マガジンのカバー画像

小説

51
運営しているクリエイター

記事一覧

新世紀探偵(10:Somewhere over the rainbow)

Somewhere over the rainbow, way up high. There’s a land that I heard of once in a lulla…

500

新世紀探偵(9:それから少し緊張してトトを抱きあげると)

 それから少し緊張してトトを抱きあげると、最後のさようならをみんなに言って、ドロシーは、…

500

新世紀探偵(7:どん、という激しい振動で、ドロシーはめざめた)

 どん、という激しい振動で、ドロシーはめざめた。 (8へ続く)

500

新世紀探偵(8:何号線かもわからない国道をひたすら走り続けた車が熱海に着いたのは…

 何号線かもわからない国道をひたすら走り続けた車が熱海に着いたのは、もう夜も更けてからの…

500

新世紀探偵(6:『さあ、この物語の本題はここから』)

「さあ、この物語の本題はここから」とミネコ・サカイは青いBMWのエンジンをかけながら、い…

500

新世紀探偵(5:ミスター=イッセイ・スズキと話す必要がある)

 ミスター=イッセイ・スズキと話す必要がある、と言い出したのは私の方だった。つぐ失踪の有…

500

新世紀探偵(4:キタロー・ユカワ邸を後にして)

 キタロー・ユカワ邸を後にして、門の前まで歩いて戻ってきたとき、ミネコ・サカイはまだ運転席で紙の本を読んでいた。あたりはちょうどマジック・アワーと言ってもいいような時刻になっていて、私が赤いBMWの助手席のドアを開けると、ミネコ・サカイはようやく書物から視線を上げた。 「依頼の概要は何となく理解できた?」とミネコ・サカイは再び車のエンジンをかけつつ言った。BMWが巨大な獣のようにぶるぶると振動し、排気音を立て始める。 「正直に言って、半分も理解できたとは言えない」と私はシ

¥500

新世紀探偵(3:ミネルヴァのふくろうを象ったノッカーを鳴らすと)

 ミネルヴァのふくろうを象ったノッカーを鳴らすと、すぐに教授邸の扉が開いた。執事のような…

500

新世紀探偵(2:イカロスのごとく落下してきた私をキャッチしたのは)

 イカロスのごとく落下してきた私をキャッチしたのは、マンション前の道路で待ちうけていた真…

500

新世紀探偵(1:『新世紀探偵』で私は探偵として働いている)

 「新世紀探偵」で私は探偵として働いている。ライセンスはC級。簡単に言えば、低所得者層向…

500

日本語は絶滅しました(終章:ネネムに)

『ネネムに』  **社賞新人賞受賞作家による第一詩集、当社より近日刊行予定! *  熱海…

500

日本語は絶滅しました(第二部:おかしな二人組)

 『東京の鱒釣り』の第一稿を仕上げた私は、武蔵野みなみ病院を退院してからというもの、毎日…

500

日本語は絶滅しました(第一部:東京の鱒釣り)

 「日本語が絶滅の危機!? ユネスコ発表」というネットニュースを読んで、私とネネムは顔を…

500

殺しのライセンス(短篇/ハードボイルド・サイバーパンク/12,861語)

 オガタは電話の向こうの沈黙に耳を澄ませていた。 「もしもし」と少なくとも一分間は続いたように感じられる沈黙の後で、オガタは真っ黒な受話器に向かって再び口を開いた。  殻を硬く閉じたムール貝のように、相手はかたくなに喋ろうとはしなかった。もしかしたらいたずら電話なのかもしれない、とオガタは考える。殺し屋の電話番号宛てにいたずら電話をかけてくるとは、なかなか変わった趣味の持ち主だ。あるいは相手はランダムに電話番号をプッシュして、無差別にいたずら電話を仕掛けるのが趣味なのかも