自分の活動に理解を示して共感してくれて、本当に協力してくれるかは、また別問題です。

SNS何十万人フォロワーがいる人が、有料の活動でファンクラブやコミュニティーをやったとたん全然うまくいかないのは、よくある話です。知名度だけで勝負していこうというのであれば、たくさんの人に知ってもらってうれしいなでいいと思う。

けれども、自分が何かを成し遂げたい。伝えたいメッセージがある。共感してほしいものがあるといった場合は、有料で手間の掛かるイベントとかコミュニティーでファンの方と厚くつながっていくのが、長く続くカギだったりします。


両方選ぶ道もある。


でも、これは選択だと思います。

最初に、分かれ道が2つあって、1つがSNS、集客、広告で多数の人に軽い興味を持ってもらうか、ブランドになってファンの方に熱い愛着を持ってもらうかというのは、分かれ道だから決めてくださいと言ったんだけど、これを両立することは可能です。

可能にするには、別々に作戦を立てて両面でやり続けることができれば、数多くの人に軽い興味を持ってもらいながら、その中で熱くなってきているファンの方をファンづくりの作戦のほうに載せかえて、時間と手間とお金と愛情とメッセージを注ぎ続ける施策をきちっととっていくこと。

これは両面でもあるけれど、広告モデルがバズればいいとか、話題の人を活用したらいいというやり方では、いつの間にか熱いファンの方がめちゃくちゃ増えて積み上がって、いつまでも付いてきてくれることは、ほぼありません。

長く続いているブランドは、きっちりファンづくりをやっています。ファンづくりの施策と予算組みと作戦を、ブランドはやったほうがいいと思います。個人もそうです。

オープニングトークで話した食事会もそうですし、ゲーム会は自分のアトリエにお呼びしてやっているんだけど、熱いファンづくりになっています。そこで自分がもっと仲良くしたい人との機会を、時間とお金と手間と熱意をもってつくっています。

ですから、Voicyのように多くの方に聞いていただく活動と、ブランドづくりと、その両方をやっているというお話でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
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