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大切な人を失うこと(4) 彼女との出会い②

待ちに待った、彼女と初めてのデートの日がやってきた。

彼女は大学の通信教育課程に在籍しており、私も彼女と同じ大学の卒業生だった。彼女は、スクーリングでキャンパスに通ったことはあるものの、私が通っていたキャンパスにはまだ行ったことがなかったそうだ。
そこで、お食事がてら、私が通っていたキャンパスを案内してみようと思い、初デート先にその場所を提案した。

彼女とはキャンパスの最寄駅で待ち合わせた。
待ち合わせ場所で、彼女を見つけた時の私の第一声は、「もしもし」だった。電話口でもないのに何を言ってるのだろうか。
そんなテンパった私を特に気に留める様子もなく、彼女は「初めまして、いずみと申します。」と笑顔で挨拶をしてくれた。

そのまま歩いてキャンパス内のレストランに移動し、一緒にランチタイムを過ごした。
その時はお互い緊張していたため、具体的に何をどれぐらい話したかまでは覚えていないが、法律や趣味の話に加えて、理想の家庭像など、将来的なことも話題に挙がった記憶がある。緊張はしていたものの、話題に事欠くことはなく、事前のメッセージでのやりとりの時のように、自然に会話が弾んでいた。
この時の彼女の服装や所作、言葉遣いなど、目で見て耳で聴ける彼女の全てが上品で、私には勿体無いぐらい素敵な女性だなと感じていた。

ともあれ、楽しく和やかなランチタイムはあっという間に過ぎた。
「そろそろランチタイムは閉店の時間です」と店員さんに言われ、私たちはひとまずお店を出ることにした。
お店を出る前に、彼女にコートを着させてあげたのだが、その時のはにかんだ彼女の横顔がとても可愛くて、今でも鮮明に覚えている。

それから私たちは少しキャンパスを散策したが、ますます彼女に惹かれていた私は、思い切って、12月24日に次回のデートを誘ってみた。
すると彼女は「はい、空いてます!」と快く返事をしてくれた。

気になる彼女とのクリスマスデートが決まった私は、駅で彼女と別れたのちに嬉々として帰路に着いた。

続く

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