ザイム真理教批判の嘘

「ザイム真理教」については先日記事にしたが、財務省や財政再建派がおかしいからといって、その批判者が正しいとは限らない。

森永氏が喝破するように、日本経済停滞の最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ったから」だ。にもかかわらず、ザイム真理教の信者たちは、なお増税や社会保険料アップをもくろんでいる。だが、本書によって洗脳を解かれた人々は着実に増えている。ここに希望がある。

森永や中野が信用できないのは、信者を洗脳するために平気で嘘をつくからである。日本経済停滞の最大の理由が「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ったから」ではないことは、経済動向をウォッチしてきた人にとっては常識である。

内閣府「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報」
内閣府「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報」
内閣府「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報」

手取り収入が減った(あるいは増加率が大幅に下がった)主因は、2000年前後の「三つの過剰」の解消が一段落しても、企業が好況期・業績拡大期に賃金抑制を続けたからで、その理由は

  1. 人口減少→国内市場が長期的には縮小する→持続的な増収が見込めない→固定費を増やせない、という認識の定着

  2. (大企業では)株主還元拡大とのトレードオフ

  3. 銀行に頼れなくなった→流動資産の内部留保を厚くする必要がある、との認識の定着

など、ザイム真理教とは直接の関係はない。

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