Tokyo!
オリンピックのチケットの抽選受付が始まった。僕はまだ何を申し込もうかと考えてる段階だけど、いずれ何か申し込むつもりだ。
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気分を盛り上げるために、村上春樹の「Sydney!」を少し読んだ。個人的に、上巻冒頭の有森裕子のアトランタの回想と、下巻冒頭の女子マラソンだけでも読む価値があると思っている。
ニュースでQちゃんすごい!日本金メダル!ということばかり強調される裏側に、いろいろな選手のいろいろなドラマがあるんだ、という至極当たり前のことが、それでも立体感をもって描かれるから説得力があり、そこにスポーツの感動が立ち上がってくるように思う。
有森裕子のアトランタの回想では、そもそも上位集団を形成するようなトップアスリートの「いつめん」たちに彼女たち特有の思考があることが描かれる。お互いの強みや特性もわかりきっているし、動きを見ていれば好不調もわかる。結果が出て当たり前という世界で、他のいつめんたちに競り勝って結果を出さなければならないプレッシャー。アトランタでは、誰も知らない無名の選手のぶっちぎりの走りを見たときの心情…(最初、いつめんたちは全員「あんな早くスパートしてもそのうち落っこちてくる」と思っていた。そしてそれは「もう追いつけない、忘れよう」に変わった)。
高橋尚子の女子マラソンは、実際に観戦に行った著者の視点で描かれる。とはいえ村上春樹はマラソンをやる作家だから、そのへんのレポーターよりはるかに詳しい視点で描かれる。シドニーはどういうコースなのか、どこがきついのか(終盤にはアップダウンしかないらしい)、あるいは高橋尚子の走り方とライバルの走り方の違いとか(高橋尚子はテンポよく走る、ライバルのシモンは力強く走る)、トップの高橋尚子のゴールから1時間7分後、最後の選手の完走のときのスタジアムの盛り上がりとか。
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Sydney!はもちろん他にもいろいろな競技を観ているのだけれど、東京オリンピックは有名競技はもちろんのこと、よく知らない競技を観に行くのも面白いかなと思っていたりする。そのへんもSydney!の影響のようにも思う。
最後までお読みいただきありがとうございました。 このnoteのテーマは「自然体に綴る」です。 肩肘張らずに、「なんか心地いいな」と共感できる文章を探したくて僕も書いています。なにか良いなと思えるフレーズがあったら、スキ!やフォローをしてくださると励みになります。