「葬送のカーネーション」
先月に観た「葬送のカーネーション」
トルコの映画です
難民としてトルコに住んでいたおじいさんと
孫である少女のお話
亡くなったおばあさんの遺体を祖国に埋葬するため、棺桶を引きずりながら旅をするのですが
あまりにも過酷なんです
真冬の荒涼とした風景のなか
雨風をしのげるものはほとんどありません
荷物も装備も食料もこころもとない
人も車もめったと通らない
無謀です…おじいちゃん
と思うのですが、
親切な人たちに時折助けられながらなんとか進みます…
そうはいっても風も狼も入ってきそうな洞穴で、死んでしまうのでは…という夜を過ごすことも
孫の少女は身寄りがいないため、おじいちゃんに付いていくしかありません
ふたりとも死んじゃうよ〜と思いながら見つめること数十分…
おどろきのラストでした
どうしてそんな無謀な旅をするのか
そこにはおじいちゃんの祖国への想いがあります
イスラム教には祖国に亡骸を埋葬するという掟があるようで、おばあさんとの約束でもあるようなのですが…もはや執念…
孫の女の子があまりにもかわいそうだし、おじいちゃん、孫を見てくれよ!という感想が第一にきてしまったのですが
おじいさんの想いもとても切実なんですよね
祖国に帰りたいんです
そうはいっても、女の子はこれからどうなってしまうのだ…
とにかくふたりに温泉に入ってもらえたら…
からだをあたためて…
そう祈りたくなるような
映画の原題は「クローブをひとつまみ」
海外タイトルは「クローブ&カーネーション」
ところどころにクローブが登場するのです
虫歯の鎮痛のために
死体の臭い消しのために
クローブとカーネーションは、同じ植物なのだそうです
この映画はイスラム教の精神がベースに描かれているので、日本人にはどういうこと?となるシーンも多いかもしれないのですが、
パンフレットを読むと、なるほど…と思ったり
イスラム教では人形崇拝が禁じられているというのも、初めて知りました
だからかわりにお花を祈りの対象にするのだとか
カーネーションはそんな意味もあるようです
演出がすばらしく映像もうつくしい
ほぼセリフがない主人公ふたり
とても静かな映画ですが、内にうごめくもの秘めたるものはすさまじい
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