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組み合わせの妙

世の中には、数多くのケミストリーが存在します。

テレビ番組のオーディションで運命的に出逢ったふたりがユニットを組んで大ブレイクしたのはケミストリーだし、メガネを顎の下に垂らす独特なファッションが若者の間でウケたのもケミストリーであり、というかそれはCHEMISTRYですね。

日本語に訳せば化学反応。複数のものが組み合わさった時、それは新たな発明となる。

最初は通話する機能しかなかった携帯電話も、写真を撮れる機能がついたことでカメラの役割も果たすようになり、インターネットに繋げるようになってからは小さなパソコンとしての用途も増え、さらにはそこにサブスクリプションサービスが追加されるようになって、音楽や映画を再生することもできるようになった。

車だって、当初は車輪が動いて移動ができればそれだけで良い、というものでした。  

1907年に警視庁が制定した速度は13km/h。時速13キロ。さらに、その少し前にはあのメルセデス・ベンツの第1号車が発表されていたのですが、このベンツ1号の最高時速が15キロ。

もはや、大阪のおばはんがチャリを漕ぐ方が早いのでは?と言いたくなる数値ですが、たくさん荷物が運べさえすれば、スピードは特に問われなかったのです。

それが時代を潜り抜け、黒猫のヤマトが宅配便事業を始め、ヤマトの飼い主で飛脚の末裔だった佐川さんも加わり、海外からやってきたアマゾンという偉い人の依頼を受け、大量の荷物を迅速に送ってくださるようになったのです。

引っ越しの時はペリカンさんに非常にお世話になりましたし、カンガルーさんのトラックもよく見かけます。

ただ荷物を乗せれば良かった車に付加価値が与えられ、さらには座席を倒して寝転べば泊まれるだとか、スマホを充電できるソケットが付いているだとか、危険を事前に察知してくれるだとか、様々な要素が追加されていきました。

いずれは空を飛ぶ機能も付くと思いますが、さすがにそれは技術的に難しいのか、未だに実現していません。

ただ、個人的には車は基本的には4つの車輪で動いてほしいなあという気持ちがあります。

もしモルカーにタイヤが付いていなかったら、いくらあいつらが可愛いとはいえ、物足りなく映ってしまうはず。

そういえば、モルモットと車というのもまた、絶妙なケミストリーですね。

世のヒット作品の多くはそうでして、猫型のロボット、アンパンっぽい妖精、頭脳は大人の子供探偵、スパイの家族のエスパー幼女など、まるで種類の異なる要素を組み合せることで名作が生まれることがあります。

これはたとえば食品なんかでもそうで、米に茶を漬ける、ラーメンに餃子、カレーに福神漬け、コーヒーにミルク、焼酎に炭酸水、酢豚にパイナップル、綾鷹にカフェラテ、どん兵衛にスライスチーズ……、いつかどこかで誰かが行った実験の成果によって、新しい味の楽しみ方ができるようになったのです。

ちなみに、どん兵衛にスライスチーズを発見したのは私です。これ本当に美味いので一度ためしてみてくれ。とろける方でもとろけない方でもイケるけど、とろける方を使ったほうがスープにチーズが染み込んで良い感じになります。

ただ、これは成功例ですが、失敗例もあります。

生茶を炭酸水にした生茶スパークリングは伝説的な不味さだったし、ペプシが一時期ふざけてあずき味とかしそ味を出していましたが、どれもこれもが迷走。

抹茶味のカップヌードルは個人的にはわりと好きで、永谷園のお茶漬け海苔をふりかけて食すのがなかなかに乙だったのですが、一瞬で市場から消えてしまいました。当時、ドン・キホーテの安売りワゴンに残っていたのを大量に買ったなあ。

と、ここで何かまた違う話を引っ張ってきて、綺麗にまとまった感じで終わらせたいのですが、良いケミストリーを起こせるようなネタが思いつきません。

ぼんやりと外に出て、先日に発売されたカップヌードルの合体シリーズをスーパーで買ってきて食しましたが、特に脳内でなんの反応も起きません。

チーズカレー味噌ヌードルは意外とそんなにぶっ飛んだ味ではなく、シーフードヌードルとカップヌードルを融合させたやつも常識的な味でした。もっとパンチが必要なのかもしれない。

いっそもう、ラ王ヌードルとかどうだろう。ところでラ王の昔のCMは椎名桔平さんがスキーでジャンプした後に全裸になるというもので、今ではあんなの放送できな……、ああまた話が逸れていく。調合スキルがほしい。


サウナはたのしい。