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経済

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2023年7月の記事一覧

トレンド転換に対応するのは難しい

ファンダメンタルズが逆方向に動き出したのなら、それまでとはやり方を変える必要がある、というのは当たり前のはずなのだが、現実には難しく、大抵はそれまでの状況におけるやり方を更に強化する方向に走ってしまい、結果的には大失敗することになる。 日本の生産年齢人口は1995年にはピークアウトしていたので、本来ならICTをフル活用した省力化によって経済構造を作り替えるべきだったのだが、そうではなく、賃金抑制・人海戦術(女と老人の動員)の路線に進んでしまった。 ピーター・タスカが199

日本は30年前に戻れない

政治家はこのような無責任な「煽り」をするべきではない。 30年前と現在では日本の経済社会のファンダメンタルズが大きく変化している。人間が老化すると元気がなくなるように、日本の経済社会の元気がなくなったのも老化が原因である。 総人口に占める65歳以上の割合:10.9%→29.0% 総人口に占める65歳以上の割合:4.3%→15.5% 中位数年齢:37.1歳→49.0歳(2021年) 実質GDP成長率:4.9%→1.0% 現時点では日本が若返る可能性はゼロなので、活力

ザイム真理教批判の嘘

「ザイム真理教」については先日記事にしたが、財務省や財政再建派がおかしいからといって、その批判者が正しいとは限らない。 森永や中野が信用できないのは、信者を洗脳するために平気で嘘をつくからである。日本経済停滞の最大の理由が「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ったから」ではないことは、経済動向をウォッチしてきた人にとっては常識である。 手取り収入が減った(あるいは増加率が大幅に下がった)主因は、2000年前後の「三つの過剰」の解消が一段落しても、企業が好況期・業績

「ザイム真理教」という情弱ビジネス

森永親子は反緊縮派相手の情弱ビジネスが上手だが、その秘訣は憎悪の対象となる悪者を設定した上で、事実を堂々と無視することのようである(この手法は明石市の泉前市長と共通する)。 👇は税と社会保険料の対GDP比(黒はOECD平均、赤は日本)だが、日本が「世界有数の重税国家」ではないことや、第二次安倍政権期までは「増税」が控えられていたことが見て取れる。 👇社会支出(social spending)の対GDP比がOECD平均を上回ったのも2010年代から。 高齢化が主因の社会保

税収が示す日本経済の状態

国の税収の推移からは、第二次安倍政権からの日本経済がバブル崩壊~リーマンショック(世界大不況)の長期低迷を脱して拡大基調を続けていることが見て取れる。 高齢化とグローバル化への対応として、税源が所得から消費にシフトしている。 対GDP比で見れば、税収が多すぎる(酷税)とは言い難い。 積極財政派の「新型コロナウイルス感染症のために日本経済は大不況に陥る」や「日本経済は緊縮財政のために慢性的な需要不足が続いている」などの主張は積極財政派の主張は現実とは合致していない。日本経

就業者数の多さと日本経済の余力

日本経済が積極財政派が言う「緊縮財政による需要不足→財政支出を拡大すれば成長軌道に回帰する」という状態ではなく、老化への対応で一杯一杯であることは、就業者数が過去最高に近い水準にあることから見て取れる。 第二次安倍政権期に就業者数が史上最高を更新したのは、 世界大不況での急減からの回復 医療・福祉の一貫した増加 が重なったためだが、特に女の増加が顕著である。 これは、 男手が足りなくなってきた 医療・福祉は元々女が多い産業 ためだが、積極財政派が思うほど日本経