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病院での目標の設定方法

病院やリハビリテーション科で使える目標設定の具体的方法について考えていきたいと思います。目標を設定するためには、いきなり個人の目標を立てたり、部署の目標をたてることもあるかと思いますが、その方法は実はあまり適している方法ではありません。それぞれの部門が独自の目標を立てた場合は、それぞれの事情のみを反映した目標が立てられやすく、それらの目標を病院単位で統合した場合バラバラの方向性になってしまいます。つまり、下の図のように、部門(チーム)目標や個人目標に到達するまでには、いくつもの過程を通って落とし込んでいく必要があります。

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経営理念から考える


経営理念とは、会社や組織は何のために存在するのか、経営をどういう目的で、どのような形で行うことが出来るのかを明文化したものです。
例えば、有名な虎の門病院のホームページを見てみると、理念が公開されています。
「医学への精進と貢献、病者への献身と奉仕を旨とし、その時代時代になしうる最良の医療を提供すること」と明記されています。
このようにお勤めの病院のホームページ等に理念は明記されているとおもいますので、いきなり目標を立てる前に一度確認してみることをおすすめします。


基本方針を理解する

基本方針とは、理念を実現する手段に対する基本的な考え方で、理念同様にホームページに掲載されていることが多いです。
内容としては、以下の内容が含まれています。
・環境
・経営資源
・Process(戦略・戦術)
・サービスの基本的考え方
先ほど紹介した病院のホームページには、基本方針も明記されていましたので、抜粋してみました。

・医学的根拠に基づいた有効な医療を適切な時期に提供します
・十分な医療情報提供を行い患者さんの権利を尊重します
・医療の安全性を高めるための努力を組織的・系統的に行います
・いかなる人にも公正に診療機会を提供します
・医療資源の有効活用をはかり、明るく健全な病院運営を行います
・本院は国際化に対応した急性期病院、分院は主に専門性の高い治療センターとしての役割を担いながら連携し高度な先進医療を行い、職域・地域の要請に応えます
・医学研究・高度先進医療などを通じて医学の発展に貢献します
・目の前の一人一人の患者さんから学ぶことを基本に、教育病院として次代を担う医師・看護師など有能な人材育成をめざします

以上の項目に病院をあげて取り組むと共に、患者さんと医療者のよりよいパートナーシップを築き上げます
先ほどの理念に対して、だいぶわかりやすく明確になっているのがわかるかと思います。しかし、これだけでは、どう動いていいのかまだまだ明確にはなっていません。


ビジョンを描く

ビジョンとは、企業や個人の目指す姿、イメージをわかりやすく言葉で示したものです。
将来のある時点でどのような発展を遂げていたいか、成長していたいかなどの構想や未来像のことです。よくプロジェクトを進める時や、将来の話をするときにも、このビジョンという言葉をよく使うかと思います。ビジョンを描くことは、結構難しいです。苦手としている方も多いと思いますが、目標のベクトルを合わせていくためにも、リーダーや管理職はこういったビジョンを持つ必要があります。


価値観を合わせていく


目標を立てていく際に、大きな方針転換を迫られた場合を除き、価値観の共有が重要になってきます。特に「組織の価値観」について理解しておく必要があります。保守的な思想なのか、改革を多くするような思想なのか、地域貢献を積極的に行う組織なのか、売り上げ最優先の組織なのか・・・。
例として下記のような価値観が病院などではあるかと思います。

「組織の価値観」
・点数の高い事業を優先的に行おう。
・赤字が出ても、地域の人のためになる仕事をしよう。
「個人の価値観」
・やりたいことだけ突き詰めたい
・まんべんなくこなせるひとになりたい

こういった価値観を理解し、目標を設定していく必要があります。実際にこの部分を無視して、部門ごとや個人ごとに目標を決めてしまっている場合が見受けられます。そのような場合は、頑張りが評価されないことや、逆にマイナスの評価になってしまうこともあります。

目標を決める前に大事なこと

目標を決めていく過程で、「理念」「基本方針」「ビジョン」「価値観」これらのことについて再度見直しをしてから具体的な目標設定に入っていくことが重要となります。先輩や役職者、経営者の思いに触れてみるいい機会かもしれません。

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