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【美術レポ】鳳凰は大阪に舞い降りた。徳川美術館展@あべのハルカス美術館

こんにちは。筆者の すみれ です🌈♥️
普段からのライフワークである美術展行脚の中で
見た様々な美術展示の記録として
noteで書き留めています。

さて、今回は今年の4月〜6月
あべのハルカス美術館で開催していた
「徳川美術館 尾張徳川家の至宝」のレポです🌷
6月で大阪の展示は終了しましたが、
7月3日からは東京はサントリー美術館にて
現在開催中です。https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2024_3/


「至宝」の名に偽りなし!

タイトルそのまんまですが、展示品全てが
本当に「至宝」の数々でした。
刀剣や火縄銃などの武具や、壺や反物、
徳川家康は香木マニアだったそうで、
香道具もたくさんありました。おしゃんな趣味。
そのどれもが一級品。その中でも今回の展示の
目玉である「初音の調度」・「源氏物語絵巻」
このふたつは至宝中の至宝と言えるのではないでしょうか。

展示品の中で面白かったのは、入場してすぐに
甲冑がどどーんと我々をお出迎えしてくれるんですけど、その右隣に真っ黒の塊(?)が3、4個置かれていて、展示というにはあまりにも未知の物体が
展示されてました。これ、なに…?と思い、
説明を見るとなんと「松明」でした。笑笑
やはり戦国時代、夜戦などもあったため
明かりを確保するために松明は必要不可欠です。
けれど、正直めちゃくちゃシュールでした。(笑)
多分この松明も400年後に展示ケースに入れられるなんて予想してないって顔してしましたね('-')

その隣のコーナーには日本刀がズラリ。
もうひとつのお目当てであった「鯰尾藤四郎」も
初めてお目にかかれました🤧❤️
個人的には大迫力の大左文字の太刀や
皆焼の刃文の妖刀村正にめちゃくちゃテンション
上がりました。皆焼やっぱりかっこいい!
左文字の刀は初めて見たんですけど、
自分の想像よりも強そう、というか。
全体はスラッとしていたものの、どしっと
重厚感があり、筋肉質(?)な太刀だな〜と
私は感じました。細マッチョな感じ。
左文字の特徴である茎の「左」の銘を
しっかり確認できて感動!!!!!!!

いつか、いつか かの有名な「小夜左文字」を
生で見たいという願望があるのでその時のための
左文字の鑑賞練習を…😂😂😂
(小夜左文字が一般公開される時は来るのか…笑)

恋に落ちるのは、いつも突然。

順路に沿って進んでいくと、壺や茶器の次は
能面や能舞台で着用する衣装、そのあとには
女性用の着物などが展開していきました。
会場順路的に角を曲がって次の展示へ…という中、
曲がった先正面に待ち構えていたのは
「紫地鳳凰文長絹」。
長絹 (ちょうけん)とは絽(ろ)や紗(しゃ)などのとても薄いシースルーの生地で作られた能舞台用の
衣装だそう。ひらひら動く羽織ものみたいな。

濃く深い紫をベースに、金糸や極彩色の糸を
ふんだんに使われ現れた鳳凰は風を全身に受け
今にも飛び立たんとする様子。
美しい羽を羽ばたかせた時の風がこちらに向かって吹いて来るのすら感じられそうです。
うっとりとしているようにも見える鳳凰の
下部からは虹色の尾羽根が伸びています。
全くのノーマークだった作品。
初めて見ました、初めて知りました。けれど、
もう私はこれが忘れられなくて忘れられなくて。
目が離せない。一目惚れの状態に近かったかも。(笑)

この作品のどこに一目惚れしたかというと、
まずはその迫力。
長絹の背中一面に配置されている鳳凰は
目の醒めるような極彩色がふんだんに使われていながらも、全くがちゃがちゃしていなくて
目が疲れるどころか、逆にずっとずっとずっと
見つめていられます。
鳳凰の表情に不思議と吸い込まれる感覚でした。
ぱっと見の鳳凰の存在感が第一に飛び込んでくるのですが、今度は細部をよく見てみると鳳凰の身体の模様の境目には細い金糸が使われており見る角度によってちらちらと輝いています。

次に、作品の立体感。
作品から3メートルほど離れて全体を見た時に
気付いたのが、素材がとても薄いシースルー
生地なため、衣桁に掛けていると
奥側の生地や装飾も透けて見えるんです。
生地が透けて見えることによって、前後の鳳凰の
尾羽に奥行きが生まれ鳳凰がとても立体的に見えるんです。

すごい…!!!めちゃくちゃ感動しました。
作品をじっくり見ていたら、
あれ、もしかしてこれ…立体感を感じられるような
造りになってる?!???!と気付き内心大興奮。
だってすごくないですか?!???
いやもうこれ!!!?!?!←

衣桁に掛けた時はもちろんですが、
これは能舞台用の長絹。
舞台役者さんが羽織って舞台上で演技したり
舞ったりする時がいちばんの見せ場であり、
作品の本来の姿です。
実際に人が着用し、動いた時でも前後の
立体感は感じられると思います。
また丈が長くなびくので、立体感に加え躍動感を
強く意識できるのかなとも鑑賞しながら思いました。
ただ見た目の派手さや荘厳さだけでなく、
実際に能で使われた時の一瞬の美しさまで
計算して考えて作られているのであれば
こんなにも素晴らしい作品に偶発的に出会えたのがとっても幸せです。
今年見てよかった作品に納得のランクインです。

ちなみに衣桁(いこう)とは着物を掛けておく家具のこと。今で言うハンガーラック的なのです。

ずっと見たかった2作品!

