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読書感想文

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ネタバレありです。
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#谷崎潤一郎

「秘密」(谷崎潤一郎)

 人間関係に嫌気が差して、隠れ家としてある寺に住み着きます。心が荒んでいて、普通のことをしたくなくなったようです。現実を離れて自分の好みのものを探すようになりました。美しい着物に出会ってからは女装して歩き回るようになります。スリルを味わう人の気持ちがよく伝わってきます。主人公にとってスリルのないものは面白くないもののようです。秘密を持つ人くらいではすぐに飽きてしまうようになります。主人公の心理は私

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「幇間」(谷崎潤一郎)

 タイトルが読めなかったので、辞書で調べてみたらなかなか聞かない職業でした。

 幇間の三平は仕事を始めて5年ほどの男です。仕事を始めた頃からすぐに頭角をあらわし、とても人気があります。前職は証券会社で働いていたという変わり者です。人を楽しませることが根っから好きな三平は、大丈夫なのかな?と不安になるほどのひどい目にあいます。しかし、最後には普通ならできないような恥ずかしい目にあったことも仕事のネ

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「恐怖」(谷崎潤一郎)

 主人公の独白形式で始まります。主人公は酒と夜ふかしが多く、生活習慣が悪いです。それが原因の1つで「鉄道病」という病気にかかっています。汽車に乗って、発車するとすぐに脈拍が上がり、冷汗をかき、手足が震えて恐怖を感じます。汽車から降りると不思議なくらいすぐに落ち着きます。症状は自動車や劇場でも現れます。今で言う閉所恐怖症のようです。
 恐怖をなんとかしようとして汽車から飛び降りようとしたり、酒で気を

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