はる、なつ、あき、ふゆ、そしてまたはる(4)
熱海に旅行に行く途中で恋人の車が故障してしまったことがあった。
それはあまりにも突然のことだった。そのとき、恋人は運転席でハンドルを握っていて、私は助手席にいた。車(世界的シェアをほこるトヨタ社製のコンパクトカーだった)がもくもくと煙を上げ始めたのに気がついたのは恋人だった。私は100パーセント完璧に眠りこけていてそんなことには全く気がついていなかった。
恋人が切り裂きジャックに遭遇したかのごとき叫び声を上げて、私はそれで目を覚ましたのだった。
「どうした?」と私