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タカラヅカ・ネーム(偽)は、「大声とおる」です。

こんにちは、ぷるるです。

先日、久しぶりに会った従姉妹が「来月タカラヅカを見に行く」と言いました。

「いいねえ、ヅカ。私も見たいなあ」
そう返事しようとした途端、自分にもタカラヅカ・ネームがあったことを思い出しました。

念のために申し上げますが、宝塚に所属していた過去はありません。


某証券会社に勤めていた頃、社員旅行で神戸へ行きました。
しかし、旅のメインはタカラヅカ観劇。

私はこのチョイスにがっかりしました。
というのは、タカラヅカにこんなイメージがあったからです。

ほんとdisってません。メイクは時代により変わるそうですね。

ちゃんと見たことないのが、いけなかったのでしょう。

でも同期の大半は、同じような感想を持っていたようです。

1人だけいたヅカファン同期は「見れば考え変わるから!絶対に変わるから!」と熱く語っていましたが、私は「無理でしょ」と、しらけた返事をしていました

が、

実際に見たら、

同期全員が、ヅカの大ファンになってしまったのです!!!



私が行ったのは改装前の宝塚大劇場で、かなり狭い内部でした。
ゆえに観客との距離が近い。

そのため出演者たちの圧倒的オーラが、目の前に迫ってくるんですよね。
なかでもトップスターの輝きときたら・・・私は目が潰れるかと思いました。

あまりに光っているから、異次元へ飛ばされた感覚に。

ほんとなんなの、この魅力・・・。
ミュージシャンとは違う、男とも女とも違う、独特のカリスマ性。

私は劇よりレビューに魅力を感じました。
確かな技術に裏打ちされた、ダンスの美しさにグッときたのです。

けっこう際どいポーズもあるが、いやらしくはない。
あくまで品のある色気に満ちて・・・。

「女性の理想をパンクするまで詰め込んだ」男役という存在に、私たちは完全に打ちのめされたのでした。


そんな公演の帰り道のことです。
突然同期Yが私にこう言いました。

「ぷるるはさ、 『大声とおる』 だね!」


夢心地だった私は、一瞬意味がわかりませんでした。オオゴエトオル?
しかし同期たちは、即座に食い付きました。

「本当じゃん、あんた「大声とおる」だわ」
「よかったね、ヅカネームだよ」

タカラジェンヌでもないのに、ヅカネーム?
しかし同期の間でこの名は、決定事項になったのでした。

劇場からの帰り道、極地的スター?が誕生した。

なぜこの名かというと、私の声が本っ当によーーく通るからです。

どんな混んだ店でも、相当な距離でも、一声上げれば誰もが振り返る。
ひどく耳の悪いお客様も、私の説明は絶対に聞き取れたものです。

だからって。

「女役がいいから「大声はるか」にしてよ!」
との反論も聞き入れられず。

でも、慣れるとだんだんノっちゃうものですね。

呼ばれるとポージングしつつ、振り向いたり。
「どぉぉうしたんだい?君はぁ、つかぁ〜れているのかい?」と話しかけたり。
一部の同期とは休憩時間に、ヅカっぽいダンスをすることも。

もちろんオーラは0ですよ。

そんなこともあり、私たちのヅカ熱はますます高まりました。
一時は交代で「歌劇」を買っていたほどです。

タカラヅカのスターが山ほど載ってる雑誌です。

やがて自分たちで公演を見に行こうとなりました。

見事チケットを取り(なんと天海祐希の公演!奇跡でした)、当日を迎えたのですが・・・

私はひどい風邪になり、行けなかったのです。

これを機に私のヅカ熱は一気に冷め、同期もあの名を呼ぶのに飽き、ヅカブームは気づけば終わっていました。


以上の話を従姉妹にしたところ、「それ、ヅカネームじゃないよね」と返されました。

確かにその通り。『宝塚と無関係ネーム』が正解でしょう。

でも今思うと、この頃は社内全体が暗い時期でした。
株式相場は日に日に悪化の一途、お客様の不安もとどまるところを知らず。

私たちも予算とお客様の要望の板挟みに、かなり苦しんでいました。
だからこうやってふざけては、ストレスを逃していたのだと思います。

その中で生まれた「大声とおる」・・・

本物のトップスターが、その輝きで私たちを夢の世界へ連れて行ってくれたように。
「大声とおる」もまた、なんらかの形で同期の心を救っていたとは考えられないでしょうか。

そして役割を終えた時、彼女は姿を消した。

そう思った時、私はやはりヅカネームを授かったことにしようと決めました。
もちろん自分の中だけでこっそりと、ですが。

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