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アイスがすべてを狂わせる

実家の母から荷物が届いた。
中には冷凍の肉やら魚やら。
そして、子どもたちにとアイスが三箱。

普段なかなかアイスなんて買ってやらないものだから、それはもう喜んで。子どもたち。
アイスのことで頭がいっぱい。
朝起きて
「アイス食べていい?(そわそわ)」
「ごはんを食べて、おきがえをして、おにもつのご用意ができたらね」
「はぁーーい」
よしよし。

朝ごはんは、母から届いた冷凍のシャケをゴマと青のりと一緒に混ぜ込んでシャケご飯にした。
あとは大根と人参のお味噌汁、ゆでブロッコリー。
もたつきがちな朝に食べやすさまで気を配ったバランスのとれた素晴らしい朝食。

を、そこそこに残して、勝手にアイスを食べてるうつけ者がふたり。
しかも、テレビの前。
園バッグに入れるはずの箸もその辺に転がったまま。
コラァと腹から声をひり出したら、ふり返った娘は靴下を履いていないし、息子に関しては制服のボタンをひとつとしてとめていない。
はだけた胸でアイスを食べていた。

んもうんもう!!!

お約束が違うことを延々お説教する。
なんて爽やかな朝。

そして、夜。
「お風呂に入って夜ごはんも食べたらアイス食べるんだぁ」
と息子。
はいはい、と承諾したのだけれど、園でのプール遊びに疲れたらしい息子は夕飯を食べながら寝てしまう。
時刻は19時。
そんな日もあるよね、とお布団に寝かせて朝がくるはずだった。

22時、私も明日は早いのだった寝なくてはとお布団に滑り込んだ、その時だった。
地の底から這い出でるような声で

「寝たくなかったぁあぁぁああああああ」

息子であるよ。

「アイス食べたかったああぁぁぁああああ」

おおう。
アイスへの執念すばらしすぎるよ。

「みんなと食べたかったあぁぁぁああああ」

うん。ひとりよりみんなで、ね、食べたかったよね。

「みんな起こしてよおおぉぉぉぉおおおおおお」

ま!じ!で!
スーパー無理。

こんな時は寄り添うに限る。
相手は寝ぼけているのだも、ど叱っても時間と労力の無駄だ。
うんうん、食べたいね。食べようか?

「うん...ぐすんぐすん」

すやぁ、寝る息子。
のはずが、覚醒。
本気でアイスを食べる気でいる。
後には引けない上に私もすこぶる眠いから、アイスを食べさせるより選択肢が思いつかない。
アイスを食べさせる決意をするのだけど、息子の絶叫にびびって起きた末っ子が全ての絶望を背負った勢いで泣いているのだよね。
同じ布団の上で。

末っ子をなんとか落ち着かせて、寝た?寝た?寝たよねって、その隙に息子にアイスをパス。
今後一切、夜中にアイスは食べないよ、ってごく当たり前のことを説いてせわしなくアイスを食べさせて、せわしなく歯磨き、をしていたらやっぱり起きる末っ子。
そして、凛とした佇まいで抱っこをせがみ、トイレを指さす。
末っ子、たびたび夜中に起きてトイレの手洗いで手を洗いたがるのだ。
しかも永遠かと思う長さで洗い続ける。
いったいなんの儀式。
儀式が終わるまで私は中腰で娘を抱き続ける。
ときおり、洗面器のステンレス製の中栓に映る自分の顔を見て嬉しそうに笑う末っ子。とても癒し。だけど寝るべき。

なんとか長すぎる儀式を終えて、いつの間にか眠った息子の隣に末っ子を寝かせる。
ああ、やっと終わった。
と思った私の頭によぎるのはどうしたってアイスを処分(腹の中へ)することだったりしちゃうよね。


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