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私、メンズエステで働いてます。

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#雨の日をたのしく

すずの暴露 後編 「貢ぐ男」

すずの暴露 後編 「貢ぐ男」

 そして、次の月の週末、すずは田村とクルージングデートをした。

 田村は終始ご機嫌で、すずがネックレスをつけていないことにも全く言及することはなかった。

 それから田村は、マッサージを受けなくなった。

 代わりに予約時間に一緒に外出し、擬似デートを楽しむようになったのだ。

 映画を観に行ったり、買い物に行ったり、ご飯を食べに行ったり、1日貸し切られてディズニーランドにも行った。

 どこに

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すずの暴露 中編 「貢ぐ男」

すずの暴露 中編 「貢ぐ男」

 

 すずの予感は的中した。

 次の月、またその次の月も田村はすずを指名してきたのだ。

 すずは自分のサロンを開く為にメンズエステで働いていること、女性用エステサロンでも働いていること、彼氏はいないことなど、ほとんど嘘で塗り固められた身の上話を田村と話した。

 ただサロンを開くためというのは少なからず嘘ではない。

 18歳から21歳までの3年間は本当に女性用エステサロンで働いていたし、お

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すずの暴露 前編 「貢ぐ男」

すずの暴露 前編 「貢ぐ男」

 すずは25歳、客の前ではおっとりとした話し方をするように心がけてはいるが、元々は小柄な背丈ながらもハキハキと物事を言う性格のセラピストである。

 昼は会計事務所で働いている。

 出張店であればシフトの融通が効きやすく、当日休んでも嫌味を言われないので、副業に出張タイプのメンズエステを選んだのだ。

 働き始めて1年が経とうとした頃に、その客はやってきた。

「じゃあすずさん。ご新規様300分

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ねねの暴露 「母と娘でメンズエステ」

ねねの暴露 「母と娘でメンズエステ」

 子は親の背中を見て育つというが全くその通りだ。

 広尾にある某店のホームページのセラピスト欄には、たった2人しか在籍していない。

 ひとりは38歳で週に一度しか出勤していない。

 もうひとりは18歳で、週に5日間、昼の12時から夜10時まで出ている。

 38歳が出勤する時には18歳は休みになっていた。

 実はこの店は知る人ぞ知る店であり、セラピストの人数が少ないのも乗じて、予約を取るの

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エリカの暴露 第3話 「ステマ大作戦」

エリカの暴露 第3話 「ステマ大作戦」

 エリカと萩原が事に及んだあと........

 まだ時間が余っていたので、マットの上で萩原に引っ付きながら話をしていると、

「エリカって、もっと人気出ていいと思うんだよね」

 萩原が天井を見ながらぽつりと漏らした。

「私もそう思います」

 エリカは笑顔で言い返した。

「エリカなら、都内で一番予約が取れないくらいのセラピストになれるよ」

 萩原がまじまじとエリカを見て、自信に満ちた口

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エリカの暴露 第1話 「女神」

エリカの暴露 第1話 「女神」

 セラピストはどのくらい稼いでいるのだろう?

 副業でやっている人が多く、月に1日しか出勤しない人もいれば、週に5日以上出勤する人もいる。

 だから平均月収を割り出してもあまり意味はない。

 大都市にある一般的なメンエス店では、1人施術に入ればだいたい1万円前後は稼げる。

 1日3人接客をすればおよそ3万円だ。

 コンスタントに週5日くらい出勤していれば、そこまで売れていないセラピストで

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エリカの暴露 第5話 「自殺未遂」

エリカの暴露 第5話 「自殺未遂」

「お店を一緒に出そう」

 ある日、萩原がそんな話を持ちかけてきた。

 出会ってから1年くらい経った時だった。

 萩原の計画では他の店の人気No.1トップセラピストを引き抜いて、有名セラピストのみの店を作るというものだ。

「うん、やりたい!」

 エリカはやる気満々で答えた。

 今までに本当のトップセラピストしかいない店なんて存在しない。

 もしそんな店があったら、相場よりも高い金額を提

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エリカの暴露 第4話 「頂点」

エリカの暴露 第4話 「頂点」

 一週間後、その客はまたやって来た。

「よく会いに来てくれて嬉しいけど、お金は大変じゃない?」

 エリカは懐事情を探るために、気を使うようにして聞いた。

「あまり給料高くないから大変だけど、エリカちゃんのためなら」

 客は詰まったような声で言った。

「嬉しい。ありがとう」

 エリカはそう言って、キスできるくらいまで顔を近づけたが、相手が唇を寄せてきたところを上手く避けた。

「今日はさ

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ユーザー佐藤の暴露 後編 「パネマジと涙の連敗」

ユーザー佐藤の暴露 後編 「パネマジと涙の連敗」

次の日。

佐藤は予約時間の1時間前に、店の人に言われた通り電話をかけた。

「すみません。今日12時に予約をしてる佐藤ですが.....」

「確認の電話ですね。ありがとうございます。これからショートメッセージを送るので確認してください。指定の場所につきましたらまた連絡してください」

 電話を切ってからものの1分で、スマホにメッセージが届いた。

 そこには住所と予約時間が記載されており、時間ち

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