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辛勝がつなぐもの ―カタールW杯アジア最終予選―

3戦終えて1勝2敗と、2位はおろか大陸間プレーオフ進出となる3位すらも黄信号という状況になって、3連勝でサウジアラビアと首位争いをしているオーストラリアを迎えてのホームでの戦い。
文字通り、絶対に負けられない試合がそこにはあったわけですが・・・。

結果は2-1でなんとか勝利!
試合は序盤に南野のセンタリングを田中碧がうまくトラップして落ち着いてゴールを決めて先制しました。その後も押し気味に展開するもゴールはできず。
後半25分に守田のペナルティーエリアラインぎりぎりのファールで最初はPK判定をされるもフリーキックとジャッジの修正が入りましたが、直接フリーキックを決められ同点に追いつかれました。
嫌な雰囲気を吹き飛ばしたのが浅野でした。
サイドを突破してループ気味に狙ったシュートが相手ディフェンダーに当たってオウンゴールに。
この1点リードを守りきり勝利。
4戦終えて2勝2敗の五分として絶望的な状況からは一歩前進した状況です。

各選手寸評

GK:権田
吉田の不用意なバックパスがいくつかあったが早めに対応し事なきを得る。
失点シーンは触れそうな雰囲気もあったが止められず。
危険なシーンはそこまで多くはなかった印象だが無難に仕事をこなした。

DF(センターバック):吉田
ゴールポストに救われたが前半の最大のピンチのきっかけを作ってしまった。また不用意なバックパスもあり、安定感を欠いていた。

DF(センターバック):富安
吉田とは対照的に安定した守備とそこからのビルドアップで貢献。欠かせないピースとなっているだけに今後もコンディションをしっかり維持してほしい。

DF(左サイドバック):長友
サウジアラビア戦よりは動けていた印象。ただセンタリングの精度がもう少しほしいのと、以前のような爆発的な運動量がなくなってしまった感はあるので、バックアップの成長が求められる。

DF(右サイドバック):酒井
攻撃面、守備面でも安定していた。惜しいヘディングシュートもあり、このコンディションが維持できるなら次戦以降も期待できる。

DF(左サイドバック):中山 ※後半40分に長友から交代
出場時間が短いため特筆すべき点はなし。長友からスタメンを奪えるような活躍を見せてほしいところではある。

MF:遠藤
今回は出色の出来。素早い寄せで相手からのボール奪取も目立つなどデュエルの強さを発揮。攻撃面でも頻繁に顔を出しており攻守に大活躍。

MF:守田
運動量が豊富で遠藤同様、攻守に活躍。大柄な選手の多いオーストラリアを相手にフィジカル面でも優位を誇っていた。後半には失点につながるファールをおかしてしまったのと、その後のプレーの精度が落ちてしまったのが残念。

MF:田中碧
前半の先制点を決めるなど中盤の3枚の中でも特に前3人とのパス交換も多く攻撃参加が目立っていた。ただ後半は足がつったのか走れなくなってしまった。そのあたりのマネジメントが課題か。

MF:柴崎 ※後半40分に守田から交代
出場時間が短いため特筆すべき点はなし。しかしこの時間帯で出すなら守備の意識を高める上でも板倉のほうが良かったのでは。どうしても柴崎を使いたいのね・・・。

FW(左サイド):南野
3トップの左ウィングとして出場。田中碧の先制点をアシストしたり、中央に入ってシュートまで持ち込んだりと攻撃陣を牽引した。

FW(右サイド):伊東
終始ドリブルでの仕掛けがあり、シュートまで持ち込むシーンも演出した。攻撃陣では唯一のフル出場と運動量も見せた。

FW(中央):大迫
何度かシュートチャンスはあったもののゴールはできず。攻撃には絡んでいるものの決定的な仕事はできないまま、後半に負傷交代してしまった。

FW(中央):古橋 ※後半15分に大迫から交代
最終予選では初のトップ起用で、スルーパスでディフェンダーの裏をつくシーンは演出したがトラップがうまくいかずに決定的な仕事にはならず。ただ後半足のつった田中碧のサポートに回ったりとポジション関係なく高いパフォーマンスは維持している。

FW(左サイド):浅野 ※後半33分に南野から交代
持ち前のスピードで左サイドを何度も突破し見せ場をつくった。オウンゴールになったとはいえゴールに繋がったのは浅野のプレーに間違いない。


カンフル剤?荒療治?

