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プラプラ堂店主のひとりごと㉗

〜古い道具たちと、ときどきプラスチックのはなし〜

蒸籠のはなし

 久しぶりに、店にうめさんが来てくれた。以前、店でカメを買ってくれたおばあさんだ。そのカメは、今はうめさんの家のぬかどこになっている。料理上手のうめさんは、お気に入り料理の話をいろいろしてくれた。最近は、蒸籠を使うことにハマっているらしい。

「蒸籠は本当に便利よ!ただ野菜を蒸すだけでも、すっごく美味しいの。だいいちね、茹でるのと違って栄養が逃げないし、味が濃いんだから」

「蒸籠かぁ。ぼくは使ったことないなぁ」

「まあ、もったいないわ。それじゃあ、うちの古い蒸籠持って来てあげる!あんまり蒸籠を使うのが楽しくってね、一人暮らしなのに大きいのに買い換えたのよ」

「でも。使う機会があるかなぁ…」

「ごはんは、どうしているの?家で炊いたごはんの余ったの。どうせ、レンジで温めてるんでしょ?」

「え?…はい」

「やっぱりね。蒸籠で温めてごらんなさい。もう、レンジには戻れないわよ」

うめさんは、ニヤリと笑った。

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 かくして。うちに蒸籠がやってきた。正直、いちいち蒸籠でごはんを温めるなんて、面倒だと思った。でも、一度くらいはやってみなければ。

蒸籠に合う鍋に水を入れて火にかける。もくもくと湯気がたってきたら、冷飯を入れた蒸籠をのせて3〜4分。(時間はうめさんに聞いた)

蒸籠の蓋を開けるとー!

 湯気の中に、ふっくらと温まったごはんが。さっそく茶碗によそう。一口食べて驚いた。炊きたてのごはんみたいだ。レンジで温めると、一部だけ熱くなったり、硬いところがあったり。一部がパサパサしていたりもする。蒸籠のごはんは、全体がしっとり、ふっくらとしている。うま〜い!ニヤリと意味ありげに笑ったうめさんの顔が浮かんだ。本当だなぁ…もうレンジには戻れません!

 それ以来、ぼくもすっかり蒸籠にハマってしまった。ごはんの温めはもちろん、じゃがいもや野菜も蒸す。今一番ハマっているのは、肉まん。市販の肉まんが、こんなに美味しくなるのかぁ。この寒い時期にぴったりだ。いろんな種類の肉まんを買ってきては、蒸籠で蒸して味見をする今日この頃。よし、今度は手作りのシウマイにもチャレンジするぞ。しばらくは、ぼくも蒸籠の日々が続きそうだ。

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