見出し画像

<勝手に解説>中小企業の皆さんのためのコロナ経済対策の解説


<要点>
コロナのせいで経営に打撃を受けている小規模事業者の方向けに、制度の解説をします。

経済対策は組み合わせて使って効果がでます。個別の施策の批判をしても何も変わりません。
今は「批判するよりもあるものでどうにかする!」という気持ちで当面をしのぐことが重要

ここでは何から手をつけていいのか、どういう条件なのか、どう使うのかをまとめています。

基本は、「公的な補助で現金を確保して、支出を減らすことで当面をしのぐ」です。売上の回復は難しい状況なので後回しです。


私達の社会の99.7%の企業は中小企業です。そのうちの少なくない企業がこのコロナウイルスのせいで大打撃を受けています。私も行政コンサルタントとして、小さな会社の経営をしており、地方自治体の仕事をさせていただいております。行政の情報をわかり易く届けることで、少しでも貢献できればと思い、この記事を書きました。

今、国も様々な経済政策を出していますので、うまく使えば当面は生き延びることができます。しかし、様々な情報があり、何をつかってよいのか、どうつかってよいのかわかりにくい状況です。
この記事は、小さなお店を守っている店主の皆さん、家族や知り合いの小さな範囲で経営をして、地元の社会を守ってきた皆さんに読んでいただけたらありがたいと思って書いています。

また、一部のメディアでは一部の政策だけ抜き出してあたかも国の経済対策は役に立たないかのような批判をしていますが、今回の経済対策群には一つの施策だけで経済問題すべてを解決できるものは一つもなく、いろいろな制度を組み合わせて、まず目の前の危機を乗り越えるために作られています。
非常事態下の対策なので個々の政策の中には使い勝手が悪いものもあるかもしれませんが、それを批判しても何も変わりません。ここでは「批判するよりもあるものでどうにかする!」という考え方で様々な制度を組み合わせて何をすべきか解説していきます。

このページでは、できる限りわかりやすく、どんなアクションをしたらとりあえず当面をしのげるかを解説していきます。
ここでの説明は、一般的な制度説明は省いて、今2020年のコロナ対策で使える点にのみ絞って解説します。わかりやすさを優先しているので、言葉足らずのところもありますがご容赦ください。


 優先順位づけをしよう

やることがたくさんありすぎて何から手を付けてよいのかわからない方も多いと思います。
ここでは、まず「会社が潰れないようにする」を最優先の目標におきます。まずは、潰れないようにするところから手をつけないと従業員の生活も昔からの伝統の技術も守ることはできません。潰れない状況ができてから、他の課題にようやく手をつけられるようになります。


そうは言っても、保障がなければお店を閉められない

メディアなどでは「保障がなければお店も閉められない」などの批判もありますが、今回の経済対策は、「自粛した人にのみの補填」ではなく、「影響が大きいすべての人に支援」という考え方をしています。仕事がなくなった分の保障ではなく、収入が減ったことの保障です。

例えば、原発事故の際は、問題を起こした国と東電に迷惑をかけられた被害者が保障を受けるという形でした。しかし、その被害者からお仕事をもらっていた人は、売上が減ったとしても保障をうけることはできません。今回は、あまりにも影響を受ける人が多いですし、誰が悪いというものでもないため、自分でどうにかすることができないすべての人を対象に支援策を取るのです。

 公的な補助で現金を確保して、支出を減らすことで当面をしのぐ

自粛の影響などで売上を増やすことができない業種もたくさんあります。そのために、国が公的な支援策を設けています。
ここでは売上を回復させるのではなく、公的な補助で現金を確保して、支出を減らすことで当面をしのぐという方針で考えていきます。売上の回復は、後で考えましょう。これが終われば日本中、世界中が楽しことを我慢した分、きっと需要が爆発するはずです。

もう一度いいます。

公的支援で現金を確保して、支出を減らせばとりあえず当面をしのげます。


資金繰りで使える制度

――――
 ■支出を減らす

まずは今出ている支出を減らして、この状況に耐えられる体制をつくりましょう。

<人件費:従業員のお給料>
→1人1日当たり 8,330円まで保証されます。解雇しない会社の方が好条件になります。

厚労省の説明ページ(雇用調整助成金)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
※わかりにくすぎるので、後から解説します。


<税金・社会保険料支払いの猶予>
→税金、社会保険料の支払いは延期できます。延滞金はありません。
→そのお金で他の赤字を補填してください。

日本年金機構 納付の猶予
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/sonota/20120330-02.html

