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私たちが短編映像作品をつくるわけ

こんにちは。オリジナルミュージカル制作にゼロから挑むユッキーナです。先月、短編映像作品の短編ミュージカル「ブルーバタフライ」をYouTubeにて公開しました!今回の記事では、私たちがなぜ短編映像作品をつくるのかをお伝えしようと思います。


1、はじめに

さてさて、私のnoteでは日本のミュージカル市場や役者たちへのアンケートから、ミュージカル業界の課題を明らかにし「関わる人すべてがハッピーでいられるミュージカルの新しいビジネスモデル」を模索すべく、調べたり、考えたり、実践したことを、活動の記録も兼ねて書き綴ってきたわけですが、これらの活動を通して、私は今「短編映像ミュージカル」の必要性を感じ、制作と配信をはじめています。

しかしながら「ミュージカルの映像作品をつくる、オンラインで配信する」というと、ビジネスサイドの人も演劇サイドの人も必ず「デジタルはリアルには敵わない」「演劇はリアルだからこそ価値がある」と言います。本当にそうなのでしょうか?確かに生の舞台は良いものです。ですが、私は「リアル」と「デジタル」では担う役割が異なると考えています。


2、デジタルの役割

音楽を例にとってみましょう。音楽で言う「リアル」は「ライブ」や「コンサート」にあたります。ライブ、いいですよね!私も大好きです。

では、あなたに好きなミュージシャンがいるとして、ライブを最高に楽しんだとします。それで、じゃあ、あなたは、どこでどうやってそのアーティストを好きになったのでしょうか。知らないミュージシャンのライブに突然出かけ、5千円とか1万円とかを払って、その場で虜になったのでしょうか?

多くの人は違うと思います。まずテレビで見たり、ラジオで聴いたり、SNSで知って、それからCDやSpotifyなどを聴き込んで、過去の作品とかも聴きあさって、どんどん好きになって、それでいよいよライブに繰り出すというのがだいたいの流れじゃないでしょうか。

もし、そのミュージシャンの楽曲がメディアで流れていなければ≒デジタルメディアの力を享受していなければ、あなたはそのミュージシャンのことを好きになっていたのでしょうか?

演劇だって同じだと思いませんか?

「リアル」と「デジタル」の役割は違います。「リアル」の役割は「生身の人間のパワーで人々の心身を震わせること、感動させること」。そして「デジタルの役割」は「作品を広く認知・波及させていくこと」だと私は思います。

だからと言って、デジタルで人を感動させられないわけではありません。だってCDやSpotifyなどのデジタルで配信された音楽を聴いて、感動したから、ファンになって、ライブに赴く。そう思うと、リアルほどではないかもしれませんが「デジタル」には「感動を伝播させる力」もありそうです。


3、わたしの活動の目的

①「関わる人すべてがハッピーでいられるミュージカルの新しいビジネスモデル」を構築すること

いろんな人がいると思います。ですが、私の目的はまず「関わる人すべてがハッピーでいられるミュージカルの新しいビジネスモデル」を構築することです。

なぜこのような目的を掲げているかというと、現実問題として、ミュージカルに関わるプロの役者やクリエイター、スタッフたちに、ミュージカルだけに専念して生きていくための「お金」が巡っていないからです。

彼らの生活を成り立たせることが、ミュージカルの普及や発展につながります。だから、私は彼らに支払うためのお金を稼ぎたい。経営者や運営者には絶対に必要な視点です。お金を稼ぐためには、たくさんの人に作品を知ってもらって、見てもらって、代金を頂く必要があります。そのためにリアルより効率的に「作品を広く認知・波及させられる」デジタルの役割をうまく活用すべきではないでしょうか。

身近な人だけを幸せにしたい、自分と身の回りの人が生活できる程度の稼ぎがあれば十分だという方には必要のない話かもしれません。でも、私はすごく欲張りで、日本、世界、そして人類の未来までも、日本産のミュージカルで幸せにしたいと考えています。


②日本産のミュージカルで人々を幸せにしたい

コロナ禍で延期となってしまったオリジナルミュージカル「人間ライブラリ」はMAX50人の会場で5公演を予定していました。全公演満員御礼になったとしても、作品を見ていただけるのは250人です。ですが、先日発表した短編ミュージカル 「ブルーバタフライ」はYouTubeで公開し、現在2,300再生ほどになりました。私たちみたいな認知度のない団体でも、のべ2,300回見てもらえているってこと。無料公開ですが、無料だってこれ単純にすごいと思うんです。

