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ノスタルジーに浸りながら桃の湯で飛ぶ

大阪市の旭区は長らくJRの駅が無く、自宅からはなかなか訪れる機会がなかったのですが、2019年におおさか東線が開通し、城北公園駅が開業したことにより、アクセスがしやすくなりました。

今までに訪れたことのない城北公園駅周辺は、自分にとってなかなかに新鮮で、淀川を見渡せる堤防や、青果店や衣料品店が現役で活躍する大正時代から続く大東商店街、そして城北公園内には風流な池があり、昼間はご老人のコーラス隊(?)の練習風景が見られる、まったりした良いところです。

特に、世の自粛モードが強く、なかなか遠出ができなかった数年前などは、わりと近場で普段とは違う気分になれる場所ということで、しょっちゅう散歩に来ておりました。

それをズルズルと引き摺るような感じで、今でも、どこにも行く予定のない休日や、思いがけずに半休になった日などは、とりあえず城北公園駅へ。

新大阪駅や大阪駅からも繋がっているので、仕事帰りでも気軽に行けるのが嬉しい。

さらには、この周辺には銭湯が4軒もありました。

残念ながら、そのうち2軒は廃業されてしまいましたが、城北公園駅から南に歩いて都島区の住宅地に入ったところでは、新旭温泉、そして桃の湯が営業されています。 

ベルファ都島というショッピングセンターの近くにあるこの桃の湯は、城北公園駅から20分ほど歩くので、もはや駅周辺の銭湯という括りに入れていいのかどうか微妙なところ。

ですが、自分は駅からまあまあ遠いベルファ都島まで歩き、そこに立ち寄ってから桃の湯に行く、というのがルーティン化しています。

1991年に開業したというこのベルファ都島、1991年に開業したのだから当たり前ですが、なんだか平成初期の雰囲気が漂っていて好きなのです。

もちろん、入っているテナントはダイソーとかエディオンなどの現代的なチェーン店ばかりだし、建物そのものも30年あまり使われているわりには綺麗だと思うのですが、ところどころに見え隠れする、洗練されきっていない感じが好き。

そこはかとないダサさ(超失礼)というか。平成ノスタルジーというか。ここは平成。ダイソーのレジが全部セルフだけど平成。

その平成ノスタルジーを覚えたまま、桃の湯へと直行する。

ガラス張りの1階の上部には「美肌の湯」「軟水の湯」「憩いの湯」とカラフルな文字で彩られ、穏やかな団地の風景の中で、この建物だけが異彩を放っている。

横に据え付けられた看板には、大阪ではおなじみの「好きやねん おふろ」の文字。この文字が書かれている銭湯は、大阪で有名なナニワ工務店の施工によるもの。外装がガラス張りなのもナニワ工務店の特徴。

3卓のテーブルが置かれたロビーがやたらオシャレ。大画面のテレビがある他、週刊少年ジャンプが置いてある。

月曜日でもちゃんと最新号が置いてある(こともある)。新連載時の『ウィッチウォッチ』はここで読んだ。あの頃は親にも黙ってこそこそ銭湯に行っていたなあ。アニメ化おめでとうございます。

さて、湯に浸かろうぞ。と、その前に、浴室のガラスには「ミネラル湯浴泉」の文字。そしてそのカクカクした文字体、実に昭和。

風呂椅子もありますが、縦1列の石造りの長椅子がなんとも渋い。是非ともこちらのカランで洗いたい。と思って、いつもこちらに座るのですが、カランによって水の出が良いところと悪いところがある。

銭湯では邪道のような気がするが、正直もうこれだったら全身シャワーで洗ったほうが早い。とはいえ、桶に溜めた湯を頭から被るのは銭湯の醍醐味のひとつ。結局、ちびりちびりと湯が溜まるのを待つ。

身体を洗ったらもちろん入浴となるのですが、ここでは自分は基本的に水風呂から入ります。小さいのでほとんど1人用ですが、キンキンに冷えていて実に効く。

そこからラドンスチームサウナに突入するのですが、このラドンスチームサウナがとてつもない。スチームサウナだと思って侮っていたら瞬殺される。

温度計がないので、正確な温度はわかりませんが、室内にアホみたいに蒸気が充満しており、常時オートロウリュウ状態。

平常時でそれなのに、たまにラドンフィーバータイムが訪れ、よく芸能人がテレビのバラエティ番組の罰ゲームでやられている、白煙が上から落ちてくるアレみたいな状況になる。

スチームサウナはかなり広く、MAXで10人くらい座れるのではなかろうか。砂時計がたくさん用意されているのが嬉しい。

30秒から10分まで幅広く用意されているが、この灼熱スチームを10分も耐えられる人はいるのか?何度もここに来ているが、現時点での自分の最高記録は、だいぶ頑張って6分である。

さて、再び水風呂ですが、灼熱を体感した後だと、これがもうコットン100%の肌触り。

使い込まれた天井から、天使が舞い降りてくる。天使に包まれながら、いちばん奥にあるラドン風呂へ。天使はゆっくりと天井へと戻っていき、美しい羽根を浴槽内に落としていく。

要するに、灼熱のラドンスチーム→キンキンの水風呂→なんかよくわからんが良い匂いのするラドン風呂の流れは最高だということだ。

これが楽しすぎて、いつも主浴槽は後回しになる。深風呂はがっつり熱めで、温冷交代浴もしやすい。

そして、だいたい空いているんだよなあ、ここ。

近くの新旭温泉は、繁盛店で人がひっきりなしに行き来しているのに対して、ここは自分以外ノーゲストという時もある。

先日も、ひとり貸しきりになって優雅に飛んでいたら、ガラッと扉が開いてお客さんが入ってきました。他にもお客さんが来て安心した反面、貸しきりタイムが終わって残念な気持ちもある。

はっきりいってサウナーには穴場だと思う。そんじょそこらのドライサウナより飛べる。ので、みんなベルファ都島の帰りに桃の湯に寄ろう。

途中でちょっと触れた新旭温泉と、残念ながら今夏に閉業された浪華温泉についてもいずれ。

サウナはたのしい。