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Protopiaが作りたいオリジナルミュージカルとは

みなさま、大変ご無沙汰しております。ユッキーナです。
お元気でいらっしゃいますか?

最後にnoteを更新してから約2年が経ってしまいました…。
あれから、自主公演を1回、作品の版権を販売して別の会社が主催してくれた公演を1回と、さまざまな経験をしてきました。
怒りに震えたこと、悔しくて涙が溢れたこと、喜び噛み締めたこと、深く勉強になったことなど、本当にたくさんのことがありました。

このnoteを始めた頃は、業界のことを何も知らなくて、調べたことを無邪気に投稿できていたのですが、実際に足を踏み入れてみると、不用意には発言できないことが増えました。それで2年間新しい記事が投稿できなかったと言っても過言ではないです(笑)

当時、問題提起していた、役者に稽古中のギャラが支払われないこと、チケットノルマ、契約の曖昧さ、団体のプロモーションベタなどは今もなお業界に大きな課題として横たわっています。

私はこの課題に対して、ギャラの初期提示、チケットノルマの廃止、稽古中のギャラを協賛を募って分配、広告予算の増額など、自社の利益や労力を削りながら独自に対策をしてきました。そして、これからも実施していく予定ですが、これらの活動を継続する難しさも痛感しています。

そう痛感した理由はいくつもありますが、そのうちのひとつは、関わる人にできるだけ報酬を支払いたいと努力した結果、自社に資金がたまらず、次の公演を打つハードルが高くなってしまったことです。

役者やスタッフは次の公演が決まればまた、たとえ額が少なくても報酬が得られます。
しかし、制作者である私たちは一度の公演で得た利益を食い潰しながら、脚本と音楽を制作しなくてはなりませんでした。公演を打たないと利益は出ませんが、オリジナル作品の制作に私たちは少なくとも1年かかります。
つまり、収入を得られるスパンが違ったのです。

と、そんなことを反省しつつ、新たに公演を打つために何かできる方法がないかと考えあぐねた結果、独自でクラウドファンディングを実施することにいたしました!(展開が急ですみません…)

この3年間で知識は色々とついたけれど、やっぱり「0からのスタート」。ということで、「Oから始めるミュージカル」再開です!
今後、ミュージカル市場や業界課題についてもまたアップしていく予定です。

さて、実は、私はクラウドファンディングというものがあまり好きではありません。でも、もしかしたらこの方法によって光明が差すかもしれないと感じています。詳しくは「クラウドファンディングのわけ」をご参照ください。

前置きが長くなってしまいましたが、今回の記事では、クラウドファンディングの前に、改めて、私たちProtopiaがどんな作品づくりを目指しているのか、ということをお話しさせて頂きたく、投稿しました。

Protopiaが作りたいオリジナルミュージカルとは


株式会社Protopiaの代表を務めます、私、水島由季菜が、人生を変えるミュージカルに出会ったのは2011年のことでした。

特にミュージカルに興味はなく、ある意味、冷やかしで見に行ったのが、東京宝塚劇場での公演でした。安くて遠いB席での観劇。「まぁこんなものか」という感想。

ですが、幕間にあった座席抽選で、あろうことかこんな私に、「次回作品の最前列センターチケット」が当たってしまったのです。

次回作品はフランス版ロミオとジュリエット。当時は、古臭くつまらなそうな演目だと思いました。しかし、母がかつて宝塚ファンだったこともあり、親孝行も兼ねて転売せずに観劇に行くことにしました。

面白いわけがないと、たかをくくっていた私でしたが、現代風にアレンジされた脚本と演出、美しくも力強い役者たちに、気がつけばすっかり心が奪われていました。それは、目が覚めるような体験でした。

「面白い作品は、こんなに面白いんだ…!」

当時の素直な感想です。それからは、あさるようにミュージカル公演を観劇しました。面白い作品もあれば、面白くない作品もたくさんありました。

【面白い作品と、面白くない作品】

そして観劇のたびに、「なぜ、この作品は面白いのか」「なぜ、この作品は面白くないのか」ということを常に分析するようになりました。

自主公演の経験を経て、今は「面白くないと感じる」その理由が、細かく多岐にわたっていることがわかっています。ですがまず「面白くない」と感じる一般的な理由をここで挙げてみましょう。

