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【読書日記】11/4

バイクでいつもの道を通ったときに、つわぶきの花に気づきました。この花が咲くと、冬が来たという気がします。地味な花ですが、黄色い花びらには温かみがあって、好きです。

短歌が好きなので、寺山修司の歌集は読んだことがあります。でも、コレクション日本歌人選040のような詳しい解説が書いた本を読むのは、初めてでした。解説を読むと、その歌が詠まれた背景が分かります。

有名な「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」は、中国人の知り合いと、横浜の海を夜見に行った時に作られたそうです。

解説は有難いのですが、それに捕らわれて自分の想像を膨らませにくくなるとも感じました。詩の解釈に絶対的なものはないので、自分のイメージや感情を大切にするのが良いのかもしれません。

寺山修司の短歌は青年の気負いや衒いを感じるものが多いです。良くも悪くも青臭いです。未来に希望が持てた昭和という時代は、日本の第二の青春期ではないかと思うことがあります。この歌人の短歌は、そんな青春期の輝きとまばゆさを感じるものばかりです。「海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手を広げていたり」

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私は石田千さんの大ファンです。初期のエッセイから最近の小説まで、たくさんの本を読みました。『きんぴらふねふね』には主に食べ物のエッセイが収められています。

きめ細やかでふくよかな石田さんの文章には、何度読んでも惹きつけられます。「五時。寝ぼけまなこで起きあがり、米をつかむ。つめたい水でさらさら洗うと、背骨からふるえがのぼり、しゃんとなる」(211ページ「千客万来」より)

石田さんのエッセイから伝わってくる丁寧な暮らし方が、すごく好きです。平凡な日々の生活であっても、慈しむように暮らしていれば、喜びを感じられるでしょう。食べ物のことをよく書かれるのは、食べることが人間にとって最も大切なことだからです。

この本の中で一番好きなのは「さしいれ」という2ページほどのエッセイです。病気の時に、お友達から差し入れをしてもらったときの感謝の気持ちがつづられています。「ショートカットのサンタクロース」というお友達の描写が優しいです。「感謝をするときは、病気を忘れていられる」とは、人生の知恵が詰まった言葉。

この本にでも出てきますが、石田さんは失恋のことをよく書かれます。小説にもありました。小説は身を裂くような辛さを感じる内容だったのですが、何とか乗り越えられたようです。

失恋は本当に辛いことですが、それから立ち直ることができるのは、日々の暮らしを大切にされているからかもしれません。衣食住という生活の土台がぐらついていなければ、人は暮らしていけるのです。

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