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天才、あるいは変人

京都に行ってきた。とはいえ観光らしい観光は全然してなくて、京都大学に日帰りで行った。

朝イチの飛行機を取ったので、早起きして空港へ。家を出たときはかなり肌寒かった。

仕事がひと段落したこともあって心がすっきりしていたからか、音楽をずっと聴くだけの余裕もあったみたいだ。
家を出てから飛行機に乗って、リムジンバスで京都駅まで行って、京大に行って、、とずっと音楽を聴いていた。ふだんは長くても通勤の数十分しか聴かないから、イヤホンをして、「公共の場にいると同時に独りの世界に籠もっている」という感覚に懐かしさを覚えた。

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用事の前に京大の博物館に寄って、ノーベル賞化学者・福井謙一の研究室についての企画展を見た。

福井謙一は1981年にアジアではじめてノーベル化学賞を受賞した化学者だ。それまで経験主義的だった化学の分野に理論を持ち込んだ最初の化学者である。ノーベル賞はアメリカの学者と同時受賞で、二人とも同じような時期にそれぞれ独自のアプローチで化学に理論を持ち込んだ業績が認められた。

企画展はコンパクトだけど内容は詰まっていて、知的好奇心の刺激される良い企画展だったと思う。ノーベル賞の賞状には受賞者それぞれに異なる絵が手描きされていることを初めて知った。(写真の左の絵、福井博士のものはサフラン。)

天才ってやっぱり面白いなと思ったのは、節々に登場する変人エピソード。

毎朝午前3時くらいに半分寝てる状態で、真っ暗闇の中、枕元のメモに殴り書きする。後から読み返すものの、判読不能なところもある。でも「何を書いたかわからないところに価値がある」と言って、自分が何を思いついてたのかじっと考えていた
授業は黒板に延々難解な数式を書いていくだけなので、学生からは「写経」と呼ばれていた。書いた数式を見て自分で考え込む時があり、学生にとってはそれが写経の遅れを取り戻すチャンスだった
朝9時から夕方4時くらいまで、食事も取らずに研究についてぶっ通しで議論し続けることもあった

僕も知的好奇心は比較的強いほうだと思うけれど、広く浅くの方向性が強いので、ある分野をとことん掘り下げていく能力ってすごいなと思う。福井謙一の場合は、理論化学者であり、数学者であり生物学者でもあったので広く深くなのだけれど。頭の構造が違う。

なんか改めて勉強したいなと思う、良い企画展だった。もし生まれ変わったら理系に行きたいな、とも。

最後までお読みいただきありがとうございました。 このnoteのテーマは「自然体に綴る」です。 肩肘張らずに、「なんか心地いいな」と共感できる文章を探したくて僕も書いています。なにか良いなと思えるフレーズがあったら、スキ!やフォローをしてくださると励みになります。