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ホーム・イズ・ア・クエスチョン・マーク/本当の自分を探して

Home Is a Question Mark - Morrissey

3年前の2017年11月、その1年前に受けた手術の定期健診のため帰国した。ちょうどモリッシーのアルバム「Low In High School」のリリースの時期がほぼ重なった。

CDは日本盤の発売は無く輸入盤を購入。アナログレコードは輸入盤だがジャケットの文字が各国語表記のカラー盤が数種発売されていて、日本語の訳詞も掲載されているという。わたしはそのイエローカラーのジャパニーズ・エディション盤がどうしても欲しくなって、レコード・プレイヤーも持っていないのにアマゾンでポチった。

結局アマゾンでは入荷の遅延で滞在中には届かない心配が出てきたのでキャンセルし、新宿に出た際にHMVで買った。何十年かぶりに持ったレコード袋がちょっと嬉しかった。

このアルバムを一番最初に聴いた時は正直ピンとこなかった。でも何度も繰り返し聴くうちに歌はわたしの中の隙間に入り込み、だんだん胸に響いてくる。聴けば聴くほど味が出てくるスルメのようなアルバムだと思った。その中の1曲、「Home Is a Question Mark」に特に惹かれ、それだけ何度もリピートして聴くこともあった。

そこで歌われている「Home」って何だろう?ずっと考えていた。家?居場所?故郷?どこにあるんだろう?わからない。

I've seen many shores
多くの大陸を見てきた
I hug the land, but nothing more
大地を抱きしめた、だけどそれだけだった
Because I haven't met you
何故ならまだあなたに会っていない
I have wined and I've dined
ワインを飲み食事をしてきた
With every bogus music mogul
あらゆる偽の音楽業界の大物たちと
...No sign of you
だけどあなたの影はなかった
I've brushed and I've rubbed
かすめて掻き散し
Pressing palms and executing charms
手の平を合わせ魅力をふりまく
But never in arms
だけど腕の中にいたことはない 
And that's why
だから
Home is a question mark
ホームはクエスチョンマーク
Home is...some place...I dunno
ホームは…どこかにある場所…わからない
Home is a question mark
ホームはクエスチョンマーク
Home is...some place...I dunno
ホームは…どこかにある場所…わからない

I have been brave
僕はずっと勇敢だった
Deep in every shaven cave
あらゆる剃り込まれた洞窟の奥深く
None were you
でも誰一人としてあなたではなかった
Another film on replay
別の映画を再生する
This time "Hell" with Guillaume Canet
今回は「地獄」、共演はギヨーム・カネ
For wingless me
翼のない自分の為に
And that's why
だから
Home is a question mark
ホームはクエスチョンマーク
Home is...some place...I dunno
ホームは…どこかにある場所…わからない
Home is a question mark
ホームはクエスチョンマーク
Home is...some place...I dunno
ホームは…どこかにある場所…わからない

 Home - is it just a word
ホームってただの言葉?
Or is it something you, carry within you
それとも自分の中で持ち運ぶもの?
I'm happy just to be here
ここにいられるだけでしあわせ
If I ever find home
もしホームを見つけられたら
If I ever find home
もしホームを見つけられることがあったら
If I ever find home
もし見つけられるなんてことがあったら
If I get there, would you meet me
もしそこに行きついたら、あなたは会ってくれますか?
Wrap your legs around my face just to greet me
脚を僕の顔に巻きつけて挨拶してくれますか?
If I ever get there, would you meet me
もしそこに行きつくことがあったら、あなたは会ってくれますか?
Wrap your legs around my face just to greet me
脚を僕の顔に巻きつけて挨拶してくれますか?
If I ever get there
もしそこに行きつくことがあったら
Do you really think I will
あなたは僕が本当にそうすると思う?
Do you really think I will
僕が本当にそうすると思う?
Do you really think I will
僕が本当にそうすると思う?

HOW MANY TIMES I’VE SAVED MYSELF!
何度僕は自分自身を救ってきたことか!

