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大切な人を失うこと

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大切な婚約者との出会いから死別のときまで、私の気持ちの整理も兼ねてお届けしたいと思います。 ご覧いただきありがとうございます。
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#彼女

大切な人を失うこと(4) 彼女との出会い②

大切な人を失うこと(4) 彼女との出会い②

待ちに待った、彼女と初めてのデートの日がやってきた。

彼女は大学の通信教育課程に在籍しており、私も彼女と同じ大学の卒業生だった。彼女は、スクーリングでキャンパスに通ったことはあるものの、私が通っていたキャンパスにはまだ行ったことがなかったそうだ。
そこで、お食事がてら、私が通っていたキャンパスを案内してみようと思い、初デート先にその場所を提案した。

彼女とはキャンパスの最寄駅で待ち合わせた。

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大切な人を失うこと(3) 彼女との出会い①

大切な人を失うこと(3) 彼女との出会い①

彼女との出会いは、そんなにロマンチックなものではなく、いわゆるマッチングアプリを通じて知り合った。

昨年11月の頭ごろだろうか。当時すでに司法浪人生であった私は、一人でいることの寂しさから、学習へのモチベーションが下がりつつあった。
そこで、素敵なパートナーが見つかれば、少しは生きるモチベーションも上がるのではと思い、マッチングアプリを始めたのであった。

私は、大学を卒業後一度就職し、数年間働

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大切な人を失うこと(2) 突然の別れ②

大切な人を失うこと(2) 突然の別れ②

彼女の遺体は警察署に送られ、そこで検視が行われた。もっとも、死因は明らかな睡眠導入剤の過剰摂取によるものと結論付けられたため、司法解剖は行われなかった。

警察署にて、初めて彼女の両親や親戚とお会いすることとなった。
プライベートな事柄であり、複雑な事情も絡んでいるので詳細は割愛するが、彼女は1年半ほど前に、半ば追い出されるような形でスーツケース一つで実家を出た後、なんとか職を探して一人で生計を立

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大切な人を失うこと(1) 突然の別れ①

大切な人を失うこと(1) 突然の別れ①

2023年5月3日、最愛の婚約者が息を引き取った。彼女が26歳と3ヶ月を迎えた日だった。

その日の早朝、私が目を覚ました時にすぐさま異変を感じた。部屋の中が異様に静かで、隣に寝ている彼女は息をしていない。彼女の目は半開きで、声をかけても何も応答はなく、心なしか体も冷たくなっている。私は急いで救急車を呼び、救急隊の到着を待った。
救急隊が到着するまでの間、心臓マッサージを施すことを促された。私は言

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