メインの展示に行く前の長絹でこんなにも大興奮していますが、この展示の最大の見どころはやはり「初音の調度」と「源氏物語絵巻」の2点。
最初に書いたとおり徳川美術館だけでなく、
日本の国にとってもガチ至宝だと思います。
勿論、どちらも国宝に指定されています。
展示順としては初音の調度→源氏物語絵巻の順番でした。

初音の調度は徳川将軍第3代にあたる徳川家光の
娘・千代姫が尾張徳川家に嫁入りする際に
調度品として寛永16年(1639年)に作られたもの。
「初音」とは源氏物語第23帖の物語のことで、
物語の中で明石の君が幼くして嫁いでしまい、
離ればなれだった娘のことを想い詠んだ
「年月を松にひかれて経る人に今日鶯の初音きかせよ」という和歌にちなんでいます。

展示の解説を読んでいて、
千代姫はなんと当時数え年で3歳!!!
さ、さんさい???3歳で嫁入り??!?!?!
現代では完全に消えてしまった価値観すぎて唖然としました(笑)
確かに美術に触れているとその当時の価値観というか、今じゃ絶対考えられない結婚観や男女間によく触れますが、ますが、、
これにはビビりました。いやバビる。
(ビビるの2個上)
自身の娘をわずか3歳で嫁がせる親の心情が
この初音の調度のテーマともリンクしていて、
感情移入してしまう作品。
この初音の調度も、源氏物語の初音も個人的に好きな作品なので実際にじっくり見ることができてとってもよかった!

源氏物語絵巻はさすがの風格、と思うくらいには神々しい…
当時展示されていたのは絵巻の中の「早蕨(さわらび)」。わたしの正直な第一印象は、
教科書で見たことあるやつ!!!!!!!!!」(笑)
特に深い意味も浅い意味もなく、シンプルに
圧倒的教科書で見たことある感がすごかった😂😂
ああこれって存在するんだ〜、、、
しかもいま目の前に。
不思議な感覚でした。1000年以上前の作品が自分の目の前に、しかもかなり鮮明に、和紙なので多少の破れや擦れはあるものの状態も良いと言えるのではないでしょうか。
これを国宝と呼ばずに何と呼ぶ、
作品の静かな雰囲気の中にそんな自信と
1000年間ゆるがない美しさをひしひしと感じ取れました。

わたしこれで謎に感動したことがあって。笑
それがこの源氏物語絵巻は絵巻という名の通りくるくる巻いてあるのだけど、物語の絵や文章・和歌が描かれている部分とそうじゃない部分があって。
そうじゃない部分にも細かい装飾が施されていてどこをとっても豪華な作品なんだけど。金と銀の四角い小さな箔が散らされて、その上から細かく星の砂みたいにキラキラが振りかけられているのがあって、解説に「金銀砂子の〜」って書いてあって、
これが金銀砂子か、、、!!と謎の感動。
だってあの七夕の歌のき〜んぎ〜んすなご〜って何?ってずっと謎で、
かといって調べるわけでもなく←
リアル金銀砂子めっちゃテンション上がったよねっていう。

あまりにも忘れられなさすぎて、4日後に再び見に行きました。リピート最速記録かも。
だってこの長絹は展示替えの関係で前期の展示のみなんだもん!!
行くっきゃないでしょ!!!!!!!
リピーター割で通常よりも200円安くチケット買えた!!!
ありがとう!!!!!あべのハルカス美術館!!!!!!!!
ありがとう徳川美術館。

長光のために行きたい東京展示


紫地鳳凰文長絹は東京での展示は残念ながら無さそうなのですが、東京展示ではなんと!なんとあの「名物 津田遠江長光」が展示されるというじゃ
ないですか〜〜〜〜〜〜〜!!!!!?!?!?!
いや見たい!!!!!見たすぎる😭😭😭😭❤️❤️❤️❤️😭😭😭❤️❤️😭😭❤️❤️❤️
東京国立博物館の大般若長光と並ぶ長光作の太刀で、大般若長光とは「双璧」と呼ばれるあの!!!!あの!!!
津田遠江長光!!!!!好き!!!!
サントリー美術館にいますぐ飛んで行きたいです😢💓会いたいよ〜〜、、、、
こういう時に関西勢悲しみの雄叫びを上げたくなるうㅠㅠ

大ボリュームの満足感たっぷりの徳川美術館展でした。津田くん、大阪にも来てね♡
大般若と一緒でもいいよ♡♡
ではまた♡


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