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CO2削減が新たな競争軸に!半導体業界の脱炭素化において


半導体業界における脱炭素の重要性

半導体製造は、現代のデジタル社会において不可欠な要素であり、その製造過程では多量の二酸化炭素(CO2)が排出されています。近年、企業の間で脱炭素への取り組みが加速しており、特に素材メーカーは、製造プロセスでのCO2排出削減に向けた新たな技術開発を進めています。半導体業界において、CO2排出量が選ばれる理由となる時代が到来しつつあり、これにより新たな競争軸が形成されています。

関東電化工業の代替ガス開発と生産拡大

関東電化工業は、半導体ウエハーの表面加工に使用されるフッ素系エッチングガスの代替品を開発しました。この代替ガスは、従来のガスに比べて温室効果ガスの排出量をCO2換算で半減させることが可能です。従来のエッチングガスは、1970年代から使用されており、CO2の7000〜1万5000倍の温室効果があるとされています。この代替品を使用することで、半導体製造における温室効果ガスの排出が大幅に削減されます。

関東電化工業は、エッチングガス市場において世界シェア約5割を占める大手企業です。同社は、独自のフッ素化合物合成技術を応用し、エッチング性能を維持しながらも、空気中で分解されやすいガスを開発することに成功しました。今後、数十億円を投じて国内工場の生産能力を拡大し、2029年には生産量を10倍以上に増加させる計画です。

住友ベークライトのCO2排出削減型封止材

封止材の世界大手である住友ベークライトも、脱炭素に向けた取り組みを進めています。同社は、半導体製造の封止工程におけるCO2排出量を約3割削減できる新製品を開発しました。この新しい封止材は、通常の封止材に比べて、保管温度を5度から25度に、固めるための加熱温度を175度から140度にそれぞれ低減させることが可能です。これにより、エネルギー消費を抑えつつ高品質な封止が可能となり、脱炭素化に貢献します。

住友ベークライトは、2000年代初頭にダイオキシンの発生リスクを軽減するためにハロゲンフリーの封止材を世界で初めて開発し、市場シェアを大きく拡大しました。このような革新的な製品開発により、CO2排出量の少ない材料を提供することで、同社は競争力をさらに強化しています。

信越化学工業の接着剤不要技術

シリコンウエハーの製造大手である信越化学工業は、接着剤を使用しない新しいウエハー仮固定技術を開発しています。この技術は、米国のスタートアップ企業セテックス・テクノロジーズから取得したもので、ヤモリの手を模した接着技術を応用しています。この技術により、従来の接着剤や溶剤の使用が不要となり、半導体製造工程での炭素排出量を削減することが期待されています。

半導体業界における脱炭素の影響と今後の展望

半導体業界全体で、製造過程や原材料調達時に排出されるCO2は、ライフサイクル全体の中で重要な割合を占めています。SEMI(半導体機器材料国際協会)によると、半導体のライフサイクル全体で排出されるCO2の約21%は製造時、約16%は原材料の調達時に発生しています。こうした背景から、半導体市場においても脱炭素は避けて通れないテーマとなりつつあります。

アップルやマイクロソフトといった大手半導体ユーザー企業は、2030年までにカーボンニュートラルを達成することを目標としています。これに伴い、素材メーカーや製造業者にも脱炭素への対応が求められており、業界全体での技術開発競争が激化しています。

CO2排出量削減が新たな競争軸に

これまで、半導体素材メーカーは主に性能向上やコスト削減に焦点を当てて技術開発を行ってきましたが、今後は脱炭素化という新たな競争軸が加わることになります。省エネ技術はコスト競争力を左右する重要な要素であり、さらにCO2排出量削減に向けた材料開発や製造プロセスの見直しが急務です。

日本勢は半導体素材の分野で強みを持っていますが、新しい技術トレンドは新規参入者にとってもチャンスとなり得ます。顧客からの要望に応えるだけでなく、先を見据えた技術開発戦略が今後の競争で勝ち抜く鍵となるでしょう。

あなたの業界にも訪れるCO2削減の波

半導体業界において、CO2削減が新たな競争軸となりつつあるように、他の業界でも同様の変化が起きています。持続可能性や環境への配慮が企業の評価に直結する時代に、CO2排出量の削減は単なる環境対策に留まらず、企業の競争力を左右する重要な要素となっています。あなたの業界でも、CO2削減が新たな選択軸となっていませんか?今こそ、先を見据えた行動が求められています。

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半導体製造、素材で脱炭素:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO83147990Q4A830C2TB0000/


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