私は作品を通して、たくさんのメッセージを伝えたいと思っていて、本当にたくさんの人に作品を見てもらいたいんです。それで「ブルーバタフライ 」では、演出の伊藤俊彦さんの能力もあって英語字幕もつけました。そしたらイギリスとか韓国でも再生してくれる人がいたり。

作品をつくる理由も人それぞれだと思います。だけど、ミュージカルという芸術は超ロングタームマスメディアだと私は捉えていて「世界中の次の世代に残す・伝える」ための作品づくりを私自身は目指しています。だからやっぱり「作品を広く認知・波及させられる」デジタルの力を活用していくことが有効だと思うんです。


4、なぜ「ライブ配信」ではなく「映像」なのか

昨年、ライブ配信作品をいくつか見ました。大手制作会社の配信はさすがでした。しかし、多くの中小団体は機材と配信のスキル不足を認めざる終えません。

ZOOMなどを活用し遠隔で素晴らしい演劇を実現している団体もありますが、ミュージカルの場合、ネット遅延の問題で、複数人がリアルタイムライブ配信で合唱することは今のところ不可能です。

だから小さなミュージカル制作団体の私たちは「ライブ配信」ではなく「映像」にしました。ミュージシャンたちが、リアルとは別の視点から最高のデジタル音源を作り上げてCDやSpotifyで配信するように、私たちはリアルとは別の視点で今できる最高のデジタル映像を作り上げて、配信することにしました。

映像にすることによって、視聴者が見やすいように映像や音質の品質を高め、またリアルでは再現できないファンタジックな表現を加味することができました。そして、もはや短編映画のような状態になりました。でもそれがまたよかった。


5、私たちだってリアルミュージカル公演をしたい!

ここまで「デジタル」を推してきましたが、なにを隠そう、私たちだってリアルなミュージカル公演をしたいんです。だけど、コロナ禍に限らず、リアルな公演にはリスクがあります。

それは、冒頭に例で出したように、大抵の作品は音楽ライブとは違って、面白いかどうかわからない作品に5千円〜1万円を払って、1日のうちの3時間程度を確保して、劇場に赴かなければならない。応援している役者さんが出演していれば、万が一、作品が面白くなくても良いって話になるかもしれませんが、制作者の立場からするとそれではダメなわけです。それに、たくさんの人に見てもらうためには、作品が面白いに越したことはありません。

で、短編映画状態になってよかったと思うことは、短編だったらふとした隙間時間にたくさんの人に見てもらえる可能性があるということと、短編作品で面白いと認めてもらえたら、長編にもつながることです。そういうプロセスを踏む映画、ありますよね。短編ミュージカル「ブルーバタフライ 」では、いろいろなご意見をいただいております。まだまだ未熟で腕を磨かねばならないことも多くありますが、ありがたいことに「本編のオリジナルミュージカル『人間ライブラリ』に興味を持った、見たい」と言ってくれる方もチラホラいます。

以前の記事で、ミュージカルビジネスはハイリスク・ハイリターンとお伝えしたことがありますが、いきなり長編のオリジナルミュージカルを作るのにはリスクがあります。欧米ではそのリスクを軽減するためにトライアウトなどが盛んなわけですが、短編映像作品はそれに近いものがあると思います。

だから私たちは、短編映像作品を作って配信し、より良いものは今後、長編のリアル公演作品に仕立てていくつもりです。そして、世界中で満員御礼のリアルミュージカル公演を実施する!!

そのために、いま、短編映像作品を作って、オンラインで配信してます。

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さて、いかがでしたか?

「リアル」か「デジタル」か。それはどちらか片方を選択するものではありません。だって「リアル」と「デジタル」の役割は違うから。両方をうまく使えるのが一番いいよね!音楽業界みたいに。

長くなるので、次回以降の記事にしますが、この短編映像作品が、私が現在構築を目指している「オンラインミュージカルプラットフォーム」の要になると考えています!

それでは、今回はこの辺で。まだ「ブルーバタフライ 」を見ていない方はぜひ見てくださいね!!本編はグッとシリアスで衝撃的な物語ですが、この親子にどんな未来が待ち受けているのか想像して見てもらえたらと思います!


オリジナルミュージカルでみんなをハッピーに! 観劇者も、役者も、演出家も、脚本家も、音楽家も、スタッフも、みんながうれしいミュージカルのあたらしいビジネスモデルの実現に貢献します☆