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人を感動させる立場に一歩踏み出し会社員から料理研究家へ転身

季節の料理や発酵料理など体にうれしいレシピを得意とする料理研究家の
榎本美沙さん。シンプルかつおいしい料理で、忙しい生活でも丁寧な暮らしを心がける人に支持されています。

どうやって会社員から独立しフリーランスの料理研究家として活躍できるまでになったのか?好きを仕事にしたいフリーランスとして独立したいと考えている方に必見のインタビューです。

プロフィール
お名前:榎本美沙(えのもとみさ)
ご出身:東京都出身
活動内容:広告代理店の営業として勤務後、調理師学校を経て独立。料理研究家、発酵マイスターとしてレシピ開発に携わる。著書に『からだが整う〝ひと晩発酵みそ〟』(主婦と生活社)、『ジッパー袋でかんたん季節の保存食』(家の光協会)、『野菜の「べんり漬け」』(主婦の友社)がある。雑誌、ウェブサイト、SNSで幅広く活動し、自身が運営するYouTubeはチャンネル登録14万人、instagramは6.2万フォロワーを誇る(21年11月時点)。

無限の可能性を秘める料理の楽しさに気づきレシピ開発を始める

ーーなぜ料理の仕事をしたいと思ったのですか?

両親が共働きで、大学生のときに料理担当をしていました。料理誌やウェブサイトを見ながら作っていたら、料理の無限大の可能性に気づいて

そこで自分のレシピを紹介したいと思い、「一人暮らしのレシピ」というメルマガ配信を始めました。週末に買い出ししてほしい食材と月曜から金曜まで食材を無駄なく使える夕食のレシピを送るものでした。

新卒就活時は、伝えることが好きなのでメディア関係をみていて。広告代理店で食品メーカーを担当すれば、レシピの仕事ができるのではないかと思い応募。当時電車広告の中吊りで料理誌とトレインレシピを掲載していた交通広告会社に入社しました。

ーー会社選びも料理が軸だったのですね。

はい、その後会社員時代にふたりごはん」という、誰かと一緒に作れるように構成したレシピサイトの運営を始めました。

“ごはん”は人の体を作るものです。夫と出会って、家族や周りの大切な人と料理をすることが信頼関係の蓄積や大切な時間になると気づき、料理を誰かと一緒に作ってくれる人がより増えたらうれしいと思って。雑誌に夫と出演することもあり、一緒に料理をする時間の良さを伝えています。

人を感動させる立場になると誓った転機

ーー会社員から料理研究家に転身したきっかけを教えてください。

実は、Mr.Childrenのコンサートに行って感動したことがきっかけなんです!入社後は、駅ビルの開発会社を担当し、営業として集客や販売促進の企画やリーフレットを作成していました。

料理がちらしに載ることはまれで、いつかは料理メーカーを担当してレシピに関わることができるかもしれないけど、それはいつになるのだろう……とモヤモヤしていた2015年の9月のことです。これまでコンサートはあまり参加することがなかったのに行かなきゃいけない気がして、わざわざ東京から大阪の京セラドームまで行きました。

バンドが多くの人の心を動かしていることに感動して、自分も人を感動させる立場の方に一歩踏み出せたらと思いました。このまま会社にとどまったら同じように過ごして終わってしまう。何か踏み出さなきゃいけないときなのだと、悩んでいた心にパッとスイッチが入った瞬間でした。

ーーモヤモヤを抱えていたからこそ響くものがあったのですね。その後はどうしたのですか?

踏み出そうと決めるとすぐ夫に話し、翌日には母親、その次の週には上司に話してとトントン拍子でしたね。調理師学校は4月入学しかないので、2016年の3月を退職と決め、仕事を辞める準備と調理師学校入学の準備にかかりました。

正直今考えてみると、広告代理店にいただけで急に料理の仕事がくるわけがないのに辞めたことは向こう見ずでしたね。会社員を経たことは結果良かったのですが、料理の仕事をしたいから広告代理店に入ったのは少し違ったのかなとも思います。

ーー勢いがかっこよいですね!何事も無駄にはならないのですね。

努力でご縁をつないだ駆け出し期

ーー調理師学校ではどのように過ごしていたのですか?

早く独立したいこともあり、1年でコースが終わる服部栄養専門学校に入学しました。独学で料理していたので、うまく人に伝えられるように技術力と基礎的な知識をすべて知りたくて。服部栄養専門学校はパティシエになりたい人も中華を、和食をやりたい人もお菓子を習うカリキュラムで、全体を網羅して教えてくれる点が自分にぴったりでした。

伝えていく立場になるので、先生が話す雑談さえも役に立つかもしれないとメモしていましたね。たとえば、ほうれん草はなぜ沸騰したお湯で茹でるのか、なぜ水からではだめなのかなど。手間をかける理由は何か、省ける手間ではないのかと考えながら聴いて。

ーー学校は楽しかったですか?

あらたな道に進んでいる楽しさもありましたが、いわれていることを全部吸収しなければならないと必死でした。19歳の同級生が喋りながら授業を受けているなか、最前列の席で先生の包丁の様子を見て……。また国家資格である調理師免許の試験勉強のため、毎日大根の桂剥きを練習して、冷蔵庫が桂剥きで満杯で当時は困っていました。

包丁

ーーさすが努力家ですね!卒業間近はどうしていこうと計画していたのですか?

