【日記】手作り蕎麦
この何日間かで公私ともにいろいろなことがあったので、いまいち頭がまとまり切らない。いま現在、外では雪が降っている。東京では久しくなかった量の積雪だという。特に朝から昼前までの量がすごいように見えて、今はそのときよりは少なくなっているように見える、それでも十分積もって、最低限の障害は起きそうな具合だ。
そんな今日、生まれて初めて自分でそばを、粉から練って切って茹でてという、いわゆるソバ打ちを家でやった。なかなかない経験だった。
本当はだだっ広い台とか、横綱が呷る盃と同じくらいのサイズのお椀みたいなものとかいろいろ道具が必要だというが、要は家にあるでかめの丼やなんかを活用すれば作れないことはないと思った。麺棒だけ、麺を伸すのに必要っぽかったので、購入した。
だが、見立ては甘かった。ソバ屋がなぜ大きいお椀でそば粉をまとめているのかわかった。粉が外側に飛び散るのを抑えなければいけない。はじめに練る作業は、平らな場所では絶対にできないし、かといって椀型の普通のサイズの、たとえばボウルのようなものだと狭くて作業しづらかったりする。今日使った丼でギリギリだったが粉がどんどん飛び出してしまった。
動画でソバの打ち方を説明するお姉さんはどんどんサクサクと生地を練っていく。
丼で、球の形になったら、それを三角錐の形に成型して、それから上から押しつぶしてスライムが潰れたみたいな楕円にする。この、いったん三角錐にする意味は分からない。しかし、料理の伝統的な工程なのだから、何かしら意味があるだろう。で、ここで既に板の上に置いているのだが、これまた、普段使っているようなまな板ではとうてい足りない。
明らかにそうであろうと予想はしていたので、前もってスーパーで売っている一番大きいまな板を買っておいたのだ。これならさすがに足りないということはないだろうというくらいの。だが、この見立ても甘かった。片手で握れるくらいのそば粉をまとめた塊を、麺棒で伸していくのだが、どんどん広がってとても入りきらない。なので、従来使っていたまな板もそこに足して、多少段差がある状態ではあるが広く場所が使える状態にして伸して、それでも入りきらないから本来はきれいな四角に生地を成型するのだが、横長の楕円にするのが精いっぱいだった。
そして、いかんせん初めて作るので、どのくらいの厚さにすればいいのかも、わからない。
最後に、包丁であるが、職人はなんかものすごく大きい、長方形の包丁を使っていたがそれには及ばんだろう。ネット記事の紹介でも、なければ家庭用の包丁で大丈夫ですと書いてあったし。これも無理だというほどではなかったが、その職人用の包丁のありがたみというのがわかった。麺は茹でた状態でなければめちゃめちゃ固いし粘るので、包丁を普通に入れたら途中で止まりそうになる。また、切れ目が真っ直ぐにならなければ、必然、麺のかたちもいびつになる。そもそも、面積が足りなくてやっぱり分厚すぎた。どこかで買ったことのある、そばの生めんとは似ても似つかない。
よく言うことだが、うどんのような太さのそばになってしまった。
太さがふつうのソバとぜんぜん違うものだから、必然的に茹で時間も全く見当がつかなくなった。普通は一、二分という所だが、太めだからもう少しか? そもそも時間を計っていなかった。もう二分経ったか? わからんけどとりあえず上げてみよう。もうそんな体たらくだった。
出来上がったものを食べてみて、これはとても誰かに食わせられたものではないな。蕎麦職人がありがたがられる理由がわかった。しかし、自分で作って見なければそのことにも気づかなかったのだろうから、結果としては良かったことであるのだろう。などと殊勝なことを考えて、食べ終わった。
蕎麦湯は、余り味は感じなかったものの、とろみが効いていてとても美味しかった。そして、手作りとは関係ないが、パックの刻んであるねぎではなく、小口ねぎをその場で切って入れたら香りが全く違ってよかったので、今後はネギはその場できざんで入れようと思う。
こんなことを書いているうちに、雪がどんどんまた強まって来た。これは積もるな。などと、また当たり前のことを考えている。