KULA SHAKER 私的・来日ライブレポート
今回はそろそろ本格的な音楽文章をと思い、来日レポートなるものを書くことにしました。
私のようなものが書かせていただくのは、大変失礼かと思っておりますが、稚拙ながら、この素晴らしいライブを書くことを光栄に思っております。
来日公演の概要
Kula Shakerの来日公演は1996年から今回を含めると合計10回(2016年を2回とカウント)で、特に夏の洋楽ロック2大フェスティバル(Fuji Rock、Sommer Sonic)に出演している、名実ともに偉大なロックバンドとなってます。
今回の来日公演は「1st Congregational Church of Eternal Love & Free Hugs Tour」、直訳すると「永遠の愛とフリー ハグ ツアーの第 1 回会衆派教会」と銘打ったもので、これは2022年6月10日にリリースされた通算6枚目のアルバム『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs(ファースト・コングリゲイショナル・チャーチ・オブ・エターナル・ラヴ・アンド・フリー・ハグス)』のツアーとなります。
つまり、アルバムを発表してからのツアーというもので、2022年7月5日の英国というか、ScotlandのGlasgow、The Old Fruit Marketから本ツアーはスタートしました。ツアー途中の8月20、21日にSommer Sonic 2022に出演し、再びUK、USでのツアーを継続し、今年1月13、14、15日に7年ぶりの単独公演というスケジュールで日本に戻ってきました。
こうして7年ぶりの単独公演ということで前回の2016年も夏フェスに出演し、11月に単独公演でしたが、なかなか日本に来て貰えなかったので(パンデミックのせいもあるとは思いますが)、短期間で観れるのは本当に嬉しいです。
2016年ツアーとの比較
アルバム『K2.0』から『1st Congregational Church〜 Free Hugs』のツアーとなりました。そして実のところ、2016年は『K2.0』のツアーではなく、『K』アルバムリリース20周年記念ツアー、『K』再現ライヴ+more songsでした。
当時、アルバム再現ツアーが流行っていましが、20周年記念というアニバーサリーは数字の割切と判断しています。
さらに、細かく比較しますと、
・夏フェスの場所、フジロック→サマーソニック
・単独公演の場所、東京2回→名古屋1回と東京1回
・招聘先、スマッシュ→クリエティブマン
と、かなりな新装感です。
今回の単独日本公演は3公演
・東京 2023/2/13(月) 恵比寿ガーデンホール
・愛知 2023/2/14(火) 名古屋クラブクアトロ
・大阪 2023/2/15(水) 梅田クラブクアトロ
これを読まれていらっしゃる方、前回の2016年は覚えていますか?
「JAPAN TOUR 2016 / Album “K”再現ライヴ」
・11月21日 (月) 東京: ZEPP DiverCity Tokyo
Support Act: OGRE YOU ASSHOLE
・11月22日(火) 東京: 恵比寿リキッドルーム(追加公演)
Support Act: オワリカラ
・11月24日(木) 大阪: なんばHatch
思い出しました。これを見るとわかりますが東京公演には「オープニングアクト」が入っていまして、同じ料金なのに、どちらも平日なので、どうして東京だけ入るのかと、多くの東京公演に行く人が不満を露わにしていました。
思い出したついでに、この年のライブで問題があり、機会があれば、いつか書きます。
今回は不公平と思われる様な「オープニングアクト」の入りもなく、名古屋飛ばしのない、日程でした。
当日開演前の様子
私が行ったのは、恵比寿ガーデンホール、2月13日の寒い雨の降る日でした。
当日は午後休で、会場には15時ぐらいに着いて、まだ何もない状態ではありましたが、SNSで後に知りましたが、その時間は既にバンド一行は会場入りをしていたようで、一応、ファンさんが数人、行き来をしている程度でした。
グッズ販売の時間が貼り出されていて、販売予定の1時間ぐらいから列が出てきて、開演の1時間前には先行販売は終了でした。(正確には全公演共通 17:00~17:30)
グッズ購入後には会場に入る人達の列もチラホラと、購入したツアーTシャツを着込んで並ぶファンさんも沢山いました。
ホールの外で待っていたファンさんの人達は雨と風、特に建物だけの施設なので風は一段と強く、体感温度はかなり寒くて、確か、東京では「大寒波来襲」と、気象庁からのアナウンスがあったような。今年最低気温のような記憶です。要はそれくらい寒い中でしたが、先行販売で購入したばかりの半袖のTシャツを着こんで待っていた熱心なファンさんの子もいて、それだけ熱気がすごかったです。
