はる、なつ、あき、ふゆ、そしてまたはる(8)
この章までこのスタイルで書いてきたわけだけれど、ふと一つの疑問が私の頭に思い浮かんだ。
そもそもこの小説は失敗作なのではないだろうかということだ。
誰に向けて書いているのかもわからないし、誰が読んでいるのかもわからない。何のために書いているのかさえ自分でもよくわからない。
「ブローティガン的なスタイルで過去の自分の恋愛の総決算をする」というのがそもそもこの小説を書き始めた動機だった。しかし、ブローティガンはブローティガン、私は私だ。だいたいスタイルをまねようとしたところで、天才的作家であったところのブローティガンのスタイルなんてまねようがない。
(ここで私は突然の来客に対応するため中座する)
*
(帰還する)
要するにこんな小説はもうこの辺りで終わりにしてしまった方がいいのではないかということを私は検討している。
だいたい私は小説を書くときにプロットなんてものは作らないし、キャラクター設定や世界観の設定なんかも一切やらない。ただ気が向いたときに即興で書いていくだけだ。だからこの小説もいったいどこへ向かっていくのか、私にも全く見当がつかない。
恐らくそれでも私は書き続けるだろう。いったいこの『はる、なつ、あき、ふゆ、そしてまたはる』という小説が何章構成になるのかもわからないけれど、何となく自分の中で「終わった」という瞬間が来るまでは書き続けるだろう。あるいはこの小説を書くことに飽きる瞬間までは書き続けるだろう。そういう予感がする。
『はる、なつ、あき、ふゆ、そしてまたはる』は決して読みやすい小説ではない。物語であるとは言えないし、時系列もばらばらだし、キャラクターなんてものもなければ、世界観なんてものもない。それでも私はきっと誰かに読んでもらいたくて書いているのだ。例えばいまこの文章を読んでいるあなたに読んでもらいたくて。
次回に続く。
(続)
(目次)
thx :)