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リブランディングで大きく売れる ビジネスの実例

Voicy「コテツのブランディングと商売の話」 コラム
 読めばブランディングができて、商売が上手くなる。

このコラムは、コテツがVoicyのブランディングと商売の話で
語った内容を文章化したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
Voicyもお聞きください。

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【お知らせ】

2022年4月より、小哲津のブランディングと商売の勉強会のコテツゼミの
六期生がスタートします。コテツが直接講師となり、半年間でご自身やビジネスのリブランディングを学ぶ講座です。10人限定となる予定です。
3月から募集開始。こちらのnoteかVoicyで告知します。


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Voicy No.0011 2021年8月9日収録
「リブランディングで大きく売れるビジネスの実例」


リブランディングの実例 コミュニティ化

先日の放送で「リブランディングというのは再解釈だ」という話をしました。
https://voicy.jp/channel/2089/184580
その回でリブランディングという概要は理解できますので、それを聞いていただきたいと思っています。

リブランディングは人でも必要だし、ビジネスも、それによって大きく生まれ変わったりすることがあるので、俺が請け負うケースに結構あるんですよね。

ざっくり言うと、料理でお考えいただければと思います。材料があって、どういう方に、どういうシチュエーションで食べていただくのかを考えた上で、どういう料理をつくり、どういうふうに盛り付けて、どういうシチュエーションのところに出すのか決めます。

リブランディングの場合は、材料があって、今までやっていた対象の方とかシチュエーションを変えて、料理を変えて、盛り付けを変えて、出し方を変えてみる。すると、その方とか企業が持っている材料が同じでも、別なものが出て、別なシチュエーションで、別なかたちで価値を発揮して認めていただけるような状況になる。これがリブランディングのやり方として、コテツ流でやっているところです。

8月4日の放送に、うれしいコメントを頂きました。koshiken312さんから「再解釈の具体例、非常に面白かったです! できれば、ほかのビジネス事例でのコテツさんの捉え方を知りたいです!」と頂いたんですよね。

今日は「リブランディングは再解釈。コテツの事例」ということで、自分の再解釈の仕方を紹介します。

1つめが、スキューバダイビングにリブランディングです。あるスキューバ・ダイビング・ブランドで、そのときはブランドまで行ってなかったので店舗の事例です。自分がブランディングとかアドバイス、経営コンサル的な仕事を始めた出だしの案件で、スキューバのお店が東京の都心にありました。

そのスキューバ店舗で、ビジネスは大きく分けて3つです。

1.まずスキューバの用具を買ってもらう。ボンベ、ウエットスーツ、シュノーケルとかのスキューバをやる用具があって、それをお店で買ってもらうビジネス。

2.ライセンスの発行。スキューバの業界はいくつかライセンスがあるので、「スキューバのライセンスを取りました」といっても運転免許のように1つではなくて、いくつか主立ったものがあります。その1つの大本になり、スキューバのライセンスを取得してもらうビジネス。

3.スキューバをやりに連れて行く、旅行代理店的な仕事。

自分に声が掛かっていたときに力を入れていたのが、スキューバの用品を売ることとライセンスかな。これが2本柱で、スキューバの場所は関東圏も沖縄も海外もあって、あくまでもスキューバに一緒に行って潜ることは、オマケという感じだったのです。

最初ビジネスの売上の内訳を聞いたら、ちょっと頭打ちでした。これはリブランディングの一歩手前の、商品をお勧めして売るという状況から、ブランドとして愛されて愛着を持ってもらわないといけない。物売りとブランドのファンをつくるというのは、似ているようで異なります。物だけお勧めして売るところからブランドづくりを始めたというのが、まず1つです。

リブランディングに関しては数カ月間、ここのお客さまとかファンの方を見ていました。ブランディングやマーケティングを大手の企業はすごく頻繁にやっているし、自分もそれで中身に関わることも多いです。ユーザーアンケートとかユーザーインタビューとかグループインタビューとか言い方はいろいろありますが、この5年10年は、ネットにおける調査に結構かけている会社もあるので、それもやったのです。

そうすると、スキューバ用具を買って、ライセンスを取って、ツアーで海に行く理由は、海がきれいだからとか、海が好きだからとか、そういう内容でした。

ただ、あることが途中で気になった。
使うところがないものというのは売れないですよね。

自分は銀座の古めの呉服屋さんをブランディングしたことがありますが、結局、着物がなんで売れないかというと、着ていくところがないからです。例えば和服を着て、お茶会に出るという方は買うんだけど、そうじゃない方は、どこに着ていっていいかわからないから使わないものは買わない。なので「まずツアーを増やしましょう」という話をしていました。

そのツアーの状況をデータ的にも感覚的にもよく見てみると、繰り返し来てくれる人と単発で来なくなる人で、ある部分が違う。リピートする人としない人、ブランドのファンになる方とならない方で差があると思ってきました。

このリブランディングで途中ちょこちょこ変えていったところを全部ぽんと飛ばしまして、リブランディングした結論から言えば、スキューバに行くツアーは男女半々にして、潜ることが目的というよりは、男女仲良く、スキューバを理由に男女で一緒にスキューバのツアーに行くことをきっちりやっていくことがコミュニティ化を促したので、ある種の出会いの場になりました。それをスキューバの用具を買ってくれている方に、写真とかでお見せするんです。

ユーザーインタビューで、なんで買っているのと聞くと、「自分と海」と言うのです。もちろん、これは俺も含めてなんですけど、人ってかっこつけるので「自分は潜るとすごく精神が集中される」とか言います。けれども、結局、潜りに行ったときに周りにいる人たちと楽しくないと、続かないですよね。