①脚本が面白くない
②演出がつまらない
③役者の歌や演技が下手

皆さん、「まぁ、そうだろうな」と思われるでしょう。
一方で、演劇やミュージカル観劇に詳しい方は、この3つが独立したものではなく、相関関係にあることをご存知かもしれません。

驚いたことに、例えば、脚本が面白くても、演出や役者の実力によって、まったく面白くない作品に仕上がることがあります。あるいは、脚本がつまらなくても、演出や役者によって名公演となる舞台もあります。
この現象は大変不思議なものです。

制作者サイドとしては、この三者の底上げを図ることが、良い作品づくりに求められる重要なファクターとなります。
ところが何でもかんでも「素晴らしい脚本家」「素晴らしい演出家」「素晴らしい役者」を揃えれば「面白い作品」が生まれるわけではありません。

ここで重要なのが、演劇やミュージカルは,「Play(遊び)」であり、「Entertaiment(エンタメ)」であり、「Art(芸術)」であるということです。

【あなたにとっての、面白いとは?】

あえて、「Play(遊び)」「Entertaiment(エンタメ)」「Art(芸術)」を、それぞれを悪く言ってみましょう。

・Play(遊び):自分が遊んでる時は楽しいが、人が遊んでる時は別に楽しくない。

・Entertaiment(エンタメ):その時は興奮するが、あとに何も残らないので時間の無駄。

・Art(芸術):難しすぎてなんなのかわからない。見ている時から苦痛。


では、これらがどういう時に面白く感じるのでしょうか。


・Play(遊び):例)スポーツ観戦や既定路線のある漫才ネタなど
ルールがわかると、人が遊んでいる様子も面白い。

・Entertaiment(エンタメ):例)ジェットコースターや韓ドラなど
アドレナリンやセロトニンがでたり心拍数が上がったりする。結果、脳や身体がスッキリするので、面白いと感じる。

・Art(芸術):例)アート鑑賞や歌舞伎など
豊富な経験や知識があれば、組み合わせることで、作意が理解できて面白い。

あなたは「Play(遊び)」「Entertaiment(エンタメ)」「Art(芸術)」のどれを面白くない、どれを面白いと感じますか? あなたが面白いと思う組み合わせやバランスは? 

人によって傾向があると思います。
皆さんが、面白い作品を見たいと思う時、ご自身の傾向と、「脚本家」「演出家」「役者」などの傾向を照らし合わせると、期待の作品と出会える角度が上がるでしょう。

ただし、ここでひとつ、お伝えしたいことがあります。
Art(芸術)は、年齢を重ね、経験値や知識が増えるにつれて、どんどん面白くなるということです。
もちろん、早くに経験値や知識を積めば、早熟して楽しめますし、遅くても大器晩成して楽しめます。
そして、芸術を楽しいと感じられるようになると、あら不思議。毎日が、そして生きるのが楽しくなります。(その理由は後ほど)

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次に、私が思う日本で公演された近年の新作ミュージカルの傾向についてお話しします。
いろんな作品を見てきましたが、日本で公演された近年の新作ミュージカルは以下の要素の作品が多いと感じます。5段階評価です。

・Play(遊び):★★
・Entertaiment(エンタメ):★★★★★
・Art(芸術):

エンタメ性が高くて、芸術性が低い。これはテレビドラマや商業映画と同じ傾向です。
長くなるので語弊を恐れず端的にお話ししますが、そうであれば舞台に足を運ばずともテレビドラマや商業映画を見れば良いのではないかと思いますし、実際劇場になんて行ったこともなく、そのような選択肢をとっている人の方が多いと思われます。

