トラウマと受け継がれる遺伝子
年末年始は少しだけ長くドイツに滞在して、何人かの友達に会ったのだけど、それぞれの話がとても興味深かったので、メモをしておきたい。
一人は今フランスで心理士をしている友達。彼女は今、「後成遺伝学(エピジェネティクス)」に興味を持っている、と話していた。
遺伝子をめぐってはかつて、受精時において既にプログラムが完了しているものと考えられていたが、現在では、環境要因や個人の人生経験によって活性化・非活性化される遺伝子も一部に存在することが知られてる。そして、「エピジェネティクス」として知られるその変化は、次世代にも遺伝する。(AFP BB Newsより:https://www.afpbb.com/articles/-/3191912)
現在、トラウマが次の世代に伝えられるか、という研究が盛んにおこなわれていて、ドイツでは、第二次世界大戦時のホロコーストを生き延びた人たちを対象に行われた研究によって、大量虐殺を経験した親から生まれた子どもは後天的にPTSDの影響を受けることが明らかになっている。(論文:https://www.biologicalpsychiatryjournal.com/article/S0006-3223(15)00652-6/abstract )
友達曰く、「特に大きなトラウマを経験したことが全くない人の中にも、重篤なうつ病になる人もいる。これまで『トラウマティックな出来事が起こっていないのに何故うつ病になったのか』と大きな疑問があった。その答えの一つとして、親のトラウマによって活性化された遺伝子が引き継がれている可能性がある」と言っていた。
ただ、その遺伝子は変化の可能性を秘めているのであれば、親のトラウマを遺伝子レベルで引き継いだ子が、自分の代で、その遺伝子を非活性化することもできるのではないか。環境や経験によって変わるのであれば、自分がどう生きるかによって、親のトラウマの世代間連鎖を止めることができるかもしれない。
カウンセリングが活性化された遺伝子を、非活性かさせる可能性はどれくらいあるのだろうか。もし可能性があるのでは、方法は? 友人曰く、そのためのカウンセリングの手法がヨーロッパでは編み出されつつあるらしい。今回はその話はあまり聞けなかったけど、今、知りたいことの一つ。(おそらく、続く。)
こうやって、知りたいことリストは永遠に続く…(そしてテーマは拡散していく)
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