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[授業]版築物語(建築)


遠く異国を例に挙げれば、万里の長城、福建省の土楼、始皇帝陵、これらはみな、土にセメントや石灰を混ぜ、囲み枠に充填し、それを突き固めることで一部の壁などを作っている。近く我が国を調べると、法隆寺の築地塀、竜安寺の土塀、岡山県の鬼ノ城、このように昔から版築というものは使われており、近年ではほとんど科学製品を使わない自然由来の方法である点や、土が持つ温度・湿度調整機能が見直されている。



 まずは、前年作成したもので風化により強度が保てないと判断されたベンチを壊す作業をしました。解体作業は表面の崩れかけている部分はすぐ壊せましたが、内側に行くにつれて硬くなっていき、最後はハンマーで叩いても全然崩せないほどでした。普段から運動をしない筆者はこのあと筋肉痛になり、ただ土を突くだけでこれ程まで固くなるのかと驚きでした。
同時に、版築の型枠の組み立てをしました。金属の型枠をナットやボルトで締結し、隙間から土がこぼれないようにします。この型枠が非常に重く、運び出すだけで一苦労でした。

 次は屋根の形を決めました。まず、班ごとに話し合いをして図面や模型を作成します。次に、それが成り立つか、成り立たせるためにはどうしたらいいかを先生と相談をします。そうして、デザインと構造の2つの視点から形を模索していきます。形が決まったらまず、屋根を支えるためのベンチに埋め込む柱を切り出しました。

 次はついに土を突き始めます。班を2つに分け、片方は版築の土を混ぜ合わせる役割を、もう片方は土を突く役割を担います。石灰や水を混ぜ合わせた土が完成すると、型に入れて「突き棒」と言われる棒の先端に金属の塊が付いたもので土がへこまなくなるまで平らになるように突きました。この時、力を込めて叩き落とす必要はなく、棒を持ち上げてまっすぐ落として突き固めます。ただ、持ち上げるときにもコツがあり、腕の力で上げるのではなく、膝を曲げた状態から体全体で持ち上げると楽でした。


ある程度土が突き終わると、今度は屋根の作成が本格化しました。屋根を作るのに必要な部材を切り出す担当と、土を突く担当に分かれ作業を続けました。必要な部材がある程度揃うと部材を接合し始めます。この時には設計図とのずれが出てきて、部材の長さや接合位置を変える必要があり、確認をしながら作っていきました。

 最後に土も突き終わり、屋根の取り付けが始まりました。事前に考えてあった順番で屋根の部材を組んでいき、必要な大きさの波板を切り、座面に使う木材を加工し、最後にはそれらをすべて合わせることでベンチが完成しました。


 この経験を通じて設計と施工のずれや、協力して一つの物を作る意識を学べたと思います。力作業が多く、大変でしたが、とてもいい授業になりました。

 制作の様子を動画にしたのでぜひご覧ください。


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