前職の会社から、自身が担当していたクライアントの食品チラシに季節のレシピを載せる仕事をもらい始めていました。フードプロデュースをしている専門学校の客員講師にどう仕事を獲得するのか相談もしましたが、運と縁だからとしかアドバイスはもらえず……。

私は、3年・5年後にどうなるためと計画的に進めるより、あれやりたいからこれやろうと思いついていくタイプで。営業をかけるよりはなにかのご縁があればよいなと思っていました。

ーー卒業後はまずどんなことをしましたか?

食品チラシの仕事の継続に加え、専門家が書く信頼度の高いメディア、AllAboutで「オトコノキッチン」という企画に、「ふたりごはん」として連載する仕事をいただきました。実は、新卒就活時のご縁でつながりがあり紹介してもらったのです。

Facebookでも調理師学校を卒業しましたと報告して、料理の仕事をしたいとなるべく広く伝えていました。知り合いが実はこのようなことをやっていたなど、どこに縁があるかわからないものです。

ーー知人からご縁を広げていったのですね。初めていただいた大きな仕事は何でしたか?

憧れの料理雑誌からの依頼です!大好きな雑誌で、とても丁寧にレシピを作られていると読者として感じていたので、仕事をいただけてありがたかったです。

企画は、横浜で有名な洋食店のこだわりのハンバーグを家庭で再現するというハードルの高いものでした。お店で13時間煮込み、自家製の梅酒を使うからこそ出るコクや2日間かけるからこそできるふわふわのタネをどう家庭料理で再現するのかと、何百個試作したかわからないほど準備しました。

ーーどんな経緯で依頼があったのですか?
詳細はわかりませんが、その雑誌の方に伝手があり、会社員時代から料理の仕事をしたいということは相談していて、会社を辞めるときも編集ではないけれど料理の仕事を始めたいと伝えていました。

コツコツいろいろなところでしていたレシピ紹介が評価されたタイミングだったのかもしれません。もし私が何もいっていなければ仕事はまわってこないはずなので、気にかけてもらっていた可能性はあります。

ーー独立してからは自分でチャンスをつかんできた感覚ですか?

営業だったくせに営業が苦手で……。自分でチャンスをつかんだ感覚ではありません。周りのよい縁に恵まれてオファーをいただいたり、一度仕事をしてまた依頼していただいたりすることも多くて少しずつ広がっていきました。

ーーいただいた仕事を丁寧に行い、それを積み重ねていくことが大事なのですね。

フリーランスだからこそイマジネーションが止まらない

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ーー仕事で苦労することはありますか。

今はありがたく声をかけていただいていますが、来月どうなるかわからない不安があり、緊張感を持って働いています。依頼数を調整できないので大事な仕事が重なると大変に感じることもあります。

個人事業主は常に自己研鑽をしなければならない働き方ですが、そんな働き方が向いていると感じています。

会社員時代は非効率でこうした方がよりよいのにと思うことも、無駄な気遣いをして改善できないでいました。今は自分がしやすい方法で仕事をできていると思います。

好きなことを自由に企画するからこそ生まれる発想があって、イマジネーションがとまらないのです。会社員時代は夜遅くまで働くと嫌な気持ちになりましたが、今は夜中まで仕事をしていてもストレスを感じません。

シンプルな料理で人生を楽しんで欲しい

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ーー今後やっていきたいことは何ですか?

季節の野菜を使って旬の料理や体にうれしいレシピをベースにして、その一環で発酵食品のレシピも紹介したいです。また、人それぞれで見る媒体が違うので、多くの人に伝えるために出る媒体を増やしていきたいです。

ーー榎本さんのレシピはシンプルなのにこれほどおいしいのか!と気づきをもらっています。どうしてシンプルな工程にしているのですか?

うれしいです。私のレシピにはピーマンを丸ごと焼いて塩を振るだけのものもあります。シンプルにした方が私も食材に向き合えるのです。

あまり器用ではないのでややこしいことはしません。時短という言葉もあまり好きではなく、シンプルな工程で簡単だからこそ手軽に丁寧にできるレシピを提案できたらと思います。

料理は毎日するので、料理が楽しくなるということは人生が少し楽しくなるということです。少しでもその役に立ちたいですし、おばあちゃんになるまでやりたい!そしていつかMr.Chldrenの桜井和寿さんと仕事をしたいです!

ーー榎本さんなら叶えられます!最後に、新しいことを始める、始めたい人に向けてメッセージをお願いします。

難しく考えすぎないことが大事。私は難しく考えられないので、難しく考えずにきて、結果うまくいっています!あれができなかったら、こうなったらどうしようと考え始めると進みづらくなります。

うまくいくかわからないけど、やらないとうまくいくこともうまくいきません!気楽に考えてみることも大事だと思います!

ーー本日はありがとうございました。今後もご活躍を応援しています!

編集後記

ご縁をつないで一つ一つ丁寧に仕事をされてきた姿、好きを仕事にしていくことを楽しんでいる姿が印象に残りました。また榎本さんには学生時代から料理を通して人を幸せにしたいというブレない軸がある。軸が定まっているからこそ、よりよく伝えるためにスキルを高め惜しみない努力をつづけられるのだと気づかせてもらいました。

あなたのブレない軸はなんですか?その価値観をもってどのように生きたいですか?フリーランスの働き方はあくまでその生き方を表現する手段なのだと思います。副業を始めてみたい、キャリアチェンジをしてみたいなど新しいことを始めたい方それぞれにあった幸せの形があるはずです。どんな形が自分にとって一番幸せなのか、この記事が自分に問いかけるきっかけになれば幸いです。

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