へそまがりがへそまがり日本美術展に行ってみた。
お久しぶりです。
先日、へそまがりな私とへそまがりなお友達とで行ってまいりました。
「へそまがり日本美術 展」
へそまがり?はたしてどんなアングラな絵が出てくるのだろう!私は血みどろ芳年や、丸尾末広なんかも想像しちゃいました。
が、中に入ってみると…
ゆるゆるのかわいいワンちゃん、ニワトリ、動物たち。
普通に腹抱えて笑うくらいシュールな空間でした。
そう。
今でこそ表現技法として定着してる「ヘタウマ」「ゆるかわ」ですが、江戸時代の浮世絵という観点から見れば当時はかなりアヴァンギャルドな存在だったのです…。
当時そんなゆるーい絵を、主にかいてたのは禅僧あるいは禅に傾倒した画家だったようですね。力ぬいて、らくーに行こうよ。自然体が一番だよ。ってスタンスがそのまんま、そのまんま絵に表れてます。 かわいい。癒される。そして、深い。
以前、都美で開催されていた「奇想の系譜」と共通する作品も多々ありました。
そんなこんなで展示室を進んでいくと…
出会っちゃった。
誰だよ おまえ
蛾のように長い触手、見ていると吸い込まれそうな黒く大きな瞳、ニコニコ笑うその口元のほうれい線、恐ろしい鋭い爪…
これは妖怪か?
権力者の元に訪れて国の厄災を予言する存在かな
なんとこちらの絵の作者は
かの三代将軍・徳川家光。
大変失礼いたしました。
わあ!!なんてかわいらしい!!
うさぎさん!!!!!!!
ちなみにこのうさぎさん、大きな掛け軸にも関わらず上下左右に余白を残しに残しまくり
センターに慎ましく鎮座しておられます。
徳川家光さん、かなりお仕事できたといいますしね。すごい人にわかりやすい欠点があると親しみやすいですよね。素敵素敵。
ちなみにキャプションが情け容赦なくて面白かったです。
「いくら時の将軍さまの作品とはいえ、貰った方は悩ましい。」と全力でdisっておられましたよ。
ちなみに家光さんの画伯DNAはしっかりと家綱さんにも引き継がれておりました。画伯っぷりに拍車がかかっておられました。
さて、さらに展示室を進んでいくと…
文学女子である私と友達が目当てとしていた例の絵がありました。
夏目漱石先生、なにしてんすか。
いやいやシュールすぎるでしょ。うまいはうまいけど、立体感とか緻密さとか、まるでない。小・中学生の写生大会のような…。
キャプションでも「まるで素人が描いたとしか思えない」「見る方も悩ましい」みたいな痛烈なdisり。
まあ、絵に関しては素人ですからね。小説は素晴らしいですからね、餅は餅屋ですね…。でもそんな完璧じゃない漱石先生に爆笑しつつ癒されるのでした。
みなさん薄々お気づきでしょう。
この展示、初めはヘタウマからスタートしますが、中盤ふと気づくと ふつうにヘタ疑惑のある絵にうつっていきます。
個人的にはこのゾーンが一番面白い。
美術館だから静かにしなきゃ!と思いつつも腹抱えて涙目になるようなシュールな作品の嵐。
ちなみに後半は、苦い絵、怖い絵、などのテーマで幽霊画なども登場します。番町皿屋敷のお菊さん、鬼気迫っててなかなか怖かった。
そして当初予想していた通り、ガロ系の漫画の展示もしてありました。蛭子さんの漫画もチラ見できましたよ!
そんなこんなで展示を一巡した我々、とあることにきづいてしまいました。
キャプション、
ぱっと見で下手な絵には「どう見ても下手!だけど実は奥深い味わいがある!見る人が見れば…」と、disりつつ最終的にしっかりワッショイ。
逆に
ぱっと見で上手な絵には「うまいよね!さすが狩野派!でも待って?よく見てみ?バランスおかしくない??」と言うような感じで
上げて落とす。
そう。真のへそまがりは…
展示の製作者だったのです!!!
でもそんなへそまがりを極めた解説文も含めて最高に楽しかった。日本美術大好きで諸々通ってますが、こんなに笑える美術展ははじめてでした。ありがとうございました。最高最強のへそまがりさん。
展示の最後には、スタンプぽん!でオリジナルのブックマーカーを作ることができました。
私の落書きじゃないです、れっきとした作品ですよこれ。正面から見た鶴です。忘れられない思い出になりそう。いろんな意味で。
この展示自体は5/12までですが…。
本当に面白いテーマだとおもったので、またどこかで開催してほしいです。
とにかくインパクト大で普通に面白いので、美術興味ないよ〜美術館こわいよ〜なんて人も誘いやすいですよ。 そしてそれを機に、浮世絵沼に引きずり込むのもよし、です。
へそまがりな心をもつあなたも持たないあなたも、ぜひに。
それでは。
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