映画「タクシードライバー」とひろゆきと若さと

先日、映画「タクシードライバー」を初めて観ました。
誰もが名前を聞いたことある名作だと思います。
僕も名前だけは何度も聞いたことあったのですが、何故か気が進まずに観ていませんでした。

映画「ジョーカー」に多くの影響を与えている作品ということも知っていたので、予想はしていましたが、案の定ヘビーな内容でしたね笑

ベトナム戦争の傷や人種差別など当時のアメリカの淀んだ空気が伝わってくる作品でした。

今回は僕が「タクシードライバー」を見て印象的だった部分について少し書きたいと思います。

主人公のトラビスは不眠症の退役軍人で、その時間を利用して夜勤でタクシードライバーとして働いています。

彼は社会に対して言語化できない不満を抱えており、収入も少なく、決して幸せだとは言えない生活を送っています。

そんなトラビスはある時から反社会的な思想を抱いていき、ついには次期大統領候補の暗殺を企てるまでになっていきます。

僕はあるシーンがトラビスをこの反社会的な思想に向かわせる決定打になったと感じました。

それはトラビスが先輩ドライバーに相談を持ちかけるシーンです。

トラビスは漫然とタクシードライバーとして働いている自分に満足しておらず、何かしてみたいと思っている。アイデアはあるのだが、うまく形にできない。そもそも何に悩んでいるのかすらハッキリわからない。といったニュアンスのことを口籠もりながら話します。

そこでその先輩は「運転手の俺たちに何ができる?」「考えすぎるな」「女を抱け」等と諦念的なアドバイスをします。

そこでトラビスは「そんな馬鹿げた話は初めてだ」と笑います。

しかし心は笑っていなかったでしょう。
なぜならこの少し後のシーンでトラビスは四丁の銃を購入し、そこから反社会行為へと向かっていくからです。

この相談のシーン。
トラビスにとってこのシーンはどんな意味を持っているのでしょう。

このシーンは「諦めた人との対面」です。
トラビスはタクシードライバーをしながらも、そこにいてはダメだと感じ、どこか違う場所へ行きたいと夢見る気持ちを持っていたのだと思います。

しかし、アドバイスをした先輩は「運転手に何ができる?」と諦めていたのでした。
そしてトラビスにもその諦めを推奨(半ば強要)してきたのでした。

正体のわからない圧力に、かろうじて抵抗していたトラビスはその先輩の言葉を受けて「the damnest thing 」と苦笑いすると同時に、月並みな言葉ですが絶望したのでしょう。

この鬱屈した感情から逃れる唯一の方法は諦めなのだと知ってしまったんですね。

ここで少し前にメンタリストのDaiGoさんとひろゆきさんがコラボしていた時にひろゆきさんが言っていたことを思い出しました。

ひろゆきさん曰く日本の問題の一つは「見れる夢が無くなった」ということらしいです。
そして、例えではホリエモンさんが時間外取引で捕まって、若い人がどれだけ頑張っても権力には勝てないんだ、、、となってしまったのがいけないという風なことをいっていました。(彼曰く時間外取引なんてやってるところいっぱいあるらしい)

僕はホリエモンさんの件はよくわからないので言及しませんが、夢が無くなったのが問題という点は興味深いなと思いました。

つまり夢が見れている間は幸せということなのでしょうか?

たしかに結果はどうであれ、夢や目標に向かって行ってる最中は、毎日の充実度は高そうですね。

そういう文脈から考えると、「若いうちが華」などと言われるのも見れる夢の数や大きさが理由なのかもしれませんね。

逆に大人になることはできないことが増えることという言葉も聞いたことがあります。

タクシードライバーに話を戻すとトラビスも先輩の言葉によって夢を見られなくなったのかもしれませんね。
その結果反社会的思想に染められていくことになったのかも。

だから若いうちに大きな夢や目標を定めて、それに向かっていく過程でさまざまな挫折を経験し、その中で自分ができそうな目標や役割を見つけて全うしていく。
それが健康的で幸せな人生の過ごし方なのでしょうか?

そんなの何となくみんなわかってますよね〜。
わかっててもそんな上手くいかないし、そもそも正しさなんてあるのかどうか。

いつもあれこれ考えた挙句、わからないってことがわかるんですよね。

それでも考え続けて、自分にとって納得いくものを見つけていく。
それが人生なのかもしれません。

最後までまた読んで頂き、本当にありがとうございました。

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