ラブソングができるまで(2007)
ヒュー・グラントの“微妙”な歌とダンスが楽しめる
明るく、前向きなロマンティックコメディ
ヒュー・グラントとドリュー・バリモアが初共演したロマンティッコメディです。
とろけるような笑顔が魅力的なヒュー・グラントは1990年代~2000年代にかけて、“ロマコメの帝王”として女性から絶大な人気を誇っていました。
本作の日本公開時に、ヒュー・グラントはプロモーションで来日し、舞台挨拶を行いましたが、約2000人が詰めかけた会場の9割は女性客。ヒューが登場したときの大声援、その後もヒューの一挙一動に歓声が沸きおこるなど、大盛り上がりの舞台挨拶は、46歳になっても衰えを知らないヒューの人気を見せ付けました。
まさにタイトルどおり、ラブソングができるまでを描いた物語です。
映画の見どころは、何と言ってもアレックスを演じたヒュー・グラントが歌とピアノ、ダンスを初披露していること。先述の舞台挨拶の際、ヒューは「歌は音程をはずしてもコンピュータで修正できるので楽だった。ピアノは特訓すれば弾けるようになった。でも、ダンスは話が違う。体で感じるのが難しい。酔っ払ったら踊れるという程度だよ」と、ダンスの話になると渋い表情を見せていましたが、それもそのはず、ヒューが披露するのは、’80年代のポップスター風のダンス。さわやかさとセクシーさをアピールしたダンスは、’80年代の女性ファンをメロメロにしたものの、数十年経って見てみると、ちょっとサムいです(;^_^A。
冒頭で流れるアレックスが所属した人気バンド“pop”のミュージックビデオは超必見。ミュージックビデオのアレックスは26歳という設定で、若作りして演じるヒューの姿は爆笑ものです。ヒュー曰く、「トップクラスのヘアメイクアーティストに頼んだけれど、どうやっても26歳に見えなかった。悪い娼婦が厚化粧しているみたいだった(笑)」とのことでした。
今後、歌とダンスのある作品に出演するかと聞かれて、「歌はやるかもしれないが、ダンスは勘弁」と苦笑交じりに答えていましたが、「ダンスが見たい!」「踊って!」という観客の声援に応えて、ほんの一瞬だけ、怪しい腰ツキのダンスを披露してくれました。でも、本当に恥ずかしそうな様子。そんなヒューの名(迷)ダンスは劇中でたっぷり楽しめます。
ビジュアル系のポップスターが登場し、ノリの良いサウンドが流行した’80年代のミュージックシーンを茶化した痛快なコメディですが、愛を語る言葉がちりばめられたロマンティックなラブストーリーでもあります。
アレックスが人気回復のためにラブソングを作る一方で、ラブソングを作ることで失恋の痛手から立ち直ろうとするソフィー。初共演のドリュー・バリモアについて、「太陽のようで明るく、周りのものすべて愛していて、ポジティブな女性」とコメントしたヒュー。すぐさま「僕とは真逆だよ」と笑っていましたが、劇中のアレックスとソフィーも実に対照的で、2人のユーモラスな掛け合いも見どころです。
仕事や恋愛につまづいた二人の男女が、衝突を繰り返した末に作り上げた究極のラブソングとは……。
シニカルですが、とってもキュートな大人の遊び心にあふれた映画です。‘80年代の洋楽を知る人ならより楽しめるでしょう。