チャレンジストーリーVol1:「レティッサネオビューワを片手に始まった、スペインフットサル留学」
QDレーザは、「レーザの力で、「できない」を「できる」に変える。」をミッションに掲げ企業活動を行っています。
「見えづらい」を「見える」に変えるべく、網膜投影技術という新しい技術を開発し、眼鏡型、手持ち型、カメラ型と様々な形の網膜投影視覚支援機器「レティッサ」を作り、日々発信を続けています。
我々はこれからも、様々なハードルにチャレンジし乗り越えながら「できない」を「できる」に変えていきますが、我々のミッションと同じように、「できない」を「できる」に変えるべくチャレンジをしている前向きな、見えづらさのある当事者をQDレーザは応援しています。
チャレンジしているその姿に、我々はいつも勇気をもらい、企業活動の原動力にもなっています。そんなチャレンジしている当事者への恩返しもしたく、チャレンジストーリーという形でご紹介させていただき、応援していければと思っています。
チャレンジストーリーVol1は、日本から約1万キロ離れたスペインバルセロナでフットサル留学にチャレンジしているロービジョンフットサルクラブ、CA SOLUA(シーエー・ソルア)所属の西山乃彩(のあ)さんです。
(乃彩さんがスペインで感じていること生の感想を彼女の言葉で紹介できればと思い、ここからの文章は、乃彩さんがスペインからレポートをしてくれた内容をもとに作成しています)
「レティッサネオビューワを片手に始まった、スペインフットサル留学」
皆さん初めまして、23年7月からスペインバルセロナにフットサル留学をしている、西山乃彩です。皆さんはロービジョンフットサルをご存じですか?
ロービジョンフットサルとは、視覚障害者を主体とするフットサル(5人制のサッカー)です。パラリンピック種目であるブラインドサッカーとは異なり、見えにくさのある視覚障がい者(弱視者/ロービジョン者)が、アイマスクを着用せずにプレーをしています。
私が所属している埼玉県のロービジョンフットサルクラブ「CA SOLUA」には、見えづらさのある小学生から、ロービジョンフットサル日本代表として世界で戦う大人まで、様々な見え方の選手がいますが、私はクラブ唯一の女性プレーヤーです。
私は両眼性網膜芽細胞腫という遺伝性の病気が判明し、生まれてすぐに右眼を摘出し、左眼も治療を受けました。治療の影響で歳を重ねるごとに左眼の視力と視野が低下していき、現在は視力が0.04、視野は9割以上が欠けている状態です。 見えづらさは少しずつ進行もするので、「また見えにくくなったな」と感じながら生活をしているのですが、そんな中で、レティッサと出会い、本当に久しぶりに「見える!」という感覚があり、私の中で世界が大きく変わりました。
見えづらいさを伝える時、眼鏡をかければいいじゃんと言われることがありますが、弱視(ロービジョン)者はメガネやコンタクトレンズといった、光学的な作用を利用したピント調整技術では視力を上げることが難しいので、見えづらさに対しては慣れや感覚に頼ることが多いのですが、レティッサだと「ピントが合う」感覚を感じられたり、目が疲れることなく文字を読むことができます。(補足:レティッサが採用する網膜投影という技術は直接網膜にレーザでピントが合った映像を投影します。つまり、何とか文字を読もうと文字に顔を近づけ、目を一生懸命凝らす必要がなく、むしろレーザが瞳孔を通りやすいように、できるだけリラックスしていた方が投影しやすくなるのです。乃彩さんはこの感覚を実感してくれています!)
