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仕事における「トップダウン思考」人と「ボトムアップ思考」人のすれ違い

■仕事の早さに求められる「トップダウン型思考」

仕事が早い人は「トップダウン型思考(逆算思考)」を身に着けていると言われる。これは、ゴール(目標)に対して、最良の方法を決め、逆算的に段取りをしてから仕事を始める、という思考法である。

例えば、7日後までにお得意様への自社商品説明用の資料を作成する必要があると仮定した場合、

①【1日目】資料内容の流れのラフ案を作成
②【2日目、3日目】上司に提出し、確認依頼。修正部分のフィードバック
③【4日目、5日目】資料作成作業
④【6日目】上司に本資料提出し、最終確認を依頼
⑤【7日目】完成(ゴール)

といった作業全体の一連の流れ、各作業の必要日数を逆算的に想定してから、作業に取り掛かる。つまり、「段取りが先、作業が後」が基本になる。

■「トップダウン思考」対をなす「ボトムアップ思考」

ゴールに向けて逆算的に思考を行うトップダウン思考に対し、「ボトムアップ思考(順算思考)」が存在する。
前者が段取りを先に行うのに対し、ボトムアップ思考は「とりあえず目の前の物から作業を始める」「取り掛かりやすい所から作業する」というのが特徴である。

段取りより前に作業をスタートすることになるので取り掛かるスピードが早い。また、常に変化する現状に合わせ作業を進めていくため、上司の想定を超える質の成果物が完成する可能性もある。

一方で、長期的な仕事については行き当たりばったりになり、途中で躓いてしまったり、ゴールに対する進め方がズレてしまっている場合も起こりうる。進めた作業が無駄になり、後戻りすることになる可能性もはらんでいる。

基本的に、トップダウン式の方がゴールからずれずスピーディーに仕事に対応できる(トラブル発生時も軌道修正しやすい)ため、「トップダウン思考を身につけよ」という趣旨の記事は数多く見られる。

■実際には...両者の思考が併存、混在しているのが『職場』

これらについて、筆者の経験上、「トップダウン思考型」「ボトムアップ思考型」の両者が職場で密接に関わり合いながら仕事をする場合、衝突が発生しかねない。

例えば、「トップダウン思考」の上司から、「〇〇日までに××の会議資料を作成しておいてくれ」と指示があったとする。

この時、同じトップダウン思考の部下であれば、資料の目的、体裁、ゴール等についてその場(もしくは自席に戻り少し整理した後)で確認を行った上で作業に入ることが出来るため、大きな支障は発生しない。

しかし、これが「ボトムアップ思考」の部下であった場合、指示を出された段階でとりあえず作業に取り掛かってしまうため、上司が想定したものと異なる資料が出来上がってしまうことになる。

上司からすると、「完成系が分からないのであれば、なぜ事前に確認してこないんだ」と思う訳であるが、部下からすると、「なぜ想定した形があるのなら、もっと細かい指示を出さないんだ」という不満が溜まることになる。

ただし、上司側としても、指示の時点では大枠のイメージレベルでの指示に留まっている(むしろその部分は、指示に反しない範囲で部下の裁量に任せている)ことが多く、部下が求める細かい指示も出しようがないのである。

※細かいことを言えば、仕事上の指示・協力に多大に仕事が早いとされる「トップダウン思考」の人達には、先天的に(生まれつき)思考をトップダウンで行っている人と、仕事もしくはそのほか趣味等の活動の中で後天的に身に着けた人がいるものと思われるが、両者の差異については現時点で不明

■重要なのは、「両方の思考法があることを知る」こと

このようなことが起きると、仕事も増えることになるため、「彼・彼女は仕事が出来ない」「自分の上司は指示が下手」となって関係悪化に繋がりかねない。しかし、大事なのはまず両方の思考法があることを知ることではないだろうか。

ボトムアップ思考の人がトップダウン思考を身に着けるのには相当の時間がかかるだろうし、逆にトップダウン思考の人は、演繹的に指示や結論にたどり着く場合も多いため、どうやってそのような指示や結論に至ったのか、掘り下げて考えることが苦手で、ボトムアップ部分を説明できない人も一定数いる。

衝突回避のためには、相互理解を進めるしかない。どちらの思考法も出来、両方の気持ちも分かる人は一定数いると思うが、現在、上司や部下にイライラしている人は、まずは両方の思考法の存在を知り、理解すること。
そして、自分が身に着けていない思考法に、少しずつでもチャレンジしてみる、ということなのだろう。

ちなみに、筆者はバリバリのボトムアップ思考であり、未だにトップダウン思考が身につかない。
(作業の段取りを考えようとしても、ものすごく時間がかかってしまう)
最近は自作のチェックシートを作成するなどして、解決したいと考えている。

今回の記事のテーマについては、まだまだ整理・記載できていない面も多々あるため、更に整理が進んだ際には、再度書いてみたいと思う。

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