なので、ツアーをめちゃくちゃ増やして、男女比率を合わせて年齢も近しい人たちにした。ツアーの切り口を場所だけではなくて、お見合いじゃないけれどもある切り口でくくり直していったら、どんどんそこでコミュニティができました。「また行きましょう」みたいな感じで、40人乗りのバスであれば20対20で男女を乗せて、切り口のピントを合わせていったら、「スキューバのツアーに行くのがとても楽しいブランド」みたいになりまして、ものすごく繁栄した。

スキューバの一緒に行くツアーが楽しいから、友だちに口コミを起こすときに、そっちでしゃべってくれるんです。スキューバの用具を買って海の美しさを言ってくれてもいいんだけど、それよりは「新しい趣味として、楽しい人とこういうことをやっている」と言う。「河原でバーベキューとかやって知り合いになって、いい方が多いと、うれしいじゃないですか」みたいなことをやった。これも再解釈です。

スキューバというのは潜るだけじゃない。潜った後、潜る前、特に恋愛対象が異性の場合は、異性の方と一緒にいて、準備で重いボンベを女性の方が持てない場合は持ってあげたりする。そういうことが、その会に対する満足度や、そのブランドに対する愛着につながると捉え直して、そっちを前に持ってきた。


別な価値に転換する。

というように、そのスキューバのお店をブランドにしていったのです。そうすると、楽しいツアーに行けて、人と出会うコミュニティとしてのツアーが最上位にあって、それに行くために用具を買う、あるいはレンタルするというのがあり、そこである種ステータスの表明ができます。

モテるというか尊敬されるというか、コミュニティの中で自分のポジションを輝かせるために、ライセンスという位置付けの順序を変えたというか、主従の関係を変えたというか、ブランドのコンセプトを変えちゃった。それがすごくうまくいきました。こういうことってあるんですよ。

似ているもので行くと,ソムリエの資格とかワインサークルもそうです。ワインが好きなのか、ワインを飲みながら、今まで知り合えなかった人たちとごちゃごちゃしゃべるのが好きなのかみたいなのがある。

あと、美容師の世界もそうですが、すてきな美容師との1時間か2時間のバーチャル恋愛的な要素として「すてきな人に髪を触られて」みたいな感じは、美容師の部分でもあるかなと思う。

これは今日の本題ではないので別なときに話しますが、「表の欲求と裏の欲求」というものがあります。ビジネスで「表の欲求」というのは、お客さまも聞いたらそれを言う。だけど、本当は別なことを満たすために来ているように、「裏の欲求」をきちっとつかむのが大事だったりします。

ほかの部分で行くと、ここ数年コロナでちょっと運営を工夫しなきゃいけなくなっていますけど、ABCクッキングスタジオってありますよね。ショッピングモールにも入っているガラス張りのオープンキッチンで、お菓子とか料理をつくっている料理教室ですが、ABCクッキングもリブランディングの例です。

でも、ABCクッキング自体をリブランディングしたのではありません。ABCクッキングにおいて料理教室がリブランディング(再解釈)されて、めちゃくちゃうまくいったんです。

普通の料理教室は、料理研究家とかがご自宅のキッチンをきれいにして、生徒さんを5人~10人呼んで料理を教えてみんなで食べるので、料理研究家の方がトップとなって、その人に憧れるファンサークルみたいな性質がある。でも、それがキッチンスタジオみたいな、ある種クローズドで行われています。

ABCクッキングの料理教室に対しての再解釈でびっくりしたというか革命的だったと思うのが、料理をつくる行為が裏方というか、人に見てもらわないでやっていたのを、ショッピングモールとか商業施設のガラス張りのところに入れて主役にしたことです。

ABCクッキングが出たてで伸びてきたときに、ある集まりで、ある料理研究家が「ABCクッキングの料理は料理じゃないと思っています」みたいな結構厳しい発言をした。なぜなら、ABCクッキングで料理とかお菓子を習った生徒さんが、半年とか1年とかやったあと、先生になったりしたからです。

ある料理研究家の方に言わせれば、料理というのはそんなに甘いものじゃないと。だしの取り方から、下ごしらえの仕方から、いろいろありますよね。「そんな数年で先生になれるなんてない」みたいなことを言われました。「料理教室というのは、料理に詳しい方がクローズドな環境で教えるんだ」という今までの解釈でいけば、それはそうなんだと思う。

けれども、ABCクッキングがなぜあんなに伸びたかといえば、のぞくと、教えている先生も教えてもらっている生徒さんも、きれいなワンピースとかを着て、きれいなエプロンをして、お菓子をつくっている。見られていることで強い自己顕示欲や自己承認が満たされて、満足そうな表情をしているんです。ライトの光量も十分なキッチンスタジオだし、つくっていること自体が料理を習うことを越えて、もはや自分の表現活動みたいになっていたのです。

6~7年前ですか、あれが急激に伸びていたのは。すごいやり方だなと思いました。教室というのは先生がいて生徒がいて、技能を教えるだけではない要素も付け加えたというか、実は、そっちのほうをブランドの大きな価値として扱っている。ABCクッキングでは見えないところでやっているのはあるのかな。そこはわからないですけど、料理づくり、ケーキづくりに「見られる楽しさ」を入れている。

そうすると、人生の中でABCクッキングに行くことが晴れの舞台になります。これもリブランディングですよね。ビジネスモデル自体が、その業界の常識自体を再解釈しています。

いま閉塞的になっている業種業態、あるいは売上が滞っているようなものも、再解釈してリブランディングすることで伸びて大きく変わることが結構ある。そういう視点で物事を見てはいかがでしょうか。

以上、久々野智小哲津でした。


記事のVoicyはこちらから↓
https://voicy.jp/embed/channel/2089/187213

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