見えにくさはあるものの、幼い頃から体を動かすことが大好きで、4歳からサッカーを始めました。そして高校では女子サッカー部でプレーをしました。しかし、視力低下の影響はやはり大きく、サッカーを続けることが難しくなり、大学入学と同時にフットサルに転向することになりました。
(サッカーからフットサルに転向しましたが、ボールを蹴ることは辞められなかった!)そして現在はスペインバルセロナで、ロービジョンフットサルと、健常者とプレーする女子フットサルの2カテゴリーに取り組んでいます。
バルセロナに来た理由
(por qué vine a Barcelona)
今年7月から私のスペインフットサル留学が始まりました。スペインに留学した理由は、一言で言えば「思いっきりフットサルを楽しみたかったから」です。 日本でもサッカーやフットサルにずっと取り組んできましたが、どのカテゴリーで上を目指しても、常に同じ壁にぶつかり、心から楽しむことができませんでした。それは、障害を理由にプレーを制限されるということです。 「ヘディングができないならキーパーとして手で自分の目を守れ」と言われたり、「見えないところからぶつかったら危ないから」と言われたりすることがありました。 もちろん、1人の選手として、力を引き出してくれる指導者とも出会いましたが、本当にごく少数でした。
留学先のスペイン・バルセロナは、フットボールの強豪国であり、身体が小さくハンデがあると言われた”メッシ”が長年活躍したFCバルセロナの本拠地でもあります。「視覚障がいがあっても、プレーを制限されることなく、もっている力を最大限発揮してチャレンジしたい」と思い、留学を決めました。
スペインへのフットサル留学、慣れない土地での一人でのスぺイン生活を前に、「一人で大丈夫なの?」「見えづらさがあるのにやっていけるの?」心配し、いろいろなご意見もいただきました。(全て皆さんに愛されている私への温かい言葉だと感じています笑)
もちろん私の中で、不安も大きくありました。その不安よりも「思いっきりフットサルを楽しみたい!」という情熱の方が大きかったことがスペインへ留学できた最大の理由ですが、それでもやはり見えづらさのある中で慣れない土地での生活、移動、コミュニケーションには不安もありました。
それでも留学前にQDレーザさんの網膜投影カメラキット『レティッサネオビューワ』に出会うことができ、私の不安は少しだけ軽くなりました。
それは見えづらいものが今よりも見やすくなる安心感もありましたし、その安心感プラス、なんといっても『レティッサネオビューワ』はカメラなので、スペイン留学中いろいろな場所に行き、写真を撮ってみたい!、という好奇心も大きな後押しになったと感じます。
レティッサとの生活
(la vida con RETISSA)
スペインの留学先まで、すべて一人で移動をします。 約20時間かけ、途中見えづらい看板や標識などは『レティッサネオビューワ』も使いながらなんとかバルセロナに到着し、一時的に泊めていただく日本人のお家へ。そこはとっても都会で、少し歩けば大きなショッピングモールやサッカーショップがありました。
買い物って、全部の棚の目の前まで行って、手に取らないと商品を見分けられないし、値札をみるのもすごく疲れるので、いつもなら1人で知らないお店に入ったりすることはほとんどありません。
ですが、『レティッサネオビューワ』を使えば遠くまで見えるので、そもそもここが何のお店なのか、このあたりはどんな商品がおいてあるのか、どれくらい奥まで商品棚があるのか、人の目も借りず自分で近づくこともせずに見ることができました。
これは私のような見えづらさのあるロービジョン者にとってとても素晴らしいことです。今までキャッチしづらかった視覚的な情報をキャッチしやすくなることで、便利に感じることも、楽しめる幅も大きく変わります。
もちろん『レティッサネオビューワ』を使えば見えやすくなるからと言って、ずうっと『レティッサネオビューワ』を使っていたりはしません笑。
私は小さいころから慣れてきた見え方を基本に生活をします。それでも、もっと見たいな、見えやすかったらいいなと思う瞬間瞬間で、そばに『レティッサネオビューワ』があることがとても素晴らしいのです!
数週間経ち、いよいよ1年間生活する新しいシェアハウスへ。ここからは自炊も全部自分で行うので、今までよりも大変になりますが、それはそれで楽しい。そしてここは閑静な住宅街で、立派なお庭があります。
9月からは女子フットサルのチーム活動が始まりました! 視覚障がいの有無に関わらず、1人のフットサル選手として、持っている力を最大限発揮して活躍するつもりです!
スペインフットサル留学は1年間。長いようであっという間。すべての経験が楽しく充実しています。少しでも「できない」を「できない」ままで諦めてしまうのではなく、私の「できない」を「できる」に変えるチャレンジを発信し、誰かに伝わったらいいなと感じています。
練習も生活もハードで(100%楽しいですが笑)次回は少し先になるかもしれませんが、これからもバルセロナでの『レティッサネオビューワ』との生活について発信していきますので、読んでもらえたら嬉しいです!
以上、乃彩さんのバルセロナからのレポートいかがでしたでしょうか。乃彩さんのチャレンジに我々の技術が貢献できていること、本当に嬉しく感じます。スペインで奮闘中の乃彩さんをこれからも応援していますし、我々はチャレンジしている全ての人をお応援しています!これからもチェレンジストーリーを発信していきますので、この価値が多くの皆様に届けば嬉しいです!