ソングライター: Alain Gordon Whyte / Steven Patrick Morrissey / Mando Lopez
Home Is a Question Mark 歌詞 © Warner Chappell Music, Inc, Kobalt Music Publishing Ltd., BMG Rights Management

★★★

去年の暮、クンダリーニヨガを始める前、チャクラのリーディングをしてもらうために専用のインタビューシートに記入して送った。そのリーディング結果に合わせて毎日無理なくできるヨガ動画をレメディとして選定してもらえるというものだった。

募集していたのは確か10人ぐらいで、わたしが申し込んだのは最後の方だった。年明けから申し込み順にリーディングして結果を送るということだったので、わたしの分はちょっと待つのかも、と思っていたら年明け早々メールが送られてくる。

ヨガの先生からの熱いメッセージだった。読み返すと今でも泣いてしまいそうになる。その中に書いてあったわたしの問題は、ボディ・マインド・スピリットの三体がズレにズレまくっている、という点。兎にも角にも早急に状態をゼロポイントに整える、というのを強く受け取ったそうだ。

仏教では「三位一体」と言って、ボディ・マインド・スピリットがピッタリと影を作らずに重なっているのが人間として一番心地よいと感じられる状態らしい。この三体がズレているとストレスを感じるようになる。なぜならズレているのが不自然な状態だから。

わたしがすることは「そのピッタリ感を感じる時間をとにかく頻繁に作ってあげること」。そのうちピッタリ感が当り前になって、ピッタリしていない状態に違和感を感じられるようになる。そのためには日々ヨガを実践してください、と書いてあった。

わたしはメールの返信で「そのピッタリ感が当り前になったら、本当の自分というものに会えるのでしょうか。」と聞いた。そんな質問をしたのは、あれからずっと「Home」の意味を考え続けて自分なりの答えを見つけていたから。

「Home」とは「本当の自分が居る場所」だと思った。「本当の自分」とは何か。この時は漠然としか分かっていなかったが、自分の全てを受け容れた先に居るのではないかと考えていた。

わたしの問いに対して先生からの返事は「Yes」。それからわたしは毎日ヨガに励むことになる。いつか本当の自分に会えるのではないかという希望を持って。

この歌の主人公は魂の自分を探している。そこが自分が唯一本当に安心できる居場所だから。何度も生まれ変わり色々な人生を生きるが、まだ本当の自分を見つけることはできない。

ここでも人生は映画に例えられる。今度再生される映画は「HELL (邦題:美しき運命の傷痕)」。暗く重く悲惨な人生だが最後には僅かな光が見える。

先日やっとわたしはこの映画を観た。主人公たちのキーパーソンとなるギヨーム・カネが劇中で朗読した詩がとても印象に残った。

生きながら 我慢しながら
僕の心は青ざめ、色あせる

昔の自分が影を追う
我慢しながら 生きながら
捜したがみつからない

昔の自分が 今の自分が
昔と違う 今と違う自分が
捜したがみつからない

さまよいながら 夢見ながら
夜に滅ぼされ 昼に助けられる
日々は失せ 人生は短くなる

夢見ながら さまよいながら
希望を胸に 期待を胸に
人生を夢見る 夢ごこちに

心を隠す自分を非難する
生きる気力もなく 夢見ているから
希望を胸に 期待を胸に

(映画:「美しき運命の傷痕」より)

わたしたちは、どんなにもがき苦しみ、さまよっている時でも希望を持つことをやめられない。どこかに魂の自分が居ることを、いつか出会う時が来ることを本能で知っているからかもしれない。

わたしの「Home」はまだ完全には見つかっていない。でもどこにあるのかはもう分かっているし、そしてそれはいつか見つけることができるものだと思っている。 

もしわたしが本当にそこに行き着いたら、もし本当の自分というものに会えたら、脚を顔に巻きつけて挨拶してくれるだろうか。わたしは「ごめんね、待たせたね!」って笑顔で抱きしめたい。「やっと会えたね」って百万年分の涙を流しながら。


(見出し画像は「HELL (邦題:美しき運命の傷痕)」のギヨーム・カネ)








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