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【錬金術】その王水のせいだよ??

「錬金術」という言葉の響きには独特なるミステリアスさが漂っていますよね。

話題の楽曲ですが

瑛人さんの「香水」

アコースティックギター1本でのシンプルな作りがなおさら新鮮で、それがゆえ、歌詞も心に響きます。

私自身、かつてバンドを組んだり、ギターを齧っていた経験からか(って勝手なこじつけでしょうが)楽器 の演奏に注目したり、ヴォーカルも歌詞はそこまで深く聴かなくて…

ヴォーカルの声質やメロディなど(怒られそうですが)は、ギターやベース、ドラムなどに加え“人の声”という楽曲全体で重要な”楽器”というとらえ方(これは極端な表現ではありますが)をしていたことは否めません。

とどのつまり、歌詞を聴いていない

それはよく周囲の人からもいわれました。

その分、歌詞がダイレクトに刺さってくる曲は私にとって大切なものであり、脳内ジュークボックスで、その季節・そのシチュエーションに流れてくるのです(こちらについてはまた別の機会に紹介予定です)。

とにかく私にとって、「香水」は歌詞がわかりやすく伝わりやすいです。


閑話休題。


瑛人さんの香水のyoutubeを観ていると、コメントに

「王水のせいだよ」

というのがチラホラ見られることに気づきました。


王水のせい?

音が香水と似てますしね。


それにしても

王水

聞くからに強そう

化学を学んだ方は王水の名前はご存知でしょう。

高校の化学の教科書では以下のように記されています。

金や白金は、イオン化傾向が小さく、硝酸や熱濃硫酸にも溶けないが、王水(濃硝酸と濃塩酸を1:3の体積比で混合した水溶液)には溶ける。「高等学校 化学(第一学習社)」


王水

英語はaqua resia

resiaはラテン語で、主権、王という意味。

名前の由来は、中世の錬金術師たちが、王水があらゆる金属を溶かすのを見て「っベーこれマジパネェ。こいつこそキングじゃね?」と言ったからだとかなんとか。

上述のようにいったかどうかはわからないけれど、あながち間違っていない気がする…。


ところで知らなかったのですが、既に香水の替え歌「王水」が存在しているのですね。

化学的にも王水の特性やイオン化傾向まで触れていて…。


王水のおかげだよ【錬金術】

高校の化学で耳にして「最強」と聴けば名前だけでも印象的で記憶に残るものです。

王水

金も溶かすっていうけれど、一体全体、何に使われているのでしょう。

長い間その存在をも忘れ去っていた「王水」ですが、

その頃からの疑問が新たに蘇って参りました。

そうすると意外な展開が訪れて参りました。

例えば、上記貴金属企業では、以下のような活動を行っているそうです。

電子機器などの工業用スクラップ、工場の廃液、貴金属ジュエリーなどから貴金属を回収しています。

そこには続けて、

あつめられた貴金属ジュエリーや、工業用スクラップなどは、王水とよばれる混酸の溶液に投入されます。王水とは、一般的には硝酸と塩酸を1:3の体積比で混合した液体できわめて強い酸化力があり、金を含むほとんどの貴金属を溶かすことができます。しかし反対にプラスチックや樹脂は溶けません。
 金を溶かした王水は還元用のタンクに搬送されます。
 金は最もさびにくい貴金属です。さびにくいということは、酸素と結びつきにくいということ、つまり酸化しにくいということです。その金が王水の中では、電子を奪われた状態のイオンで溶存しています。この中に、酸化しやすい物質(還元剤)を投入します。すると金は、真っ先に電子を供給され、再びイオンの状態から固体の貴金属となります。これを還元といいます。金は粉末状になり、溶液は濁り水のようになります。

王水の登場です!!(上記引用の太字は著者pirokichiによる)

スクラップに含まれる金を溶かすんですね!!


続いて、

次に、溶液に析出した金粉をろ過します。取り出された金粉は、
この時点では水分も含まれているので、純度が99%~99.9%になっています。

えられた金粉を精製し、鋳造することで、インゴットが出来るそうです(下写真参照・田中貴金属HPより)。

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まさに現代の錬金術師!ですね。

五輪と王水

千葉大の松野先生は、以下のように王水を用いて金をリサイクルしております。

 松野研究室では、有機溶媒にハロゲン化銅等を溶解した「有機王水」と呼ぶ溶媒を用いた貴金属精錬技術の開発をしています。金(Au)は、イオン化傾向が最も小さい金属であり化学的に安定しています。有機王水を用いれば、そんな金を容易に溶解できるとともに、溶解した金を析出させ高純度で回収することができます。一言で言えば、金を簡単に回収(リサイクル)する技術を開発しています。

そして…

 携帯電話等の電気・電子機器には、金などの貴金属やレアメタルなどの様々な金属が使用されており、使用済み機器は「都市鉱山」と呼ばれています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、携帯電話などの都市鉱山からメダルが作られたのは周知の事実です。今後も都市鉱山からこれらの金属の回収を強化することが重要な課題になっています。私の開発した有機王水を用いれば、容易な操作、低コストかつ環境調和型の貴金属回収プロセスを構築できる可能性があり、都市鉱山からの金属回収強化に貢献します。

とあります。

なんと驚きです!!


五輪に向けて、レアメタルから材料を集めるプロジェクトを行なっていましたね。

来年開催予定の五輪のメダルを作るためにも王水が活躍したのでしょうか。

王水によってつくられたメダルが、アスリートの王者に授けられる。

まさにKing of Kings!!


おわりに

話題曲「香水」から王水、現代の錬金術と続き、なんとオリンピックへと話が繋がるという。

なんとも「知る」ということは、斯くも愉しきことかな。

香水を王水と聞き間違った方の御陰。


いやあ、やっぱり

Dolce&Gabbana

の香水のせいだよ〜

トゥルトゥトゥ トゥトゥトゥ トゥトゥ

トゥルトゥトゥトゥ


おあとがよろしいようで

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