 サウジアラビア戦の敗戦を受けて、柴崎、鎌田、浅野をベンチへ、代わりに出場停止から復帰した伊東に、ボランチの守田、田中碧をスタメンとして、布陣も4-2-3-1から4-3-3へと変更しました。
 結果からみればこれが正解だったと言っていいでしょう。サウジアラビア戦では右サイドからしか攻撃の展開ができていなかったのが、今回は左サイドや中央からの攻撃も見られました。その要因として、左サイドバックの長友と左ウィングの南野、そこに中央左寄りにいた守田がうまく絡むことでパス回しが機能していたことでしょう。これによりオーストラリアは中央だけを固めるわけにはいかなくなり、それが遠藤の攻撃参加にもつながるという好循環を生んでいたように思います。中央の3人のバランスが良かったこともあり、サイドバックの攻撃参加や両ウィングの中央への進入など攻撃面での活性化ができていた印象です。
 前試合の敗戦を受けてのテコ入れだったとは思いますが、これがもともと想定されていて起用された選手、されなかった選手双方へのカンフル剤となったのか、それとも背水の陣でのイチかバチかの荒療治だったのかはわかりませんが、全体としてはうまく機能していた印象で選手もやりやすかったのではないかと思います。

戦術に選手を合わせるか、選手に合わせた戦術を取るか

 今回4-3-3の布陣で勝利したことで、これが現状でのベストして基本のフォーメーションとするのか、それとも今回はあくまでプランBであって、やはり4-2-3-1で行くのかが今後の焦点となりそうですが、森保監督のこれまでの采配を見る限り、4-2-3-1に主軸を置いているのは事実です。ただサウジアラビア戦で露呈したように戦術やフォーメーションに固執しすぎることで、古橋を慣れないウィング起用したり、またオマーン戦のように相手にしっかり対策されてしまったりと弊害があったということもしっかり認識していく必要はありそうです。さらに、4-2-3-1のフォーメーションが機能するためには、1トップの求心力、そして2ボランチがうまく全体をコントロールすることが不可欠ですが、敗戦となったオマーン戦、サウジアラビア戦ではいずれも欠けていたように思います。そうなると現状としては4-3-3の布陣が良いということになるのではないでしょうか?

ベトナム戦に向けて

 11月にはベトナムとアウェーで戦うことになります。サウジアラビアとオーストラリアの直接対決もあり、ここで総当りの1巡目が終わるので力関係がよりはっきりしてくることになります。ベトナムはこれまで1勝もしておらず実績的にも成績的にも格下相手ということなりますのでアウェーとはいえ取りこぼしは絶対に許されません。大迫の状態次第でしょうが、相手は引き気味にくることが予想される中でいかにしてゴールを決めるかが課題になってきます。2勝2敗と勝敗こそ五分に戻したものの得点も4試合で2点しか決められていないので、ここでなんとか先々につながる結果を残してほしいと思います。

ルールは守りましょう

緊急事態宣言が解除になったとはいえ、冬に向けてまたいつ新型コロナウィルスの感染が拡大するかもわからないという状況で、スタンドからは声出しや前方に押し寄せるなどの行為が目立っていました。これはJリーグでは入除者数の制限や声出し厳禁など、感染症を拡大させないために運営側もサポーターも入念な対策と努力をしているのに水を差す行為に他なりません。
自分も代表の試合も見に行ったことありますし、純粋にサッカーが好きで応援しているしスタジアムにも行くのですが、やはり代表戦だけ見るという層は一定数いるんですかね?いずれにせよルールを守って楽しむというのは感染症があろうがなかろうが基本的なことです。必死で勝利をつかんでくれた選手たちにも水を差す行為ですので、今後はきっちりルールを守ってもらいたいと思いますね。

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