去年の夏のサマソニはとても暑く、そして今年の単独公演ではとても寒く、ライブに行くのも、演奏するのも、体力勝負というとこかもしれません。
とはいうものの、お互いの熱い思いの前には季節は関係なしです。
会場
この会場は私は初めてでしたが、1994年に開業している複合施設で、床がフローリングの多目的ホールです。ステージは今回はスタンディングで、収容人数は、約1500人。東京は1回公演でSOLD OUTだったので、当日券はありませんでした。※名古屋・大阪はありました。
参考として、名古屋クラブクアトロ(キャパ550人)、梅田クラブクアトロ(700人)ということです。
今回のツアーは全体的に短期間かつ、前回ほどの規模ではなかったこともあり、全ツアーの中で名古屋はかなり少ない収容人数の会場だったと思われます。
(参考数字:前回のZEPP DiverCity Tokyo計2500人ほど、リキッドルーム 1,000人、なんばHatch計2000人ほど)
今回のバンドの状況
ご存知かと思いますが、解散以前のメンバー、Jay Darlington(ジェイ・ダーリントン/オルガン)が復帰したということで、今回は特に「久しぶりに見にきた」「初来日に行った」という 観客の方々の声も聞かれました。
※Sony Musicのプロモーション用・映像より
ということで、JayとCrispianの2人が「それじゃあ会場で!」ということなので会場からのレポートに行きます。
もちろん、Alonza Bevan(アロンザ・ベヴァン/ベース)、Paul Winterhart(ポール・ウィンターハート/ドラムス)の不動のリズムセクションの2人も日本のことを「ホーム(お家)」と言ってくれているわけで、日本のファンの1人としてもとても嬉しいことです。今回もまたあの2人に7年振りに会えるのは感激というか感涙です。
会場からのレポート
ここから記憶を辿って行きます
会場でステージに写し出される不思議な模様。「あ、インド!」ではなく「教会」「フリーハグ」「第一回」「党派」という感じで、ああ、Kula Shakerです。(多分、お香を炊いているのではと思ったのですが…。)
当日のセットリスト
Hey Dude
Sound Of Drums
Whatever It Is (I'm Against It)
Infinite Sun
Gaslighting (New Song)
Temple Of Everlasting Light
Grateful When You're Dead / Jerry Was There
Gimme Some Truth
Gingerbread Man
Farewell Beautiful Dreamer
Into The Deep
Waves (New Song)
I Don't Wanna Pay My Taxes
Song of Love Narayana
303
Tattva
Hush
- Encore -
Gokula
Govinda
※東京公演Set Listのリンクは一番最後にあります。
暗転からの1曲目「Hey Dude」の「Catch the Sun!」は、当然のごとく大盛り上がり大会です。『K』からの曲が多く、観客の中に解散前のファンの方達も含め、やっと会えた、戻れたという感涙という人達が多かった様です。
続いて、2ndアルバムでKula Shakerの最高傑作とも言われるほどの『Peasants, Pigs & Astronauts』の「Sound Of Drums」という豪華すぎる流れからの今回のアルバムより「Whatever It Is (I'm Against It)」。ストレートなロックとサイケデリックなキラメキが合わさり、ステージ後ろに写されていた万華鏡の様に美しく見えます。
『K2.0』からの「Infinite Sun」はインド音楽、ラーガ・ターラのロックで、みんな手を挙げてリズムに合わせます。ここで知らない曲と思いましたがどうやら「Gaslighting」という曲は新曲で、軽快なロックンロールが演奏されます。
全体として『K』をオープニングとエンディングとし、新曲、各アルバムからというバランスの選曲です。
安定といえば安定ですが、私的選曲として、インドっぽくない『Pilgrims Progress』からの曲とか、EP集からなどと更なる期待をします。
中盤の「Waves」では、lalalalalaとコーラスを混ぜ、色々な国の都市名をあげて歌い綴っていく中、「Tokyo」「Osaka」と歌詞を変えて歌っている時はどうしても反射的に歓声を上げてしまいます。
