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殴り書き ー 姿無きセルフ飯テロ
ふと思い立って、パソコンを立ち上げた。
起き抜けや移動中……ありとあらゆる隙間時間に気がつけばポチポチといじっているスマホ。機械化して便利になったバイト先のレジの液晶。テレビにゲーム機に、果ては調べ物をしに何となく画面を眺めるパソコン。
一日中酷使された目が限界に達したので、もう寝るつもりでそのパソコンを閉じたはずだったのに、だ。
専門学生時代から使っているHDDを差し、学校で使った小説の
とある世界の昼下がり
「この後は、斬新な教育論でおなじみの、能力者に特化したあの学園の校長がゲストです!」
そう言ってCMが流れ出したテレビなどには目もやらず、私は昼食の蕎麦を啜った。
私は、一介のサラリーマンだ。独身貴族の私に、教育論は必要ない。
汁を吸ってふにゃふにゃになったエビ天にかじりついていると、こんな時間から酔っ払った男が、臭い息を吐き出しながら話掛けてきた。
「あのテレビでやってる校長、神田っつった
冬至?何それ美味しいの?
「はぁ……無理だ……」
冬至について何か書け、と言われたが、別に思い入れも特別な感情もない僕は、無理難題に近い課題にほとほと困り果てていた。
僕は文字書きとして専門学校に通っていて、勢いに乗りさえすればショートショートくらいは一日で書ける程度には力があるつもりだ。
だが、今日は……というか、今回のお題は本当に無理だ。
ずっと放置していたが、流石に今日が期限だしなぁ……。
冬至と言えば何だろ
お休み、エンプティー
ここは……何処だろう。
視界だけでは瞬きしたことなんて分からないほど暗く、何だか身体がふわふわ浮遊している感覚がある。
……あれ。自分は、誰だっけ?さっきまで、何をしていたんだっけ?
何となく覚えている気がするのに、もう喉まで答えが来ているのに、磨りガラスの向こうの様にぼんやりとしていて見えない。
「いっそ、全部忘れちまえよ」
ふと、声の方を振り返る。
目の下に濃い隈を浮かべた疲れた様子
フラれた君と深夜の甘味
隼人の元に、友人である深白から突然メールが届いた。何でも、彼氏に振られたらしい。
「だからって俺の所に来るか? 普通」
隼人が呆れ顔でやかんを火にかけると、深白は鼻を啜って口をへの字にする。
「だって夜中起きてそうなの、アンタだけだったもん」
時刻は深夜3時近く。人にもよるが普通は眠っているし、そうでなくとも連絡を控える時間だ。
それでも、一人では悶々としてしまうから押しかけてきたのだそう。