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ダイバーシティ時代。リーダーに不可欠な「光と影」への深い理解

これまで色々なエピソードとともにお話してきた「光と影」について、今回は、その概念を論理的にわかりやすくおさらいしていきます。ダイバーシティ環境のリーダーが、どうして自分の光と影を統合する必要があるのか、ご理解いただけると幸いです。

価値観が生み出す「光と影」

人には個々人が大切にしている価値観(「こうあるべき」・「こうあってはならない」などの思い)がありますよね。「価値観」はあなたが自分を見たり、他人を見たり、周りの事象を見たりするときに、その好悪や善悪の判断を下す基準になるものです。「価値観」に添っていいな・正しい・そうありたいという理想の方向が「光」、いやだな・間違っている・そうあってはならないと否定したくなる方向が「影」とご理解下さい。

ひとつの価値観には必ず光の側面と影の側面があります。

例えば、前回お話した“責任感”に関わる価値観でしたら、私にとっては「責任を持つ・責任を果たす」ことは正しく思える「光」で、「責任を持とうとしない・責任逃れをする」ことは、間違っていてやってはいけないこと、つまり「影」になります。

光と影イラスト_1_責任感

“価値観=自分らしさ”だと捉えている方も多いと思います。確かに価値観が日常的にあなたの思考や行動を左右するわけですから、あなたらしさの一部であるとは言えますね。しかし、価値観はあなたが後天的に身に着けたあなたの持ち物であって、あなたそのものではありません。光も影も、あなたの持ち物であって、あなたではありません。

価値観は、あなた自身ではない

まず、そのことからご説明します。

価値観には、自分で気づけている(自分がそういう価値観を持っていると知っている)ものと、気づけていない(そういう価値観を持っているとは思っていない)ものとがありますが、どちらも自分を守るために、過去の体験から学習して身に着けてきたものです。以前の号で、価値観は「プログラム」だとお伝えしました。

「プログラム」は、無意識レベルで私たちの安全・安心を確保するために、心地よい快の状態を最大化し、居心地の悪い痛みを避けるように認識と行動をパターン化したものです。「プログラム」は、強いインパクトのある体験や、繰り返し同じような類の体験をすることで形成されます。
例えば、小学校に入りたての頃、ちょっとしたことでうそをついて責任逃れをしようとしたときに、親や先生に叱られたら、これは痛みになりますね。そして、「ちゃんと責任を持つ」・「正直である」のがあるべき姿だと教育されます。逆に、自分のやるべきことをやり遂げたり、「本当は…」と正直に話をしたりすると、褒められて心地よさを感じます(快)。

光と影イラスト_2_価値観形成

私たちは、こうやって痛みと快で条件づけられて、“あるべき姿”を親や社会から刷り込まれて成長します。これまでの号で、私は何度か自分の責任感の高さについて言及してきましたが、責任感の高さは、私本来の特質ではなく、育った環境を通じて後天的に与えられたものだといえます。

光と影は、分かちがたく同時に存在している

「光と影は一対」です。

「責任を持つ」が○をもらえる「光」で、「責任を持たない」が×をつけけられる「影」ですので、○の裏返しが×、×の裏返しが○であることは、当たり前だとお分かりいただけると思います。この文脈で「光と影は一対」というのは、わかりやすいですよね。光があるところにはその裏側に必ず同時に影もあります。

光と影イラスト_3_光と影は一対

ところが、これを自分・他者・周囲の事象などに当てはめるとき、私たちは光と影を分離して、片側ずつバラバラに体験しがちです。片側ずつバラバラにというのは、自分が光役になって相手に影役を押し付けていい気分になったり、あるいは自分が影役になり切って相手や周囲に光を見て、傷ついたり落ち込んだりするというような体験の仕方です。

私が、責任を持つのが良いことだ、だからそういう人になろうと思うようになったのは、小さいころに責任逃れをする私(影の自分)がいたからです。だからこそ、責任を持つことの大切さを学習し、ある程度の成功体験をして、“責任を持つ自分”(光の自分)を形成してきました。その意味で、“責任を持つ自分”(光)の土台は“責任を回避しようとする自分”(影)です。

でも、それは過去のこと。責任を回避しようとする影の自分はもう修正済みで、そんなものは今の自分の中にはないと感じるのが普通かもしれません。そして、そこが今日の話の肝です。“影の自分は、もう存在しない”という感覚がクセモノだからです。

「光と影は一対」です。どこまでも分かちがたく同時に存在するものです。

「光も影も、同じもの」 気づきのワーク

ここで、ひとつ簡単なワークをご紹介します。①~④のステップに従って、あなたも試してみてください。

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