どうやらこの曲も新曲で、都市名が歌詞に盛り込まれていたので、今回のツアーの各所で披露している曲なのだろうかと考えました。私的な知識としてはThe Smithsの「Panic」の様な曲と考えましたが、今回更に歌詞を調べてみたところ、東京は「All The Girls in Tokyo♪」という歌詞としてあり、他のライブ会場でも「〜Tokyo」と歌われている様でした。
ただ、実際のリリース時の歌詞がどうなのか不明ですが、私が調べた音源では、その歌詞でした。
妄想MVには東京でのオーディエンスが「王子!」と叫んでいる姿をパンで追っていく絵面になると微笑ましいです。
日本に王子ファン層もいるというのを、バンド側もよくわかってます。
「I Don't Wanna Pay My Taxes」と曲の紹介した後、周囲の子達が「クリスピアンは税金を払わない(可愛)」と言ってクスクスと笑っていました。私の中ではGeorge Harrisonの「Taxman」からかな?と思いましたが、人それぞれ思う事があると思った次第です。
実際に英国では2023年4月に法人税率の変更が運用が開始されるそうです。
因みに「Gaslighting」の初演は2022年12月7日英国NorwichのThe Waterfront Norwichから、「Wave」は同年12月8日の英国ロンドンのO2 Shepherd's Bush Empireからとなってます。
アルバム制作中とありましたので、次回作の曲、もしくはミニアルバム、いや、シングル的用の曲かもしれませんが、期待です。
そうして『Strangefolk』からの「Song of Love Narayana」は片手に半月型のタンバリンを持ち、しゃらしゃらと鳴らす楽器を、Crispianが一度離すと、稲妻の様なギターソロとなり、ライブも最高潮となります。そこからは、怒涛の『K』からの曲のオンパレードで、一気に「Hush」まで傾れ込み、演奏が爆発です。
ここで演奏の技の披露となり、ベースもドラムもキーボードも、ギターも。ギターも実際にはスライドあり、足元には多くのエフェクターもありますし、ワウは当然。このあたりの話は次の機会にでも。
最後は「日本のファンにまたすぐに日本に戻ってくる」とのメッセージを残し、会場全員がバンドとの「夢の様な時間」を共有できました。
私だけかもしれませんが、この上ない幸福に包まれました。ありがとう、Kula Shaker、一緒に会場にいたファンさんの皆様もありがとう。
感動でした。よかったです。
帰る頃には雨も止んでいまして、あの熱気で、足元も乾いていました。
今回は3日間の弾丸ツアーでしたが、すでに新しいアルバムのことも話されていましたので、次回は7年よりは前倒しで、早く戻ってくる可能性が高いのではと予想します。
ということで、今回の来日レポートを終わります。
一点、気になったことがあったのは、観客の人(男性)が「Hush」の時に手に持っていたビールを観客に向かってかけたことです。この人は多分、ずっとある曲の要求をしていただけでなく、もっと色々言っていたのかもしれないです。飲み物はダメです。かかった人達は「ベタベタする」「髪の毛についた」などで小学生みたいでそういうの止めましょう。
こうした人はバンド関係なく一定層いますが、その話も次も機会に。
【追加情報】
3月10日(私が見たのは夜でしたが)に以下の様なリストが上がっていました。今回のツアー全体におけるセットリストの様な感じです。
一瞬だけだと「永遠の愛(不滅)セットリスト '22/'22」というタイトルで、これを毎日、聴きながら、次回アルバムまで待て的な「愛」かと焦りました。ともあれ、今回のツアーはKula Shakerのメンバーも思い出の深いものとなったのだと思います。
残りのツアーは9月にUSであるので、どの辺でアルバムが出るかです。思った以上に、今回のアルバムも良い作品で、大貫憲章さんは「大傑作」と褒めまくっていましたので、次回作がどうにも気になります。
来日時にインタビューされた、色々、深いインタビューです。家族や日本のことを語れているインタビューはそうそうないのでご覧ください。プレゼントもあるので、ぜひ。
こちらは東京公演の最速レポートです。
Sony Music公式の東京公演セットリスト集です。
APPLE MUSICはこちら。
最後にメンバーシップも始めています。
次回の予告ですが、80年代や、90年代や、または別なバンドのニュースとか、もしくは、追悼シリーズ、公演レビュー、などなどで、次回はもっと攻めてみたいと思います。(使い回しですみません)
Kula ShakerやBritpop方面も書くことも考えてます。
ご清聴ありがとうございました!