ちなみに、私が面白いと感じる作品は、以下のようなバランスの作品です。

・Play(遊び):★★
・Entertaiment(エンタメ):★★★
・Art(芸術):★★★★

え? ってことは難しい作品を作りたいの?と思われるかもしれません。

【作りたいのは、観劇者の知識や経験値を引き上げる作品】

ここからは主に脚本の話となります。

Protopiaが作りたいのは、

観る前→・Art(芸術):
見た直後→・Art(芸術):★★★
見たさらに後→・Art(芸術):★★★★★

のように、観劇者の芸術的知識や経験を引き上げる作品です。

芸術的知識というと、難しくて頭痛を起こしそうだと思うかもしれませんが、芸術の解釈が違います。
芸術的とは、言い換えてみれば「思考力」です。

あるテーマにおいて、観劇者の「思考の感度を上げる」。思考の感度が上がると「脳は面白い」と感じます。「思考力」の上昇を維持できれば、人の脳は「中長期的に面白い」状態が続きます。

ざっくり言うと、これが芸術を楽しいと感じられるようになると、毎日が、そして生きるのが楽しくなる理由です。私は、人々が自力(脳力)で、毎日が楽しめるようになる作品を提供したいのです。

実は、ミュージカルではない日本の演劇作品には、このようなジャンルの作品がたくさんあります。ぜひ見ていただきたいのですが、そもそも演劇の敷居が高いと感じている方も多いでしょう。そこで、もともとエンターテイメント性が高いミュージカルを、その間口にしたいと私は考えています。

【Protopiaの作品の特徴】

ミュージカルは、超ロングタームメディアで、最も長く公演され続けている「ウエストサイドストーリー」は66年間、世界各国で公演されています。そして、ロングランが理想で、何度も何度も同じ演目を公演し続けます。「オペラ座の怪人」はブロードウェー史上最長の35年にわたり、約1万4000回上演されました。

そんなミュージカル作品に求められる要素は、「普遍的なテーマ」と「時代的、地域的特徴」だと私は思います。

ミュージカル作品を作るとき、脚本家として私が念頭に置くのは、
「未来に何を伝え、過去に何を残すか」
ということです。

未来の世界中の観客に向けてのメッセージを内包しながら、時間とともに歴史的価値が増すことを視野に入れるのです。

クラウドファンディングのための文章ということで、少し営業的になってしまいますが、Protopiaの作品にご支援いただくというのは、未来と過去に残る作品づくりにご支援いただきたいということであります。

それに加え、私たちは以下のような要素を大切にしています。

・「日本が舞台の作品を描く」
私たちは日本を舞台に、日本で感じたことを作品にします。

・「現代人の個人的な悩みの解決を示唆する」
現代人の多くの人が「自分の個人的な悩み」の原因を、自分の性格や境遇によるものだと考えています。しかしながら、実はそれは「現代という社会的な構造」によって生まれている可能性があり、現代的な常識の枠を取り払えば解決の糸口を見つけられることを伝えます。

・「SF的な要素を取り入れる」
自分達の選択が何を生み出しているのか、何を生み出す可能性があるのか。ユートピアやデストピアを通して、「今の選択」の重要性を訴えます。

どうでしょうか。そのような作品を見たくなってきませんか…?
ぜひ、皆様のご支援をお待ちしております。
ページを覗くだけでも覗いてもらえたら嬉しいです。

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【新作「最果てのミューズ(仮)」について】

新作ミュージカルは、「普遍的なテーマ:働く女性」と「時代的、地域的特徴:資本主義、日本、東京、令和」をテーマに制作をします。

働く上で、私たちは、なぜ辛い思いをするのか。それを、資本主義とジェンダー格差の歴史から紐解きます。

明治、現代、未来、3つの時代を描くことで「どう生きるか」を描く予定です。

次回、「なぜ働く女性とジェンダー格差?」はこちらから

【クラウドファンディングはこちらから】

【直接話してみたいという方は…】

もし、水島のことが気になる、直接話してみたいという方がいらっしゃいましたら、どうぞ遠慮なく以下のアドレスまでご連絡ください。protopia.musical@gmail.com




オリジナルミュージカルでみんなをハッピーに! 観劇者も、役者も、演出家も、脚本家も、音楽家も、スタッフも、みんながうれしいミュージカルのあたらしいビジネスモデルの実現に貢献します☆