国税庁 納税の猶予
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
※わかりにくすぎるので、後から解説します。

<他の企業との取引>
政府から業界団体を通じて元請け各社に、影響を受けている企業に配慮するように要請が出ています。個別の条件は各社によるところですが、支払いの猶予なども交渉してみてください。もしかしたら猶予してもらえるかもしれません。

――――
■現金を増やす

今は売上を作り現金収入を作ることが難しい状況です。公的支援を活用して、耐えしのぐのに必要な現金を作ってください。

また、政府系の金融機関は大変混雑しており、審査に時間がかかります。時間がない企業は、まず支出を減らした上で、当面どこか借りられるところで借りて、条件が良い公的支援での貸付・給付が始まったら借り換えることも検討してください。ただし、どんな場合でも闇金からお金を借りるのだけは絶対にやめましょう

<国から借りる(コロナ特別貸付)>
政府100%出資の政策金融機関「日本政策金融公庫」から借りることができます。
コロナで経営が厳しい中小企業は3億円まで借りられます。
うち、1億円までは3年間は無利子で借りられ、5年間元本の返済はせずにすみます。

<対象となる条件>
最近1ヵ月の売上高が前年または一昨年の同じ月に比べて5%以上低下している企業(創業3ヶ月以上の企業飲みが対象です)

■計算式
① 最近1ヶ月の売上合計
② 昨年または、一昨年の同じ月の売上合計
③ 減少率 (②―①)÷② ×100・・5(%)より大きい場合が対象

個別の手続きは下記のリンクでわかりやすく整理されているので、リンク先をご覧ください。
現在、窓口が大変込み合っているので、郵送での方法がおすすめされています。
https://www.npc.bz/yuushi/20200401

日本政策金融公庫の店舗検索:https://www.jfc.go.jp/n/branch/index.html

<民間の金融機関で借りる セーフティネット保証>
民間の金融機関でお金を借りるときには、通常担保などが必要になります。この制度を使うと、万が一返済ができなくなったときは、代わりに信用保証協会という公的機関が保証をしてくれる約束をするので、金融機関もお金を貸してくれやすくなります。
利用するためには、自治体の認定を取得して、民間の金融機関で融資を受けます。

<追記>
ご指摘をいただきましたので、追記します。
制度では無利子無担保になっていても、現場の運用では金融機関の課長レベルでの判断があり、場合によっては1~2年後にやはり大口の定期預金をしてほしいと後から言われるケースもなきにしもあらずということです。緊急の借り入れをするときには色々と比べることは難しいと思いますが、追々複数の金融機関に相談できるようにしておくことが望ましいです。


セーフティーネット●号という書き方がされていて、何号を使えばいいか混乱しますが、今回は4号と5号が対象になります。それぞれ、対象となる業種と条件が違います。

画像1

※5号の対象業種にあてはまりるかどうかは、ここから確認してください
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-3.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-2.pdf

■計算式
① 最近3ヶ月の売上合計
② 昨年度の同じ月の売上合計
③ 減少率 (②―①)÷② ×100
■利用までの流れ
会社のある区市町村の流れの確認(申請が予約制の場合もあるため)

取引先の金融機関に相談

会社のある区市町村から証明書の取得

金融機関から融資を受ける


■まずやることの手順

1:自分の自治体のホームページを確認。セーフティーネット保証を探す。
窓口と電話は大変混み合っているので、できる限り自分でインターネットで探す。
<検索の仕方>
グーグルで「〇〇市 セーフティーネット保証」などを検索してみる。
もしくは、市役所・町村役場のサイトの中で「セーフティーネット保証」を検索してみる。

2:申請の手順を確認。自治体によっては予約制になっている場合もある。予約制の場合は先に予約をしておく。

3:取引先の金融機関に相談

4:自治体に申請に行く
様式がダウンロードできることもあるので、できるだけだけ記入して持っていく。
自治体によっては、持参する資料がサイトに載っていないこともあります。一般的に下記の書類は取り揃えた上で申請に行きましょう。


<持参する資料 渋谷区の場合>

画像2


<5号の場合どの様式を使うかの判断>

5号(業種が指定されている)の場合、単一事業のみやっているのか、複数の事業を持っているかで申請書が違います。
自治体ごとに様式が異なりますが、大体下記のパターンになっていることが多いようです。

画像3

※5号の対象業種にあてはまりるかどうかは、ここから確認してください
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-3.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-2.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?